昨夜9:00頃、玄関灯消灯のまま網戸下ろしてドア全開していたら、なにやら網越しに人影が見え隠れ…
…お盆だけに、いよいよ来たかっ!月河を含め高名な霊感スポットの数々に、何度、いつ踏み込んでいくら長居しても何も感じない、霊能神経が麻縄で出来ていると言われる(月河が言ってるだけだが)人間の集まりである我が家にも、終戦記念日2日前に、ついにっ!…といそいそ様子を見に出たら、町内会長さんが夕方回った連絡簿の回収においでだったのでした。
「お宅、インターホン押しても鳴らないし、ノックするにも網戸だし、明日の朝にするか、どうしようかなーと思って行ったり来たりしてた」…うわ、申し訳ありません。高齢家族の昼寝対策でドアホンオフってたの、元に戻すの忘れてました。
今年の夏も、それ系のモノは何も現れない、何も見ないまま、地に足つけて過ぎて行きそう。
『金色の翼』第32話。全65話のうち、今日明日のここ2日が折り返し点です。
終幕へのクライマックスに待ったなし突入するだけでなく、今日からは、盛り上げつつ前半に蒔いた種を収穫させ、広げた風呂敷をたたんで行く、両輪作業も要求されます。
昨日31話での生木を引き裂くような天と地の別れから、たった1日で槙釈放、修子と再会かよ!といささかあっけない感は拭えませんでしたが、そもそも槙を迫田突き落とし実行犯とする明確な証拠はどこにもないので早めの身柄釈放は当然だし、ホテルに連絡取って大使館だ何だ問い合わせた説明的描写も無く、思い出の密会場所である古い一軒家をいきなり槙がたずね当てるのは、いい具合の時間の節約、後半の高速盛り上げ&収束に一直線な製作姿勢が感じられて、かえって頼もしい。
“たった1日(=1話)”のブランクしかない分、“望み待ち侘びた再会”という切なさは減りましたが、互いにこれまでの積もる恨みと嫉妬、負の熱情を剥き出しにぶつけ合い、「歯の浮くような言葉だけで女のフトコロを狙ういくじなし、馬鹿なイカロス」「黙れ、男を喰いものにするヴァンピーロ、生き血が吸いたきゃ吸ってみろ」と水浴びせたり引っ叩いたりしながら紅百合の散り敷く上でもつれ合って行く場面は美しかった。
特に修子の「島で理生さんが心配して待ってるわ、あなたたちとてもお似合いよ」と「だから何だって言うの、悔しかったらあなたもリムジンにでも何でもぶつかってみるといいんだわ」が良かったですね。
あれだけツラの皮千枚張りの仮面芝居して、優雅と平静をよそおい、慎重に手を打ってきた修子が、これだけあからさまなジェラシーと侮蔑の言葉を吐くということは、なんのこっちゃねぇ修子も「この人だけは私のお金ではなく、私だけを愛してくれてる」という夢を見ていたのね。
「悔しかったらあなたもリムジンに…」というフレーズから、“やっぱり迫田の言っていた通り、リオで日ノ原氏と接触する機会を狙って当たり屋を試みたのか、てことはイカガワシイ店の腰振りダンサーってのも…”と想像するのは「自由だ!」ですが、むしろ修子の今日の赤裸々な怒りの噴出には、愛した槙の中に“富める者へのコンプレックス”“取り入って利用してやろうとする歪んだ上昇志向”という、かつての自分と同じものを見出したことが原因していると見るべき。
と言うより、それら“かつての、或いはいまも秘める自分のネガティヴな部分”を等しく見出したからこそ、彼を愛したのかもしれない。
槙から修子を見たときも事情は同じです。槙はむしろ、そういう手を使って男を利用して生きてきた修子と知ったからこそ、ここまで追いかけても来た。
この2人、財力には大差あっても、根性は似たものカップル。
ただ、現時点で“似た”ところ、互いに相手に見出し合って共振する要素が、カネや家族・育ちにまつわる劣等感がらみの、どうにも感心しない、人間の性根としてカッコ悪い部分ばっかりなのがいかにも惜しい。
せっかく“イカロス”という比喩を物語の芯にかつぎ出しているのだから、たとえば夢に向かう進取の気性や、艱難辛苦乗り越える根性、自分より不遇な者のために持てる知性や技能を惜しまず注ぎ込む勤勉さ、献身性など、もっとカッコいい部分で共鳴し合うカップルになってもらいたいもの。
そうすれば、このドラマの、ラブストーリーとしての側面がもっと輝き、謎追いのサスペンス面をも照射してくれるはずです。
今日のお楽しみポイントは、修子が「笑わせないでよ!」と突き飛ばし奥座敷の百合の花(!)を武器に取りに走る場面、追いかける槙がマジけつまずきかけて(畳の目にすべって?)底抜け脱線ゲームみたいに四つん這いになってるシーン。NGすれすれ。
あと、もちろん31話からアバンタイトルでつながる奥寺のプライベート・オフィス。島のホテルが鳥づくしなら、こちらは馬づくし。
演じる黒田アーサーさん、乗馬鞭をピッ!と修子に突きつける決めシーンを見ていて気がついたのですが、顔の輪郭や、台詞中のふとした時のクチ周りが、元・JRAジョッキーの田原成貴さんに軽く似ている。
マヤノトップガンをはじめ、月河、一時期は“この馬好きかも、と思うとみんな屋根が田原さんになり、それでますます好きになる”時期がありました。稀有な才人でありながらエキセントリックと自由の度が過ぎて競馬界を去ってしまいましたが、黒田さん扮する奥寺は“世間知にたけて、高学歴財力もある版”の田原さんみたい。修子に乗ろうとして落馬、蹴られて腎臓損傷なんてことには、くれぐれもなりませんように。