今年の夏ほど日傘がフル稼働した年も記憶がありません。
一昨年、まだ陽射しが“夏仕様”になる前の5月頃、今年こそ自分専用の日傘が欲しいな、できれば色は黒で…と思いながら通販カタログを見ていて、何を思ったか突如“ファンシー”に目覚めたわけです。
黒地のフチにぐるっとピンクの細番手リボンヤーンで薔薇の立体刺繍がほどこしてある、少女漫画で髪タテ巻きの金持ち令嬢が長手袋はめて持ってるようなヤツを買ってしまい、家族の冷たい視線にもめげず、「ぎっちり畳んじゃうと薔薇さんがつぶれるから優し~くね♪」なんてやってたのですが(笑うでない。書いてる自分が怖いわ)、ここ三週間ほどのピーカン続きで、三度めの夏にしてピンクの薔薇が褪色して白薔薇に近づきつつあります。
もう1ヶ月ぐらい酷使したら、薄茶薔薇になるかも(哀)。
当地は内陸ですが、日本海岸寄りなので、近年は中国内陸部の乱開発・砂漠化の影響か、特に季節の変わり目での強風化、黄砂飛来の通年化が顕著です。
もちろん高緯度地域でもあるので、日傘や帽子などのUV対策グッズは必要なんですけれども、風をはらんだり飛ばされたりが煩わしいので、晴天の外出には必携というほどでもなかった。
でも、今年は平均して晴天かつ風も弱い“日傘日和”が多かったように思います。
…と、すでに“この夏を総括”モードに入ってますが、そろそろ陽射しも斜めに角度がつき、昼間、日向を歩いていても“ジリジリ焼けつく”感じは遠のいてきました。
『金色の翼』第41話は、ピンクの薔薇ならぬ、ピンクの百合が32話に続いて再登場。
奥寺(黒田アーサーさん)の会社を買収する資金の提供者である修子(国分佐智子さん)が迫田(片岡弘貴さん)転落事件への関与を警察に疑われては困るセツ(剣幸さん)から「彼女を憎みつつ守りなさい」と言い渡された槙(高杉瑞穂さん)、買収用ダミー会社設立手続きにかこつけて上京、修子の隠れ家を訪問、“敵情”を偵察。
槙が資金振り込み口座を示し「もし約束を破れば夫殺しと迫田殺人未遂容疑で捕まるぞ」とジャブを繰り出せば、修子も「そっちこそ見たことのない大金に舞い上がってヘマしないでよ」と応酬。
「あんたこそ奥寺に何か弱みを握られてるんだろう」と槙が探りを入れると、修子はロケット工作を目撃されたことをあっさり明かす。こりゃ計算ずくですぞ。
「皮肉だな、オレを陥れようとしてやったことがあんたの足枷になるとは」と槙、なんだか嬉しそう。
なんだかんだで修子と槙、境遇は天と地ほど違えど“相手に自分と同じ匂いを嗅いだ”がゆえに、惹き合いもすれば斥け合いもする2人。
自分の利益・保身と、相手を守ることとの微妙なバランスが水面下で綱引きする言葉と視線の応酬は、ラブシーンよりある意味官能的でした。
コレ、いまさらだけど、昼ドラですからねぇ。この深い含蓄と緊張感、否が応でも観る者を深読みに引きずり込む静かな吸引力、昨今ゴールデンのドラマで滅多に見られないじゃないですか。贅沢すぎるよ。
いいのかTVドラマ界、これが昼で。
しかも、奥寺の不意打ちを玄関先に待たせて、槙“余計なことするなよ、俺も仁義は通す(=あんたの弱みについて奥寺から守る)から”のキスで修子を先制。
それに先がけ、胴、突き、有効、効果くれ合ったあと、槙が辞し難そうに「いい匂いだな」と立ち止まったのは、「(匂いが)強すぎて苦手だと言う人もいるけれど、私は好きよ」と修子が言う、32話のあの日と同じ、濃桃色の百合。
画面登場二度目なので調べたんですが、百合にはとてもたくさんの品種があるんですね。
ピンク系ハイブリッド種の中でもアカプルコ、スターゲイザー辺りは濃桃色と言うより、朱みのシクラメンピンクに近いようなので、ピンクプロミス、ベルブ、ソルボンヌ、ルノアール、ル-レーブ辺りか。
ピンク百合、満開の花弁は、フチのフリル具合といい、反り返り具合といい、なんだかとても女性的にセクシーです。
それにしてもセツさんの「彼女を憎みつつ守りなさい」ってすごい台詞だなぁ。
『007』シリーズのジュディ・デンチぐらいの迫力。剣幸さんでなきゃ言えないよ。
剣さんから発せられたのでなければ高杉瑞穂さんも「わかっております」って返せないだろうし。
どこまで濃くて深いんだ、このドラマは。