頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

宮部みゆきの「悲嘆の門」に失望

2018-01-04 16:21:59 | メモ帳

宮部みゆきの「悲嘆の門」上中下を購入したが、中巻の始めまで読んで、そこから先は読む気が失せ、古本屋に売却して処分した。下巻はまったく読んでないし、中巻も新品同然だから、古本屋はさぞ喜んだことだろう。なぜ、こんなアホなことになったのか。

私の趣味の一つは推理小説を読むこと。好きな作家は松本清張・森村誠一・東野圭吾など。彼らに共通する特徴は、作品の構成が緻密で、現実性があり、最後の種明かしまで一貫して論理性があること。

宮部みゆきの作品も、「模倣犯」、「火車」、「理由」、「ソロモンも偽証」などは、こうした系譜にあるから、著者が宮部みゆきなら私の好みに合うはずだ、と作風に信頼して新作を購入する。

しかし、「悲嘆の門」は違った。上巻は期待にそむかぬ出来栄えで、話がその先どう展開するのかわくわくしつつ読了。ところが中巻の始めに怪物が登場した。その怪物とは、巨大な女性で、髪の毛が長く、底光りする翼をもっており、空を飛べる。革のベスト、革のパンツ、ごついベルトを身につけ、柄が長い鎌を振り回す。そして、その刃に殺した人の顔が映る!

こんな空想的怪物が出てくるのでは、現実性も論理性もあったものではない。小説なんだから、何を登場させようが作家の自由だ。そして、そんな怪談を好む読者もいるだろう。しかし、作家にはその作風で期待されているのだから、あまりにも過去の作風からかけ離れた新作を発表するのはいかがなものか。

詐欺にあったような気分である。