大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!31『だったらキスしろ!』

2024-10-15 08:30:40 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
31『だったらキスしろ!』 




「この棺の中の……白雪姫だよな?」

 五分経った。

 レミはアニマを、アニマは棺の中の女を見つめるばかりでらちが明かねえんで、聞いてみたぜ。

「白雪姫だよな?」

「…………」

「…………」

「あ、ひょっとして蝋人形か( ゚Д゚)!? 最近のはシリコンとかで出来てっから、スゲェーんだよな。胸とかは特に柔らけえの使ってて、ゼリー胸とか言ってプニプニなんだろぉ(〃∀〃)?」 

「触んなアアア!!」

「おっと、なんにも言わねえから、ちょっとふざけただけじゃねえか! なんか言えよ!」

「ハァ、眠れる森の美女じゃなければね(*´Д`)」

 やっとレミが答える。

「ね、そうでしょ!?」

 レミは、矛先をアニマ王子に向ける。

「あ、ああ……スノーホワイトかもしれないし、シュネービットヒィエンかもしれないけど」

「それ、英語とドイツ語に言い換えただけじゃねえか」

「あ、ああ……そうだよね。でも彼女がスノーホワイトなら、英語じゃなきゃ伝わらないし、シュネービットヒィエンならドイツ語でなきゃ。ボクは日本語だから微妙に違うかも……ハァァァァァ(*´▢`)」

 軟弱王子は、長いため息をついて、うなだれやがった。

「まあ、現実を認めるようになっただけ進歩だけどね。ね、スニージー」

 レミがつぶやいくと、棺の陰に気配がしたぞ。


 ハーックション!


 とたんに大きなクシャミがして、棺の向こうからドワーフが現れやがった。


「やあ、レミ、世話かけるね。そちらさんが?」

「うん、魔法使いのマユ。やっと来てもらえたの」

「そりゃあいい。もう、この世界はこんぐらがっちゃってるからね。よろしくマユ」

「お、おう、おめえ七人の小人のドワーフだろ?」

「ああ、そうだよ」

「他のドワーフは居ねえのか?」

「山に行ってるよ。鉱石掘りが俺たちの仕事だからね。夕暮れになったらみんな戻ってくる。もう少し時間があるから、俺も行っていいかなあ」

「もちろんよ。でも、あの山の向こうで、つま先立ちしてるお星様たちが顔を出すまでには戻ってきてね」

「うん、分かった。それじゃ、ちょっくら行って来る」

 スニージーは、アニマ王子に一瞥をくれると、ハイセイコーの馬面を撫で、サッサと、ツルハシをかついで行っちまった。


「ドワーフたちも、持て余してるのよねえ……」


 スニージーを見送りながらレミがこぼしやがる。

 ヘックション!

 とたんに彼方のスニージーが大きなクシャミ。そのコダマが収まって、マユは聞いたぜ。

「なあ、白雪姫の話ってよぉ、王子のキスで白雪姫が生き返って、メデタシメデタシになるんじゃねえのか?」

「それが、そうならないから、苦労してんのよ」

「ああ、いったいどうすればいいんだ……僕はぁぁぁぁ!?」

 アニマ王子が、頭をかきむしりながら身もだえやがる。

「簡単だ。キスしちゃえばミッションコンプリートじゃねえか!」

「それがね……」

 レミが腕組みをした。

「ひょっとして、アニマって〇〇……なのか?」

「そんな、ボクは〇〇でもなきゃXXでもない! 心から白雪姫のことを愛しているんだ!」

「だったらあ……!」

「ボクが王子でなくて、白雪姫が王女でなきゃ事は簡単なんだけどね」

「ハア……」

 組んだ腕をほどいて、レミはため息をついた。


「僕と白雪姫がいっしょになったら、どうなると思う……」

 アニマ王子は、両手を広げると空をあおいでつぶやいた。

「ハッピーエンドじゃねえのか?」

「考えてもくれよ。一国の王子と王女だよ。それが好きになって結ばれたら、二つの国が合併することになるんだよ。うまく根回ししても、強力な同盟関係になったと思われるし、現にそうなってしまうだろう」

「それがぁ……(‎ ‎¯ࡇ¯ ) 」

 めんどくさいやつだ。

「ここは、北にシンデレラの王国、南に眠れる美女の王国、そのまた南が白雪姫の国だ。うちと白雪姫の国がいっしょになれば、この微妙なファンタジー世界のパワーバランスが崩れ、緊張関係がいっそう増してしまう。王子であるボクは、自分の思い通りには行動できないんだよ」

「でもよ……んなこと、やってみなきゃ分かんねえだろーが。ディズニーアニメだったら、もうとっくにメデタシメデタシでエンドマーク出てんぞ」

「あれはディズニーが、無理矢理話をねじまげたからだよ。ファンタジーの世界はもっとリアルで残酷なんだよ。このグリムの原作を読んでみるといいよ」

 ズイ! パシ!

 岩波文庫のグリム童話なんか出しやがる。そいつをパシっとはたいて襟首を捕まえてやった!

「な、なんだぁ(;'∀')!?」

「グリムの残酷さぐらいは魔法学校で習ったわ! しっかり現実を見てみろよぉぉぉッ!」

「な、なにをする(>○<)!?」

 もう辛抱ブチギレて、アニマを棺の前に引き据えてやったぞ!

「マ、マユ……(;'∀')」

 マユの強引さに、レミは、思わず声をあげやがる。

「好きなんだろーが!?」

「う、うん……」

「愛してんだろーがあ!?」

「だったら、何も考えることは無ぇえ。キスしちまえええ(>▢<)!」

 ありったけの魔力で、王子の顔を白雪姫の顔に近づける……しかし、アニマ王子は渾身の力で抗いやがって、その唇は五ミリの距離を置いて止まってしまう!


「……なんちゅう根性なし!」


「だって、ここで二人が結ばれたら、白雪姫の国で内戦がおこるよ。王妃側と白雪姫側に分かれた血みどろな内戦が!」

「それをなんとかすんのが、王子だろーが!」

 アニマ王子が、顔を真っ赤にして、何か言おうとしたとき。お花畑の横の道に気配がした。


「あのぉ……お取込み中のところ失礼します。このへんでライオンさん見かけませんでした?」

「「「ああん!?」」」

 三人メッチャ不穏な返事をしたのに、 そいつは、白と水色のギンガムチェックに半袖パフスリーブのワンピース。髪はツインテール、バスケットを腕に下げ、赤い靴を履いていて、人の事なんかぜんぜん気にしねえでリフレインしやがった。

「このへんでライオンさん見かけませんでしたぁ?」



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やくもあやかし物語2・07... | トップ | 銀河太平記・254『密航者... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

不思議の国のアリス」カテゴリの最新記事