ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第108話《シリコンの秘密》惣一 

大容量メモリーには、とんでもないものが入っていた。
どうしたものか案じた末に、ある処理をして、さつきに返した。
「え、シリコンから取り出してないの?」
「ああ、ちょっとヤバイものじゃないかと思ってな。多分近々警察が来る。提出を求められたら素直に出すんだ……いや、元通りバンパーに貼っておこう」
しかし、この貼り直しが難しい(;'△')。
どうやら交差点でぶつかりかけた車から、特殊な銃のようなもので吹きつけられている。貼りついた角度は速度を持った分、角度を持っていたし、飛沫も着いていた。
うわ!?
悩んでいるといきなり肩を押されてメモリーカード入りのシリコンは上手い具合に擦れてバンパーにくっついた。
「ねえ、ソーニー、ゴジラ観に行こうよぉ。アカデミー賞取ったんだからさぁ」
「あのなあ、さくら、もう17歳なんだから、くっつくのはよせ。いい歳してブラコンと思われっぞ」
「ねえ、ソーニー、ゴジラ観に行こうよぉ。アカデミー賞取ったんだからさぁ」
「あのなあ、さくら、もう17歳なんだから、くっつくのはよせ。いい歳してブラコンと思われっぞ」
「あのゴジラ、自衛隊は出てこないから、ストレスないよ」
「映画だったら、さつきといけよ。あいつの方が専門だ」
「映画だったら、さつきといけよ。あいつの方が専門だ」
「お姉ちゃんは御託多すぎ。こういうのは素人同士がいいの」
「お前と行ったら映画だけじゃ済まないだろーが」
「いいじゃん、たまに帰ってきたんだから妹孝行しなさいよ」
「孝行ってのは親にするもんだ」
「だってぇ……」
けっきょく、映画の他にはどこにも寄らない条件で引き受けた。
けっきょく、映画の他にはどこにも寄らない条件で引き受けた。
ルパン三世のフィギュアは妹二人も気にいって、リビングの棚に置くのを許してくれた。
横の棚にはまねき猫が大小四つも並んで、ルパンはちょっと居心地が悪そうだ。
もう一つルパンの仲間を増やしてやろうと言いだして、峰不二子か銭形警部のどちらがいいかと言ってるところでインタホンが鳴った。モニターにはいかにも刑事という顔が二つ並んでいる。
「すみません、世田谷署の者なんですが、ちょっとお宅の車見せていただけませんか?」
そう言って、ポリス章をカメラにかざした。
「ああ、あたしの車なんで、あたしが出ます」
「すみません、世田谷署の者なんですが、ちょっとお宅の車見せていただけませんか?」
そう言って、ポリス章をカメラにかざした。
「ああ、あたしの車なんで、あたしが出ます」
「さつき、初めて見たってことでな」
「うん、分かった」
オレは、リビングの隙間から刑事二人の映像を撮った。数分でバンパーのシリコンが発見された。
「先日、青山通りの交差点で、信号無視の車に当てられそうになったでしょ。そのとき、その車がとっさに付けていったものなんです。詳しいことは言えませんが、これお預かりしていきます」
そう言って、刑事たちは引き上げた。さつきは見事にとぼけ通していた。
オレは、リビングの隙間から刑事二人の映像を撮った。数分でバンパーのシリコンが発見された。
「先日、青山通りの交差点で、信号無視の車に当てられそうになったでしょ。そのとき、その車がとっさに付けていったものなんです。詳しいことは言えませんが、これお預かりしていきます」
そう言って、刑事たちは引き上げた。さつきは見事にとぼけ通していた。
「なんだか、変なオッサンたちが来てるよ」
さくらが、おずおずとオレを部屋まで呼びに来た。刑事たちが帰ってから一時間ほどたってからのことである。
「オレが相手する」
出てみると、所轄の刑事と中央警務隊に情報保全隊まで揃っていた。で、やはりシリコンのことを聞かれた。
「機密に関わることなので、所轄の刑事さん外してもらえますか」
刑事は、素直に道路まで後退した。
「で、物は、佐倉一尉?」
さくらが、おずおずとオレを部屋まで呼びに来た。刑事たちが帰ってから一時間ほどたってからのことである。
「オレが相手する」
出てみると、所轄の刑事と中央警務隊に情報保全隊まで揃っていた。で、やはりシリコンのことを聞かれた。
「機密に関わることなので、所轄の刑事さん外してもらえますか」
刑事は、素直に道路まで後退した。
「で、物は、佐倉一尉?」
「刑事と名乗る二人に渡しました。これが、その二人です」
「……こいつはC国のエージェントだ。どうして自衛官の君が居ながら、易々と渡してしまったんだ」
「渡さなければ、家族に類が及びます。ただ、中身のデータは改ざんしておきました。コピーがこれです。ビフォーアフターになっています」
情報保全隊の担当者は、すぐに手持ちのタブレットにかけて確認した。担当者は吹き出した。
「これは、君……」
「超極秘機密です、80年前の」
情報保全隊の担当者は、すぐに手持ちのタブレットにかけて確認した。担当者は吹き出した。
「これは、君……」
「超極秘機密です、80年前の」
「旧海軍の空母赤城の諸元と運用記録じゃないか」
「相手は『あかぎ』としか言っていないようですから、変換して書き換えておきました。この一両日で動きがあると思いますが、それは、そちらで処置願います」
「分かった。機転を利かしてくれてありがとう」
「国民の生命財産を守るのが任務ですから。で、うちの家族も国民の一員ですから」
「任せてくれ、君のご一家には類が及ばないようにする」
あくる日、C国の駐在武官が都内で任意同行を求められた。むろん外交官特権で拒否されるが、当局がマークしたと宣言したのに等しい。その外交官はその日のうちに本国に呼び戻された。そして、海自の幹部自衛官が一人逮捕された。ハニートラップにかかった上のことらしい。
とりあえず、家族という国民が守れてよかった。
あくる日、C国の駐在武官が都内で任意同行を求められた。むろん外交官特権で拒否されるが、当局がマークしたと宣言したのに等しい。その外交官はその日のうちに本国に呼び戻された。そして、海自の幹部自衛官が一人逮捕された。ハニートラップにかかった上のことらしい。
とりあえず、家族という国民が守れてよかった。
☆彡 主な登場人物
- 佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
- 佐倉 さつき さくらの姉
- 佐倉 惣次郎 さくらの父
- 佐倉 由紀子 さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
- 佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
- 佐久間 まくさ さくらのクラスメート
- 山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
- 米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
- 白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
- 原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
- 坂東 はるか さくらの先輩女優
- 氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
- 秋元 さつきのバイト仲間
- 四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
- 四ノ宮 篤子 忠八の妹
- 明菜 惣一の女友達
- 香取 北町警察の巡査
- クロウド Claude Leotard 陸自隊員
- 孫大人(孫文章) 忠八の祖父の友人 孫家とは日清戦争の頃からの付き合い
- 孫文桜 孫大人の孫娘、日ごろはサクラと呼ばれる
- 周恩華 謎の留学生