大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

REオフステージ(惣堀高校演劇部)022・かゆ~いいいいい(>▭<)!!

2024-05-06 06:48:55 | 小説7
REオフステージ (惣堀高校演劇部)
022・かゆ~いいいいい(>▭<)!!                      
※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改名改稿したものです





 かゆ~いいいいい(>▭<)!!


 寝ていた須磨が飛び起きた。

「どうかしたんですか?」

 ワンピース8巻目から目を上げて千歳が聞き、PCゲームの啓介も、マウスをクリックする指が停まってしまう。

「なんか居るんじゃないかなあ……あちこち噛まれてるよ……ウウ、手が届かない。千歳、ちょっと背中掻いてくれない」

「は、はい」

 千歳は器用に車いすを旋回させて、須磨の後ろに回ってブラウスの上から背中を掻きはじめた。

「……それじゃ効かない……直接やって!」

「はい」

 千歳は、須磨のブラウスに手を突っ込んで、直接背中を掻いてやる。

 ポリポリポリ

「たしかかゆみ止めが……」

 啓介は部室奥のロッカーをかき回し、数分後に、まとめ買いされていたカユトメンを発見した。

「先輩、これを……」

 カユトメンを手に振り返ると、須磨はスカートをたくし上げてマタグラを。千歳もブラウスのボタンを外してボリボリかいている。

「あ……いちおう、オレも男子やねんけど(^_^;)」

「「あ……」」

 さすがに二人の手は停まった。

「オレ、ちょっと外出てるさかい、カユトメン塗っておさまったら呼んでもらえます?」


 廊下に出て、啓介は二人のかゆみが収まるのを待った。


「この部室、虫が湧いてるわよ」

「ほんと……キャ、これってダニじゃないですか!?」

「この大きさは虱だろうね……」

 血を吸ってまん丸になった虫を掃き集めた。

「ウウウウウ、なんで、こんなのがいるのよ!? ちょっと、啓介せんぱーい!!!」

「え、え、え、なにかなあ……って、その前に服装なおしてもらえませんか(-_-;)」

 須磨も千歳も、カユトメンを塗ったり、痒いところを掻いたりで、あられもない姿になっている。

「いや、あの、だーかーらーー(>〇<)!!」

「信じらんないわよ、この不潔さ(>△<)!!」

 かゆみとおぞましさと怒りのために、恥ずかしさを忘れて、啓介に噛みつく二人。

「ところでさ、小山内君は、どうして痒くならないわけ?」

「あ、そりゃ、オレは虫除け塗ってますから」

「「なんだってえ( ˂˃ ‸ ˂˃) !?」」

「え……オレ、なんか間違えてる?」


 女子二人のジト目に耐えきれなくなってきた啓介であった……。
 


☆彡 主な登場人物
  • 小山内啓介       演劇部部長
  • 沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる
  • ミリー         交換留学生
  • 松井須磨        停学6年目の留年生
  • 瀬戸内美春       生徒会副会長
  • 生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン
  • 先生たち        姫ちゃん 八重桜 松平(生徒会顧問)


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