政界でも稀に見るカタブツくんだという岡田克也外務大臣は、党の衆院圧倒的多数ぶりとは裏腹に最近めっきり顔の上半分のパーツが下がりめになって、M‐1チャンピオン・サンドウィッチマンのトミー(=富澤)に酷似してきましたな。野党議員から「海上給油はするんですかしないんですか」とかややこしい質問が来たら、「ちょっと何言ってるかわかんない」って言ってみたらどうでしょう。
……それはともかく、『爆笑トライアウト』10月30日放送分を先日やっと再生。今年度に入ってから『オンエアバトル』の言わば二軍として新規スタートしたこの番組、回を追うごとに粒揃いになってきていると思いますが、今回は粒揃いな中にも初見で「(本戦進出)ないな」と思う組と、「あるかも」と思う組が結構はっきり分かれました。
ないなの一番手ハニーベージュは、設定は悪くないし「ジュノンボーイ」はバカバカしくてよかったんだけど「何トレイン?」からどんどん下り坂になり「水は?」「お風呂は?」では極寒になってしまった。地縛霊からだけではなく、肝試しくんのほうから仕掛けて霊をギャフン言わせる流れを作ればよかったのに。
ツートンカラーは結局、“子役なのにもんのすごい老け顔”という出オチ、顔ネタに尽きてしまいましたね。審査員役=ツッコミが笑いを生み出すところがないし、“無駄に美声で歌うま”のくだりに時間を費い過ぎ、オチも弱い。
リトレインは設定がわかりにくい。シュールな笑いを目指しているのだろうけれど、そのことがわかるのにすら時間がかかる。「羊の皮をかぶった羊の肉どもがー!」「ラムチョップ」といったベタギャグでもうちょっと上がるかと思ったら、そこまでの地合いが低体温なのでさほどでもなかった。
レアレアは「~ですぅー!」「~ますぅー!」の、スベッてるときのプラスマイナスみたいなアテツケ口調に終始したのがマイナス。テンポは悪くないので違うネタでもう一度挑戦してほしい。
「あるかも」の6組から、さらに選んで上位2組だけが『オンバト』進出。うーん。クロンモロンは2回目の挑戦ですが、前回も書いたけど現役大学生コンビらしい若々しい荒削りさがあまり感じられない。特に、切り返しでテンションアップして行かなければならない「(甲子園)よく行けたな」「オマエ頑張ったんだよ」などの節目でボケがボケ切らずモソモソになり、釣られてツッコみもはじけ切らない場面が多い。全体的にはタカアンドトシを思い出させる芸風なのですが、ひとつひとつのボケが概ね同じ“サイズ”なため、ボケてもボケても同じ地平で、盛り上がって行かないのかも。この組もテンポは悪くないので、チャンスは近いはず。
その点ジグザグジギーは“雪だるま式にエスカレートして行く”月河が好きな系統のネタでしたが、終盤の「オシッコ」連呼で10円安。大した欠点ではないかもしれないけれど、オシッコとかウ○チとかオ○ラとか、“言えばジャリでも笑う”フレーズは使わずに終盤突き抜けるのがプロの笑いというものではないでしょうか。ポメラニアンの名前“トシヒコ”との重層はワザありでしたね。
えーと、これで残り4組か。メンソールライトは、何のこっちゃないユリオカ超特Qの“顔の薄い”ヴァージョン、スマイリーキクチの“微笑んでない”ヴァージョンの芸で特に新鮮味はないんですが、安心して見ていられる。ただ『トライアウト』で披露するには老成し過ぎな分支持は伸びないか。容貌がなにげに立川談志師匠に似ているし、『笑点』演芸コーナー向きかも。
この回いちばん笑えたのがスカイラブハリケーン。実は録画チェックに先んじて、放送リアルタイムでラジオで音声だけ聴いていたのですが、「シャンプーじゃない!」の積み重ねを、ツッコミがしっかりツッコミ切れていたのが大きい。ツッコミのこの声だけで、どんなボケをかましているのか絵が浮かんできましたから。クロンモロン辺り同様、ボケの“サイズ”は一貫して一本調子ではあり、録画で絵を見ると、『オンバト』本戦常連組のスマイルやオードリー、タイムマシーン3号、響などと似た“キモカワ”キャラ押し路線のようでちょっと失望しました。この組もリズム的に夜明けは近そうで、キャラ押しが本戦でどう評価されるか、早く見てみたい。
えーとえーと、あとはシャングリラ。男2女1のトリオコントは珍しいし、3人が3人ともコント演技力は水準以上なので安心して見ていられましたが、安全パイ過ぎて、メンソールライト同様ちょっと“若手中の若手”らしいはっちゃけが足りない気もしました。
うしろシティは今回の10組の中で、ネタの完成度はいちばん高かったと思う。冒頭のニュースのナレーションが、オチ前にきれいにつながる構成も垢抜けているし、「スーツ着て歩いてる人は皆が皆サラリーマン?」とありきたりをひとつ振っておいて「メガネかけてる娘がある日はずしたら皆が皆かわいい?」とオタクなボケに飛ぶくだりもセンスを感じました。しかし目出し帽強盗ルックの金子が、90年代福岡ダイエーホークスの背番号18・村田勝喜投手に顔立ちといいヒョロい体型といいそっくりで、録画再生視聴時はそこに引っかかって笑いっぱなし。“未完成なアンジャッシュ”といった匂いもするので、とりあえずもうひとネタふたネタオンエアされてほしい。
結局“若さが足りない”と月河が思った2組、シャングリラ489TPで1位、メンソールライト473TPで2位と本戦挑戦権獲得。わりとコンサバな会場審査員だったようです。シャングリラは演順トップ効果もあったか。
惜しい3位449TPのうしろシティは、視聴者投票で2位メンソールライトに完勝の1位となり、この回3枚めの本戦切符を手にしました。
全体に、『オンバト』二軍戦とは言えレベルはかなり上がってきていると思います。ただネタ的にはさほどのサプライズはなくなってきた。“若手の中の若手”というところにこの番組の魅力があるのだから、マネージャーさんたちもいま少し冒険させてあげてください。