大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・24『御手毬高校演劇部訪問・他』

2014-07-25 11:39:21 | 小説4
大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・24
『御手毬高校演劇部訪問・他』 
 
     


☆御手毬高校演劇部訪問記

 御手毬高校は、うちらβ地区の隣のθ地区の代表校です。この四半世紀、コンクール本選に必ず出てる実力校です。HPFの公演直前やのに、快くうちらゴマメの見学を許可してもらいました。
 
 御手毬高校は旧府立都島高女の同窓会「御手毬会」が戦前に作った高女が、戦後私立の女子高になったもんで、看護系などの進学に実績のある学校です。
 演劇部は7月30日、31日、シアター仰天院で 大作ミュージカル「美麗 神様を待たせた女」を上演しはります。仰天院はキャパ100余りの小ホールですけど、三回の公演で観客動員300以上が見込まれてます。さすがは実力校です。

 早めに行ったんですが、部員の人が「真田山学院様」と書いたホワイトボードを持って玄関前で待っててくれはりました。ちなみに御手毬さんはクラブで揃いのジャージとTシャツを持ってはります。
「すみません。お待たせして」
「いいえ、今ここに立ったばっかりですから」
 うちらに気兼ねさせへんためいうのは額の汗を見ても分かりました。ああ、恐縮!

 稽古場のホールに行くと、もう10人ばかりの部員の人らが発声やら、ストレッチをやってはりました。あんまりの集中と熱心さで声かけることもはばかられ、首振り人形みたいに頭下げることしかできません。5分前には部員全員(数えたら24人も居てた!)が集合「お願いします!!」と全員で挨拶するとこなんかは圧巻でした。
 改めて全員が声出しとストレッチ。それから相互交流のレッスン。これをなんと部員だけでやらはります。

 すぐにスタッフとキャストに分かれてスタンバイしたとこで先生が来はります。うちらは、ただただ首振り人形。

 80分の芝居でした。本番さながらの舞台稽古。先生の横にはスクリプターが居てて、時々先生が呟かはることをメモ。タイムキーパーまで居てて、場面ごとにタイムを駅伝並にチェック。
 本番前なんで、中身に関することは書けませんけど。幕開き前の衝撃的な効果音だけでも、持ってはる傾向が分かりました。前世期の黒テントあたりに祖型が感じられる小劇場、アングラ劇の傾向です。芝居慣れしてない観客でも分かりやすいようにアングラ劇独特の饒舌、長台詞は抑制されてました。台詞も大阪弁に置き換えてはって、いかに現代性を持たせるかいうとこに苦労してはるのが、よう分かりました。

 道具は一杯飾り。多分在りものに手を加えたもんやろと拝察しましたけど、芝居の世界観とはピッタリでした。照明はサスとフロントの使い方が芸術的で、適度なSSが舞台に立体感を出してました。ここまでやれる学校は、大阪でも5校はありません。まいった、プロ級です。

 ここからは、趣味の問題ですけど、演技に型があります。エロキューションも統一されてて、言わば歌舞伎や狂言、フランスのファルスのような独特の御手毬型。強烈でした。

「観て、どないやった?」

 舞台稽古が終わると、いきなりふられました。一言で言うたら「凄い」なんですけど、それやったら幼稚園並。そんなおためごかしでは済ませへん迫力が、先生の「どないやった?」にはありました。
「好き嫌いに分かれるでしょうね。こういう傾向が好きな人にはたまらんぐらいの完成度です。嫌いな人いうか、こういう表現を受信するアンテナ持ってない人には……分かりにくいと思いました」
 はっきり言いすぎたかなと思たけど。先生は大きく頷きはりました。
「うん。僕とこは独特やからね。せやろと思う。他には?」
「お上手なこともあるんでしょうけど……情念の表現が凄いですね。キャストもスタッフも、その情念をよう理解してて、統一したエモーションが圧として感じられました。並の高校演劇ではでけへん力です」
「遠慮気味に言うてくれてるけど、あんたのアンテナには、ちょっと夾雑音やったんちゃうか?」
「いいえ、新鮮でした。初めて歌舞伎の荒事見た時の感覚に似てます」
「ハハハ、荒事か!」
「技術的に聞きたいことは?」
「頭の掴みが見事ですね。音響と照明が演出の意図をよう理解してやってはります。SSの使い方がお上手ですね。サスもバックサスにならんように、そんで頭が切れんようにベストなポジションでした。ここから見てても分かりましたけど、一応バミってはいてはるんでしょうけど、役者は、自然と分かってるみたいですね。うちらは人がおらんいうこともありますけど、基本は狂言みたいに生のツケッパですから、羨ましいかぎりです」

 そんなこんなで2時間、お世話になりました。

☆『クララ ハイジを待ちながら』での発見

 本編の『すみれの花さくころ』が一頓挫してるんで、『クララ』をやってるて、前に書きましたよね。
 その『クララ』で発見がありました。『クララ』はものごっつい明るい饒舌な引きこもりの女の子の芝居です。台詞の90%がクララの台詞。で、気が付いたんです。クララは、吸い込む息の量がすみれの倍はある。クララが元来持ってる好奇心の表れなんでしょうけど、この呼吸の違いは大発見でした。
 芝居の表現は氷山の一角です。その一角を表現するために、役者は舞台ではせえへん表現の努力が90%せなあきません。芝居の稽古に季節が一つ変わるぐらいのスパンがいることが分かってもらえたでしょうか。

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 
コメント
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