大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・22『夏の自由研究・1』

2014-07-13 09:58:10 | 小説4
大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・22
『夏の自由研究・1』 
 
        

 クラブが終わった後、よう、いろんなことを喋ります。それをまとめて自由研究。ちょっとセコイかな?


今の大阪をよく見よう
 大阪には261あまりの高校があり、演劇部の確実な存在が確認されるのは90校未満です。加盟校は111校ありますが、中には部員ゼロのまま、顧問の心意気で加盟されている学校や、専業部員が居てないまま、実質的に演劇部の部活の実態が無い。又は、希薄なまま加盟している学校ががあります。コンクールで毎年二十数校の棄権校が出ることからの推測と、学校訪問の感触。コンクール会場で「なんとか本番に人数揃えました、四月はゼロやったんですけど」などと世間話をされていたりする先生がおられることなどから推測したもので、大きくは外していないと思います。

 部員は、一校平均贔屓目に見ても5人ほどでしょうか。これに90を掛けると450人。111で計算しても555人にしかなりません。

 大阪の高校生は、261×720=187920人。少なく見ても18万人近くはいてるでしょう(起算根拠は、府立高校の平均的な定員です。私学はもっと多いと思います)
 その中で演劇部員は600に満ちません。大阪の高校生で演劇部員は1000人中4人もいてません。絶滅危惧といっていいでしょう。つまり非常事態です。非常事態には非常な方法で立て直さなければ道は開けないと思います。
 例に挙げて申し訳ないんですが、中学演劇が実質壊滅状態です。大阪の中学は533校です。こないだの第131回 大阪府中学生演劇祭に参加したのは僅か35校に過ぎません。この中学生諸君がすぐに高校生になります。連盟は中学演劇との連携を謳われていますが、ほとんど存在しない中学演劇との連携にどれほどの意味があるのでしょう。心細く感じませんか?
 念のため書いておきますが、この状況の中で粛々と活動を続けておられる中学演劇に、うちらは敬意の念は持っます。

高校演劇のヘタクソさ
 後述していますが、高校生の芝居の多くが観ているものに感銘はおろか、意味さえ分からないものがあります。サイトの映像を見てください。ミザンセーヌ(舞台上での役者の立ち位置の構成)ができていなくて、舞台がスカスカだったり、人物配置が偏っていたり、物理的距離と心理的距離が一致しないもの、人物が被ってしまっているものが多くあります。
 また、明らかに舞台で意味や動機を持って存在していない役者が多いことに気づきます。分からない人はウェブやYou Tubeなどで商業演劇、プロ演劇で検索して画像や映像を見てください。違いは歴然です。
 プロ野球と高校野球の差を5:1ぐらいやとしたら、プロ演劇と高校演劇の差は50:1以上の開きがあります。全国大会レベルでも20:1ぐらいの開きが一般的にあります。むろんプロ演劇でも度し難いものはありますが、たいてい「どこが駄目か」が言えます。高校演劇は「どこが悪いか言えない」もしくは「有りすぎて言えない」ものがあまりにも多くあり過ぎます。
 その端的な現れが、演劇部の存在率と演劇部員の少なさです。また、HPSやコンクールなどでの一般の観客の少なさに現れています。高校野球や軽音の平均的なレベルが高校生のそれを維持しているとすれば、高校演劇のそれは小学生か幼稚園のレベルです。特に劇作・演技の幼さは言葉がないほどです。これを読んで腹立たしく思う人がいるでしょう、何人かの人は。

 そう思ってもらうように書いています。書いてる自分がむかつきます。

 腹立たしいと思うのはプライドがあるからです。それやったら、そのプライドに見合うだけの力を付けてましょう。そのための提言です。

指導的高校演劇人養成の必要
 わたしらが思てる通年の講習は多くても20人程度です。講師は2人ほどでええでしょう。講師やお金のことを心配されているクラブもあるようですが、やる気になれば意外に簡単です。20人が入る施設を月に3度ほど確保すればいいのです。学校を回り持ちで借りたらタダです。
 演技、演出、劇作の勉強は、基本的に個人のストイックな努力が基本です。大阪で著名な演劇人や、高校演劇の指導者の方々もそうしてこられました。月に三度ほど集まり、チェックしてもらい、指導してもらうことで十分やと思います。
 大阪に文学の学校があります。卒業生の中には著名な作家や劇作家がおられますが、そこのコマ数の2/3ぐらいで考えています。時間的には、ほぼ同様にしています。

 講師は、やってみれば、ほとんどロハでやってくれる人もいると思います。ご定年になられた演劇部の先生で劇作、演技指導に長けた方が何人かおられるんとちゃいます? 卒業生(60代から20代まで)まで広げれば様々な人がいてます。

 コーチ制の見直しもあってええと思います。大阪は学校ごとにコーチが居て、やっていますが、関東では、自治体全体でコーチを委任し、必要に応じて、大阪よりは多い講習会を開いています。こういうことを自治体と掛け合うのが連盟の仕事やないでしょうか。

 対象は生徒顧問を問いません。真剣に演劇(特に劇作)を勉強してみたい人物に力を付けてもらうことです。一年では結果は出えへんしょう。その人たちが力を付けて現場で指導でき、成果が表れるのは、早くても、あくる年からでしょう。その20人の半分の人がそれぞれ3~4人の人の養成に成功すれば、数年で高校演劇の水準は目に見えてよくなるでしょう(指標としては、一般の観客やサポーターを増やすことです)

夏に講習会が行われることのリスク
 みなさんは、どう考えているか分かりませんが、あたしらは準備期間を入れて一本の本に3か月かけます。詳しくは他のブログを見てください。
 8月の頭にやると、コンクールまで物理的に3か月。実質は2か月しかありません。芝居の稽古は密度にもよりますが、少なくとも2か月はかかります。講習に意味があるとしても手遅れちゃいますやろか?

 実際、コンクールで観る芝居はドラマの基本構造さえなしていないものが多くあります。

 ある年、審査員が、こう言わはったそうです「どうしても、選ばなあきませんか?」
 ある年の本選で、今も現役の運営委員で審査員の先生が、同じ審査員に言いました「今の芝居分からはります? ぼく全然分からへん」
 
 この現実を見たら、あえて今の講習会、コンクール審査の在り方には反対します。

大人数であることの問題
 連盟の加盟校の生徒・顧問の大半が集まるので、それだけで圧倒されます。講師の先生は人柄もお優しく、芝居作りに関しても良い感性を持っておられます。きっといいものが経験できたと錯覚するでしょう。見て、ちょこっとやってナルホドと思うことと、身を削り、個別指導で得たものには雲泥の差があります。分科会は流行りの「学校の体験入学の模擬授業」に似ています。音響・照明の分科会は本物に接することで、評価はしますが、演技や劇作は通年の講習(毎週でもありませんし、少人数が条件です)でなければ力がつきません。
他のクラブさんがおっしゃるように、こんな1日の講習会で力がつくのなら、とっくに効果が表れていなければなりません。ちがいますか?

連盟が、いつも正しいという勘違い
 別の問題でも言いましたが、連盟がいつも正しいとは限りません。昨年のコンクールのパンフには全国大会30人の観劇が成功と書かれていましたが、現実は失敗でした。例年バス2台100人近い参加者がありましたが、多くの人たちが、その危険性に気づいて参加を見合わされ、廃止になりました。実際、修学旅行なんかでもいろいろ事件ありますもんね。
本選会場が、たった一年で門間に変更になりました。やはり遠すぎるという声が大きかったのでしょう。

 北中部にくらべ、大阪南部への手当が遅れていることもありますね。代表的な問題は本選出場の切符の少なさでした。北部の某地区では1/3の確率で本選に出られ、南部の某地区は1/13でした。地区の増設で、やや緩和されましたが、まだ、その開きは大きいといえるでしょう。
 
 連盟への信頼は維持されんとあきませんけど、発足60年の団体です。錆びついたところもあります。勘違いもあります。疑問に思ったことや、おかしいことはぶつけましょう。そのことが、大阪の連盟、高校演劇の向上発展に繋がると思います。

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)  
コメント
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