大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ゴジラ』

2014-07-27 17:33:43 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ゴジラ』



 これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、おったいないので転載したものです。



楽しめる映像ではあります。ただし、色んな物を諦めるか無視すれば……と、条件付き。

 画像の作りは良く出来ているのですが、残念ながら説得力に欠ける、そのままリアリズムと書いても良い。要するに“全く怖く無い”のです。困ったもんでおます。
 まず、音がいかん。ここは効果音やろ~と思う所に“音楽”が入ってます。マァジですかいのう。音楽にした所が、作曲家は伊福部さんのオリジナルを聞き込んで、オマージュを捧げたと言うておりましたが……どこが? 私、音楽素養全く0で、もっぱら聴くのみです。私には判らん何かがあるんかもしれませんが、聴いてる限りにおいて「どこがオマージュ?」です。オマージュなどと考えなければ、スリルを盛り上げる作品だと思えますが、いかんせん、使う場所を間違えています。
 54年のオリジナルにインスパイアされ、リスペクトしているのは、そこいら中に認められます。ゴジラの背鰭が青白く光り(チェレンコフ光っちゅうんですわ)口から放射能炎を吐くのか? これは予告を見る限りでは判らない、ここ大注目ポイント! 監督のエドワード・ギャレは“モンスターズ:地球外生命体”っちゅう映画をたった50万$で作ったお兄ちゃんで、メジャー作品は初めて。そのせいか、怪獣のCG以外はなんか貧乏臭い、まるで日本映画のチープさにオマージュを捧げたように見える。
 それと、これは本の問題であるが、人間のエピソードが設定ミス。そんな作戦は有り得ない、????な設定。
 言ってみりゃ怪獣を人間としたら、まるで蟻の抵抗。ある一家を中心に据えて、描き込んではあるが、感情移入する所まで行かない。所詮 蟻の抗いだから人の痛みや恐怖が浮かび上がってこない。だから少しも怖くない。オリジナル第一作は怖かったっすもんね。 人間の地球に対する傲慢、対するゴジラは自然の代理であり、戦争の記憶が生々しさを持っていた54年に東京に上陸したゴジラの破壊は東京無差別爆撃の再現でした。オリジナル・ゴジラは日本人に刷り込まれた恐怖をそのまま映像にしてありました。
 本作で東京大空襲に当たるのは、福島の原発事故ですが、なにやら及び腰。 全てがこの調子なので、バランスが悪過ぎる。 映像は良し、ゴジラが「おっ!!」と思うような身体能力を見せるし、見所は満載……なのに、設定にご都合主義の小嘘がチョコチョコ顔を出すので入り込めない。大嘘はええんですが、中途半端な小嘘はあきまへん。渡辺謙も、これじゃどないもなりません。

 ホンマに惜しい映画であります。それなりに楽しんで見ましたが、もって恐がらしてもらいたかった。救いは、変な“環境主義的説教臭”がなかった事(在るにはあるんですが、あんまり声高ではない)ですかね、これで“環境原理主義”が顔を見せたら全否定でありますわい。ホンマに惜しい(涙)



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