TSREDUREエッセー
『月のあかり 桑名正博の死』
――桑名正博が死んだ――
ボクは、音楽のことは、まるで分からない。でも桑名正博の名前ぐらいは知っていた。
ひょっとしたら、と思って調べてみたら、出身は同じ大阪市だった。ボクよりは三ヵ月若く、悪友の滝川浩一とは4日しか違わない生まれだった。
息子さんの美勇士さんは、三十路にはいっておられ、父と同じ道を歩んでおられるらしい。わたしの息子は、やっと十六で高校生。
ボクは、音楽のことは、まるで分からない。息子は中学のころから、いわゆる軽音に目覚め、あっと言う間に、アコステ、エレキをマスターし、ボーカルをやるためにボイトレにも通いだした。ボクは、小中学校9年間いながら、リコーダーも吹けなかった。音符が読めず。音楽のテストの日は、朝からお腹が痛くなった。
息子は、幼児のころからやすやすと音符を読み、七歳で始めたピアノも、まだ続いている。
ボクは音楽のことは、まるで分からない。でも、息子の、ギターはともかく、歌がまるでダメなことぐらいは分かる。息子の歌に、なんのメッセージもエモーションも感じない。先日は文化祭で、初めて息子のライブを聴いた。観客をさえ意識していないことに驚いた。ボクは芝居が少し分かる程度だけど、音楽も芝居も同じエンタメである。最低伝えたいという気持ちが無ければ、それは空回りしているだけで、ダメなんじゃないかと思う。
ボクは音楽のことは、まるで分からない。でも伝えることの大事さと難しさは分かっているつもりである。息子は、いつか、そこにぶつかって頭を抱えるだろう。みんな、そうやってエンタティナーになっていく……いければいいが。
『月のあかり』を聞いてみた。しっかりメッセージもエモーションある。下戸なのでアルコールはダメだけど、静かに、コーヒーを飲んでもいいなあ、と、感じた。
夜道を歩いていて、月のあかりのありがたさを感じることは、まず無い。
しかし、澄んだ秋空に月のあかりがなければ、夜空は、ひどくとりとめがないものになってしまう。
『月のあかり』を、聞いて、あ……どこかで聞いたことがある。と、思い出した。
月のあかりの無い秋の夜空は、寂しい。寂しいに決まっているじゃないか。
『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』
青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説!
お申込は、最寄書店・アマゾン・楽天などへ。現在ネット書店は在庫切れ、下記の出版社に直接ご連絡いただくのが、一番早いようです。ネット通販ではプレミア価格の中古しか出回っていません。青雲に直接ご注文頂ければ下記の定価でお求めいただけます。
青雲書房直接お申し込みは、定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。
大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。
お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。
青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351
『月のあかり 桑名正博の死』
――桑名正博が死んだ――
ボクは、音楽のことは、まるで分からない。でも桑名正博の名前ぐらいは知っていた。
ひょっとしたら、と思って調べてみたら、出身は同じ大阪市だった。ボクよりは三ヵ月若く、悪友の滝川浩一とは4日しか違わない生まれだった。
息子さんの美勇士さんは、三十路にはいっておられ、父と同じ道を歩んでおられるらしい。わたしの息子は、やっと十六で高校生。
ボクは、音楽のことは、まるで分からない。息子は中学のころから、いわゆる軽音に目覚め、あっと言う間に、アコステ、エレキをマスターし、ボーカルをやるためにボイトレにも通いだした。ボクは、小中学校9年間いながら、リコーダーも吹けなかった。音符が読めず。音楽のテストの日は、朝からお腹が痛くなった。
息子は、幼児のころからやすやすと音符を読み、七歳で始めたピアノも、まだ続いている。
ボクは音楽のことは、まるで分からない。でも、息子の、ギターはともかく、歌がまるでダメなことぐらいは分かる。息子の歌に、なんのメッセージもエモーションも感じない。先日は文化祭で、初めて息子のライブを聴いた。観客をさえ意識していないことに驚いた。ボクは芝居が少し分かる程度だけど、音楽も芝居も同じエンタメである。最低伝えたいという気持ちが無ければ、それは空回りしているだけで、ダメなんじゃないかと思う。
ボクは音楽のことは、まるで分からない。でも伝えることの大事さと難しさは分かっているつもりである。息子は、いつか、そこにぶつかって頭を抱えるだろう。みんな、そうやってエンタティナーになっていく……いければいいが。
『月のあかり』を聞いてみた。しっかりメッセージもエモーションある。下戸なのでアルコールはダメだけど、静かに、コーヒーを飲んでもいいなあ、と、感じた。
夜道を歩いていて、月のあかりのありがたさを感じることは、まず無い。
しかし、澄んだ秋空に月のあかりがなければ、夜空は、ひどくとりとめがないものになってしまう。
『月のあかり』を、聞いて、あ……どこかで聞いたことがある。と、思い出した。
月のあかりの無い秋の夜空は、寂しい。寂しいに決まっているじゃないか。
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