そばの花

蕎麦の花。
私の生まれた北陸、いまの時期は早場米の刈りいれが終わり後残っているのは晩生の稲。
その隙間を埋めるパッチワークは蕎麦の花、
純白の蕎麦の花が秋雨に煙るモノトーンの中に浮かび上がる風景こそ、
この時期にしか出会えないそば畑の花風景。
集落、モザイク、杉の林、背景の里山・・・
見慣れた素材を使って描かれた花の風景こそ、ある意味で新鮮な食の花に出会えるうれしい季節なのである。

そば

いま
一片の雪となって咲き乱れるそばの花　

匂い
香り
甘味
素朴だけど美味しい一枚のアート

一色
白い雪原
・・・
素敵
そう言って触れられることも
匂いをかがれることもなく
花は山野に埋もれるように咲いて
純白から灰色に
深まりのなかに消えていくそばの花　

萎れ
・・・
これも宿命
食の花の哀しさか
いまもこれからも店先を飾ることのない花に
季節と旬を重ね合わせ
そばに見惚れる。