大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・トモコパラドクス・23『水島クンのアドベンチャー・2』

2018-10-11 06:33:16 | トモコパラドクス

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トモコパラドクス・23
『水島クンのアドベンチャー・2』
 
         


 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女子高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!




 海王星近くで、あいつぐ小爆発! 太陽系辺縁に異変……?

 そんなニュースが世界を駆けめぐった。ただし……扱いは、ほんのコラムだったけど。


 今の二十一世紀初頭の科学技術では、海王星の近所まで行って確認することが出来ない。ハッブル宇宙望遠鏡をもってしても、小惑星か隕石の衝突ぐらいにしか見えず、実際、そこから出てくるデータを解析しても、そういう答えしか出てこなかった。
 ただ、天体観測のデータでは、海王星の近くに、こんな大量の小惑星や、隕石などが確認されていなかったので、世界中の天文学者が騒いだのである。

 むろん、このニュースは紀香も友子も知っていた。友子は未来の義体ではあるが未来の出来事に関するデータは入っていないので、他の人類と同じ程度の知識と興味しかない。
 紀香のCPUには、この情報はあった。

『2013年、海王星付近の未確認連続小爆発』

 これに該当するものだと思った。ならばなんの問題もない。
 たった一週間ほどで、この現象は途絶え、むろん地球にはなんの影響もないのだから……。

 先週の日曜は、父であり弟である一郎が、新製品のルージュ開発のツメのため休日出勤。義母の春奈と家中の片づけをやり、そのガラクタの中から出てきた友子の昔の写真で、友子が一郎の姉であり義体であることも春奈には分かってしまったが、春奈は、やはり娘として友子を扱ってくれている。一郎にはナイショである。
 今日は、一郎も春奈も、新製品のルージュの発表会に、それぞれ開発者、営業担当として休日出勤。従って、今日の友子はホームアロ-ンである。

 今日はアキバにでも行って、紀香とAKBのメンバーにでも化けて遊んでみようかと思った。お気に入りのチュニックを取りだしたところで、緊急のメールが直接CPUに飛び込んできた。圧縮してあるが、広辞苑二冊分ぐらいの内容があった。そして最後の署名。

――SOS 乃木坂の宇宙人――

 了解。そうメールを打つと、友子はテレポートした。アクティブかパッシブかは分からなかったが、かなり強引なテレポートであった。

 気がつくと、そこは宇宙船の中であるようだ。

 地球上のものなら、初めての船の中でも、その全体を掌握し、自在にコントロールすることもできる。しかし、この宇宙船は、そういう点でセキュリティーがきついようで、見えている範囲のことしか分からず、見えていることも、その構造やスペックまでは分からない。

「ごめん、急に呼び出して」

 宇宙人が友子と、友子の背後に声を掛けた。

 ふりかえると、紀香があさっての方角を向いていたが、驚いて、こちらを見た。ここでは義体同士の相互認識力も人間並みに落ちている。
「あ、ごめん。セキュリティーをかけたままだったわね。一秒間だけ解除する。船に関する情報をインストールして」
 頭が一瞬グラリとした。ハンパな情報量ではなかった。
「大丈夫紀香?」
「大丈夫、こんな情報量だとは思わなかったんで」
 友子は、倒れている紀香に手を貸した。
「じゃ、ブリッジにいきましょう」
「あなた、マネって言うのね」
「あんまり好きな名前じゃないけど、一応、そう呼んで」
「あたしたち、この船コントロールできるようになっちゃったけど、いいの?」
「その必要があるから、そうしたの。さ、ここが……」

 ブリッジには、もう一人のマネがいた。

「二人とも、そのマネから離れて、偽者だから!」
 もう一人のマネの声に、友子も紀香もテレポートして離れ、ブリッジの両端に移動した。そして両目のスペシウム光線で、もう一人のマネのCPUを直撃した。
「どうして、分かったの、完ぺきな義体だったのに……」
 偽マネは、苦しい息の中で聞いた。二人は、それに答えず、トドメを刺した。
「ありがとう、助かったわ」
「この子のCPUには、パンケーキのレシピが欠けていたから」
「そうでなきゃ、偽者とは分からなかった」
「さっき、セキュリティーを解除したときに進入したのね」
「一秒で……?」
「船体に張り付いていたら、一秒あれば十分。右舷の装甲が破れて、シールドが効かなかったからでしょうね」
「処分するね……」
 友子は、偽者の義体を船外十キロの位置まで、テレポさせると、舷側のパルスレーザー砲で破壊した。
 原爆並のショックが襲ってきた。
「こっちの弾が当たる前に爆発した……自爆装置が付いていたのね」
 紀香が、生体組織から冷や汗を流していた。
「やっぱり、あなたたちに来てもらって正解だったわ」
 マネも、声を震わせて言った。その時左舷後方から一隻の宇宙戦艦が漂流してきた。
「宇宙戦艦ヤマト……!?」

「いいえ、あれは宇宙戦艦キイ。ヤマトの拡大発展系……昭二クンが乗っている」

 ここが、もし海なら、キイは沈没寸前の姿であった……。


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