頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

横道が面白い「逆説の日本史」 (1)

2017-12-20 16:07:34 | メモ帳

私は「逆説の日本史」(以下、「逆説」)の著者である井沢元彦氏のファンである。これまで、「逆説」は第23巻の「明治揺籃編」まで刊行されているが、私は第一巻からずっと読んでいる。

私が井沢元彦氏を高く評価する理由は、彼が歴史を常に現代と結び付けて論述すること。現代と結び付けて説明すると、どうしてもその現代の部分が長くなりがちだ。「横道に逸れる」と表現してもいいだろう。そして、その「横道」部分が面白いのだ。特に、「逆説」の23巻では、第一章「近現代史を歪める人々」が全体の約半分である186ページを占めるが、これは井沢氏の典型的「横道」である。

今回は、第23巻に述べられている「横道」について考えてみたい。以下は、ほとんどが井沢説の受け売りだが、一部私の解釈も混じっている。

さて、戦後、日本のマスコミ特に朝日新聞は、戦前の日本のあらゆる部分を否定し、ソ連・北朝鮮・中国を礼賛した。その結果、北朝鮮帰国事業や文化大革命が過度に美化され、数々の弊害を生み出した。例えば、北朝鮮に帰国した朝鮮人は現地で差別され悲惨な目にあった。北朝鮮による拉致問題でも、産経新聞を除くマスコミは、「北朝鮮による拉致問題などありえない」という態度だった。それが、小泉純一郎元首相の功績により、やっと実態が明るみに出た。

慰安婦問題では、朝日新聞は故吉田政治清治の妄言に騙され、誤った情報を流し続け、30年後の2014年にようやくその誤報を認めた。「うっかり訂正すると、右翼の連中が元気づき、読者が引きずられるかも知れない」と思ったのだろう。しかも、その誤報を認めた時でさえ、朝日は福島原発問題の誤報と同時にしかも原発問題よりも小さく発表し、慰安婦問題を矮小化した。そして、謝罪の言葉は述べなかった。

戦時中、軍部は負け続けているにもかかわらず、嘘の情報すなわち大本営発表によって国民を騙した。軍部は「真実を発表すれば、国民の士気低下を招く」と考えたのである。すなわち、国民を一段下に見た情報操作によって、国が進むべき方向を見誤らせたのである。

自分が正しく、読者より偉いと思っている点では、朝日新聞も昔の軍部を同じである。軍部と朝日新聞の類似点はまだある。

それはトップがバカであること。朝日新聞は、慰安婦誤報を認めた際、これに関する池上彰のエッセイの掲載を拒否した。しかし、池上彰の反撥に会い、大問題に発展して、結局木村伊量社長は謝罪する羽目になった。問題は、その時木村社長が「言論の封殺という批判を受けるとは思いもよらなかった」と弁明したこと。「言論封殺はノーである」ことは、マスコミ人としての基本的常識であるが、それを社長が気づかないとはなんたることか。

軍部のトップは、エリート集団だった。朝日新聞のトップも知能指数が高いエリート集団である。そのエリートたちがなぜ、こんなバカげたミステークを犯すのか。「自分たちが国を正しい方向に導くのだ」という常識を逸脱した傲慢さがその根底にある。