銀河太平記・273
磯打つ波が目にも耳にもここちいい。
あれから、テル博士を宿舎に連れていき、ハナは食堂に戻り、あたしもそのままテル博士の宿舎で寝てしまった(^_^;)。ハンベで知らせておいたけど、悟兵からの返事はない。
火星からの長旅で疲れてもいるんだろう、博士はそのまま寝かせておいて海辺に出てきたところ。
イー・アル・サン・シー……
北京語の掛け声で漢明連絡所の兵隊たちが朝の体操をやっている。その脇を通ると神社の社殿が見えて、その向こうが磯だろうね。
当たり。
絶好の日の出スポットなんで、人がいるかと思ったんだけど、わたし一人。
まあ、島にやって来てから半日のあれこれを放電するにはちょうどいい。
埋立地を入れても20平方キロょっとの西之島、面積では奉天の半分ほど、その広くも無い島に万を超える人とロボットが共生しパルス鉱を採掘しながら穏やかに暮らしている。
人種も様々で西之島戦争の義勇兵とかも残っていて、敵国だった漢明兵も非武装の連絡所とはいえ配置されている。
構成から見れば満洲といい勝負のカオス。
なのに、鉱山島としての活気を失うことなく落ち着いている。
ずっとというわけにはいかないだろうけど、季節が一巡りするくらいの間、住んでみたい気になる。
「あら、そこに居るのは孫大人のところの東鈴ね」
振り返ると絶世の美女……越萌マリが立っている。
「あ、ども……あ……昨日は見かけませんでしたね」
初対面なのに、微妙なタメ口になってしまう。テル博士に敬語を使ってしまった反動かなあ。
「昨日は恩智に帰っていて……あ、恩智っていうのはうちの本社があるところね」
「あ、そうですよね、シマイルカンパニーのCEOやってらっしゃるんですから」
「経営はもう人に任せてるんだけどもね、節目節目にはキチンと直に顔を合わせて……けっきょくは近くの温泉に浸かって骨休めしちゃうんだけど」
「あ、わたしも、ここのハナと扶桑のテル博士と温泉に入ってました(^▽^)」
「あら、平賀テル、もう来てたの?」
「はい、食堂で会ったのが最初なんですけどね、子どもと間違えてビール飲んでるの叱っちゃって(^_^;)」
「ハハ、わたしも映像でしか見たこと無いんだけど、直に見たらそうなると思うわ」
「アハハ、でも、お風呂でいっしょになったら、もう生まれながらの友だちみたいになりましたけど」
「大人は元気にしてる?」
「ええ、変なアルアル星人になっちゃってますけどね」
「フフ、アルアル星人ねぇ。候補生時代に出会った頃もアルアル星人だったなあ」
候補生……そうだ、この人はPIして越萌マリと名乗っては居るけど、正体は児玉元帥なんだ。
思い至ったところで、そのアルアル星人からメールが来た。
――これから食堂で朝飯、とっとと来るよろしアル!――
☆彡主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑科学研究所博士
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー
テムジン モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン) 銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉 胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく) 輸送船の船長 大統領府参与
朱 元尚 大佐 ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
※ 重要事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス 月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院 扶桑城啓林の奥にある祖廟
大石 一 (おおいし いち) 扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑科学研究所博士
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー
テムジン モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン) 銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉 胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく) 輸送船の船長 大統領府参与
朱 元尚 大佐 ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
※ 重要事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西ノ島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス 月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院 扶桑城啓林の奥にある祖廟