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城内実氏が日韓議員連盟を脱退した理由

2019-04-24 14:44:03 | メモ帳

「文芸春秋」5月号に掲載された衆議院議員城内実氏の寄稿を読んだ。タイトルは“私が日韓議員連盟を脱退した理由”で、副題に“韓国には「報復」と「謝罪要求」を”とある。

同氏は、外務省アジア局北東アジア課に勤務し、韓国を担当した。2002年に外務省を退官して衆議院議員に転出してからは、過去の経験を生かすべく、日韓議員連盟に所属し、韓国との友好的関係を構築すべく努力してきた。しかし、文在寅政権になってからの韓国の常軌を逸した対日外交に愛想が尽き、2018年11月に同連盟を脱退した。

城内実氏の論文を読んで、おおむね共感した。“おおむね”とした理由は、1ヶ所だけ、納得できないことがあるからだ。それは、「慰安婦強制連行の事実は確認できなかったが、女性の尊厳を傷つけたことには真摯に向き合うべきだ」という箇所である。

戦争当時、日本(朝鮮含む)では売春は合法的職業だった。当時、“買春行為は女性たちの尊厳を傷つける”と発言したら、売春婦たちからは“営業妨害だ”と苦情を言われ、評論家からは“職業に貴賤なし。そういう発言そのものが売春婦たちの心を傷つける”と批判されただろう。

すなわち、現代の価値観で過去を律することは誤りなのである。いわゆる慰安婦は、“単なる売春婦だった”という認識で対応すべきである。*(注1)

城内論文のその他の部分では、大いに共感した。特に“そーだ、その通りだ”と強く感じた部分の要点は次のようである。

「日本はこれまで韓国に贖罪意識をもって接してきたから、韓国の言うことには表立って反論しない雰囲気があった。それが韓国に甘えの構造を生んだ。ところが、最近の韓国の日本に対する対応は常軌を逸しており、しかるべく報復するとともに、事案によっては毅然とした態度で謝罪を要求すべきである」

その通りだが、太字にした「韓国に贖罪意識をもって接してきた」の部分を補足したい。

産経新聞を除く日本のマスコミは、戦後の占領軍によるWar Guilt Information Programに洗脳され、日韓併合が不当行為であったという思いこみで記事を書いてきたから、日本人はそのように認識してきた。

しかし、「親日派のための弁明」の著者、金完燮(キムワンソブ)氏の認識は違う。以下、同書から特に重要な部分を抜粋して引用するが、同書は韓国人を対象として執筆され、その後、日本語に翻訳されたものであることに留意して頂きたい。 

私たちは歪曲された教育によって、韓日保護条約(1905年)と韓日併合(1910年)が日本の強圧によって締結されたものであると信じているが、事実はまったく違う。日本と合併することだけが、朝鮮の文明開化と近代化を達成できる唯一最善の道であった” 15ページ 

私たちが韓国社会への日本の寄与を高く評価すべきなのは、かれらが朝鮮半島に社会的間接資本を建設して工場を建て人々を開化させたからではない。もし私たち自身が立憲君主国家をつくり、長い年月をかけて自力で近代化をこころみたとしても、当時の朝鮮の文化、社会制度、理念といった精神的装置は堅牢で、私たち自身では壊せなかった。・・・日本という異民族の統治を受けたがゆえに、かくも短期間に前近代的な要素を徹底して破壊し、そのうえに新しい社会を移植できたのだ” (105ページ) 

「親日派のための弁明」には併合前後の朝鮮の社会状況が克明に記されており、著者の認識が正しいものであることを裏付ける。そして、金氏の認識は異端ではない。日韓併合に関して、正論を吐いた当時の文部大臣、藤尾正行氏は大手各紙の社説で総攻撃されたが(1986年)、その時の各紙の社説のタイトルは次のようであった。「藤尾発言は見過ごせない」(朝日新聞)、「閣僚の資質が問われる藤尾発言」(読売新聞)、「外交センスがない政治は国を滅ぼす」(日本経済新聞)などなど。四面楚歌となり、罷免された藤尾氏の主張は「親日派のための弁明」(2002年刊行)の認識と基本的に同じである(注2)。

そして、城内論文も同様である。遅きに失したが、日本の世論はやっと正常な軌道に乗った感がある。

(注1)河野洋平氏は慰安婦問題で謝罪したが、それは河野氏が朝日新聞の誤報を信じていたからであろう。もし、慰安婦たちが拉致されたのであれば、“尊厳を傷付けた”ことになる。

(注2)「親日派のための弁明」は、その末尾で藤尾発言を詳細に論じている