書のデザイン展を観て、いくつか気になることが出てきた。
近衛信尹(このえのぶただ)のことである。
電子辞書ではない広辞苑で調べてみた。
近衛信尹は寛永の三筆の一人、とある。
残りの二人は本阿弥光悦、松花堂昭乗である。光悦はともかく、松花堂?
小野道風たちの三筆、三跡は高校の頃に知ったが、寛永の三筆がいるとは知らなかった。
広辞苑ではさらに黄檗の三筆、幕末の三筆を挙げている。
近衛信尹については、昨年の6月以来気にかかっていた。
面白そうな本が出版されたからだ。著者は前田多美子氏、思文閣出版、2415円。
朝日新聞書評欄による紹介では、以下のように書いてある。
「三藐院 近衛信尹」
三藐院(さんみゃくいん)流の祖というより、激動期の摂関家ゆえの波乱の生涯だった。
著者は手紙など千点を超す遺墨に接し、生身の人間関係に迫る。
何と食通で大食漢で「沈酔」する酒豪。
信長の一字を受けた信尹だが「嫉妬深き悪女」のような公家社会に生きるのが定め。
そこに秀吉が割り込んできて、揚句に薩摩配流。
紀行には南蛮船や三味線(蛇味線の間違いでは?)を弾く琉球人などの世相も映す。
下克上の世に、上流は上流で沈まずどう泳ぐかの暗闘が興味深い。
面白そうですね。展覧会には彼の作品が2点展示されていた。
どちらも大画面に堂々たる筆跡で、他の技巧を凝らした作品群の追随を許さない。
こういう人物には大いに興味が湧いて、この本、買いたくなった。だが値段が高い。
森男の友達に書道の先生がいる。
展覧会の感想を電話したら、ご存知無い。
先生の沽券に関わるからと、直ぐ行くようにけしかけた。
先生、出かけるようである。
今、次はこの本を薦めて買わせ、それを借りようというセコイ謀り事を考えている。
広辞苑を読んでいる内に、三筆、三跡、黄檗三筆、幕末三筆が気になってきた。
例えば松花堂昭乗はお花見弁当に関係があるのか?
三藐院流とはどういう特徴がある流派なのか?
秋篠宮殿下は書の名手だそうだが、関係はあるのか?.....。
また日本人は何でも「3」に拘る。
青春御三家、三大夜祭、三色蕎麦、新御三家、日本三景、三馬鹿..........。
三つ並べたものは他に何があるだろうか? 何故「3」にこだわるのか?
これらの疑問を解き明かすには、図書館で楽に三日は消費できる。
天気が悪くて外出をしたくない日のための宿題にしておこう。
こういう場合、電子辞書は役立たずである。
紙の広辞苑を捨てないでよかった。
上の図は近衛信尹書「渡唐天神図」。「花園大学国際禅学研究所」HPから。
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