先週報じられた沖縄県うるま市での中2男子同級生グループによるいじめ暴行死事件、「集団でひとりを寄ってたかって、しかも学校が無認識で無策、聞き飽きたような事件だな」と思っていたら、小出しに続報聞いてるともう、半端ないですね。
集団暴行の痕跡を消すため制服を別の生徒のと取替える、しかも転落事故死を装うため別の場所に運んでから救急通報する、やりくちが中学生の悪たれというより、立派な大人の凶悪犯じゃないですか。14歳と13歳の中学生、教育的に嘆かわしいとか憤ろしいというより、普通に怖いですよ。人として関わりたくない。よくお年寄りが称揚する“町内のガンコオヤジ”よろしく「キミたち、何をやっとるんだ、よさないか!」なんて注意したり叱ったりしようなんてチラッとも思わないね。道ですれ違う、目が合うのさえ怖い。
7人か8人いたらしいいじめグループの中に、ひとりふたりぐらいは「動かなくなっちゃったよ、ヤバいよ、すぐ救急車呼べば助かるかも、ねぇ呼ばね?」と思ったかもしれないし、それ以前に「これ以上蹴ったら死ぬんじゃないか、なんぼなんでもオレらと同じ、親もきょうだいもある人間じゃん、このへんでやめといてやんね?」とも思ったかもしれない。しかしここまで病むと、もう群集心理でしょうね。“異を唱えれば今度は自分がいじめられる”という個々の恐怖心が、逆に結束を固めてしまう。
悪の自覚があって悪を行ない、悪として明るみに出たくないゆえに口裏を合わせて隠蔽せんとする。悪そのものの精神と行動にすでにどっぷり染まり切った連中を、学校の名のもとにどうにか指導したり矯正したりしなければならない教師の皆さんもやりきれないでしょう。これ、もう教育の守備範囲超えてるもの。無策と詰られる筋合いはないよ、との声が聞こえてきそう。
しかしだ、惜しむらくは(惜しんじゃいかんのだが)、衣服取替えても移動しても、高所からの転落が致命傷を作った遺体と、殴る蹴るで致命に至った遺体とでは、着衣ならともかく裸にすればパッと見で所見がまるで違うわけです。事故死の状況でも変死は変死、行政解剖は免れない。姑息な偽装かましても、やっぱりおつむの中身は中学生坊主。いやそれ以下。ヤッコさんたち『CSI』や『臨場』、『科捜研の女』辺りを見てなかったな、さては。
せめて『相棒』ぐらいは。日本の科学捜査を、鑑識米沢さんを舐めてはいかんぞ。
さて『相棒』と言えば、Season 8第1話本編後の、たまきさん(益戸育江さん)ヴォイスの告知で知った“新しい相棒、新しい音楽”、『Season 8オリジナルサウンドトラック』がなかなかの良作ですよ。昨年10月、亀山くん(寺脇康文さん)卒業シリーズ=Season 7放送とともにリリースされた、Season 1~4までのOPテーマを含む厳選セレクト版サウンドトラックが、“『相棒』を知らない人に出会いがしら聴かせても、警察もの事件ものだぐらいはわかる”選曲であり出来ばえだったのに対し、今作はぐっと奥行き、振幅のある、一筋縄ではいかない構成になっています。
『沙粧妙子』風のサイコキラーミステリ風味の曲、それプラス『共犯者』的なショック・ホラー寄りの曲に、それこそ『相棒』を知らない人に聴かせたら「『太陽にほえろ!』みたいな人情刑事ものでしょ?」と思いそうな曲もあるし、『鬼平犯科帳』もしくは『陽炎の辻』のような、ヒーロー時代劇により親和しそうな曲も。
バラエティの豊かさと、“この曲はこんな場面に合いそう”と想像させる喚起力。今season、ドラマ本編中での音楽の入れ方が前seasonに比べて控えめになったように思いますが、その分いい意味で“遊べている”心地よさがある。とにかく土曜ワイド劇場の単発時代から9年半の長きにわたって存続してきたシリーズ、単なる刑事もの事件ものの枠を超えて「こんな曲もあんな曲も、BGMもしくはイメージ曲としてぜんぶ“アリ”なところまで来ました」という“継続の強み”みたいなものを感じるアルバムです。