大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

REオフステージ(惣堀高校演劇部)130・福引・3

2024-08-24 07:00:54 | 小説7
REオフステージ (惣堀高校演劇部)
130・福引・3 






 ニイチャン、換えたろかあ( ̄ω ̄)

 アメチャンのオバチャンが肩を叩く。

「え、換える?」

「温泉は、まえに当たったさかいなあ、テーブルゲームやったら孫とでもできるよってに」

「え? いいんですか!?」

「うん、有馬とか白浜やったら行くねんけどな、南河内は自分らで、なんべんも行ってるさかいなあ」

「せやせや、惣堀高校は商店街のお得意さんやしなあ」

 肉よしのオバチャンも薬局のオッチャンも賛同してくれる。

「「「ありがとうございます!」」」

 演劇部の三人娘もそろってお礼を言って、温泉ご優待券をゲットした。


 部室に戻ってパソコンを開く。現実に行けることになったので下調べをするんや。


須磨:「ホームページで11800円だから、実際は10000円というとこでしょうねえ」

ミリー:「これで、二食付きで温泉入り放題!?」

千歳:「お部屋も悪くないです!」

啓介:「こんなとこに行き慣れてるって、リッチなんやなあ惣堀のオバチャンらは!」

千歳:「ちょっと、いいですかあ」

 お部屋に感激した千歳が車いすを乗り出す。

千歳:「ああ、バリアフリー! 洋室もあるから、介助なしでもいけそう!」

 なんだかんだで半年になるけど、千歳はやっぱり気にしてるんや。もう、俺たちは自然に千歳の介助は出来るようになってる。でも、口に出しておくことでエクスキューズを表明しておきたいんや。

ミリー:「ハハ、シスコの温泉プールはイマイチやったしね」

 うん、出会ったアメリカの高校生はええ奴らやったけどな。

須磨:「じゃ、いつにする?」

ミリー:「啓介、パンフ見て」

啓介:「うん、ええと……来週から一か月」

ミリー:「そかそか、じゃ、テスト期間を外して……候補は三つやね」

 ミリーが、カレンダーの三つの土日をチェックする。

千歳:「いつがいいですかねえ(*^^)」

須磨:「ま、慌てて決めてもなんだから……この週末一杯考えて決めよっか!」

 須磨先輩の一声で決まった。せいてはことを仕損じるというやつや。


 いちおう顧問や担任にも話しておこうということで、オレ一人先に帰ることにした。やっぱ、千歳の事や女生徒の宿泊とかがあるので、あとで苦情が出ないようにという須磨先輩の知恵。


 再び商店街を谷町筋に向かって歩く、自然と福引会場に目が行ってしまう。

 一等賞品獲得者様ご芳名!

 大売出しのポップみたいなのが張り出してある……ということは、残る一本を引き当てた人がいてるのか?

 知らん苗字(プライバシーがあるから苗字だけなんやろう)と並んで、似たようなのが二つ……一つは俺たち空堀高校演劇部。もう一つは……船場女学院高校演劇部……!?

 船場女学院!?

 東横堀川を挟んで立ってる、うちの惣堀高校とは対照的なお嬢様高校や!

 ドキドキドキ……

 自分でも気恥ずかしいほど胸が高鳴った。



☆彡 主な登場人物とあれこれ
  • 小山内啓介       演劇部部長
  • 沢村千歳        車いすの一年生  
  • 沢村留美        千歳の姉
  • ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿
  • 松井須磨        停学6年目の留年生 甲府の旧家にルーツがある
  • 瀬戸内美春       生徒会副会長
  • ミッキー・ドナルド   サンフランシスコの高校生
  • シンディ―       サンフランシスコの高校生
  • 生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口
  • 先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)
  • 惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)
 

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