雨の朝がここから

雨の朝の出来事。
「重い」
いつもにない重さが私の体に圧し掛かって、
嫌な夢が脳裏をかすめては消えル。
その夢を想い出そうと一生懸命に追うのだが夢がその場からページを目まぐるしく捲るように消えてしまう。

「おいまてよ、その夢どこかで見たような」考えると目が覚める
半開きのぼんやりしたなかで、この重さは何処から、
半分闇の中に沈んでいる扉を開いてぼんやりとした空間を見つめると、
愛犬が素知らぬ顔で大の字に近い状態で高鼾、

「こいつ人の布団の上で寝て嫌がる」
「おい起きろ」足で蹴飛ばす、
すると「誰やね」
不機嫌な顔で私を見る。
「おい、あれほど寝るなと言っただろう」
知るか、そんな顔している。
嫌々起き上がって思い切り手足を伸ばして背伸びしてあくびをして、
「散歩か」そんな語り掛けをしてくる。
調子のいいやつ、「おい散歩行くか」話しかけるともうその気になる。

「やけに暗いな、もう夏日で夜明けが早いのに」
そう思ってカーテンを少し開いて外を見る。
路面が黒く湿っている「雨か・・・予報当たったか」
そう思いながら仕方なく起きて目覚めの一杯を呑む。
「うまい」生き返った気がする、少しオーバーかな・・・
そう思う朝である。

愛犬が座って無言で催促している、
「おい雨だぞ、行くのか」当然おまえの仕事だろうそういう眼をしている、
「嫌なやつだ」

外を覗く、案の定激しく叩くように降っている、
仕方ないな・・・出かけるか「おい合羽着ろよ」そう言って着せるけど今日は嫌に素直だ、
いつもなら激しく抵抗するのに気持ちが悪い。
傘を広げ外に出るとひんやりしている、春なのに温もりが感じられない、
この冷めた空気澱んだ背景、眠っている我妻の心のぬくもりだろう。

「よく降るな・・・予報どおりか」当たって欲しくはなかった予報、
仕方なく愛犬を促して雨のなかに、
一歩踏み出しただけなのにもう雨が体を濡らしてくる。
「この雨なら用を足したらさっさと戻るかな」甘い考えで歩き出すと我心無視して、
自分のいつものペースで歩き始める。
「ええ・・」嫌な予感が走る朝である。