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春日記「蓬」
今日書きたいのは蓬の新芽、いまだにセピアの草地が街の地表の大部分を占めているなかで、ようやく小さな赤ちゃんの手の大きさになった蓬。
その新芽の鮮やかさは雨後の水滴の瑞々しさ、小さな一粒の真珠の輝き、
初心な蓬の一葉を手にして嗅ぐと、新鮮な爽やかな野生の薫りに誘惑され、
衝動に駆られ、千切って断片を口に含むとえぐい薬草の味が広がる。
この味、春の野草の匂い、苦味、そして亡くなった母が作る草餅の味。
蓬餅
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食べなくなった春の野草
そのひとつが蓬
幼い頃おやつとして食べていた吊るしの蓬餅
寒の2月に作り
穴を開けて藁縄で吊るし
乾燥させて
へずかしとして
焼いて黄な粉をつけて食べていた蓬餅
今ではもう誰も作らない
そして食べない
・・・
誰が食う
あんな素朴で味気ない餅
犬さえ見向きもしない
野草の匂いが懐かしい保存食
余りにも美味しいものがありすぎる昨今
昔ながらのへずかしの素材
この町では迷惑な雑草。
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