頑固爺の言いたい放題

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亀裂が生じた中国首脳部

2020-04-04 15:51:58 | メモ帳

4月2日の産経新聞に掲載された石平氏の小論“隠蔽された李首相の警告”は興味深い。(赤字)

先月24日、中国国務院弁公庁開設の「中国政府網」という政府の公式サイトが、新型コロナウイルス問題に関する李克強首相の最新発言を掲載した。それは、23日に開かれた中央の新型肺炎対策会議における発言で、李首相は今後の新型コロナウイルスの拡散状況について次のような見解を示した。
(1) 今度の疫病は以前のSARSのように突然消えてしまう可能性は低い。われわれはより大きな困難に持久的に備えなければならない。
(2) 全国規模の感染はすでに遮断されたが、零細的な病例発生や局部的な感染爆発の危険性は依然存在する。
(3) われわれは局部的あるいは広範囲の感染の爆発を断固として阻止しなければならない。
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上記の発言以外にも、李首相は感染の情報公開の透明性についても言及し、「感染の統計データが正確でなければならない。隠蔽があってはならない」と戒めた。その裏返しからすれば、感染の実態への隠蔽が今でも行われているわけである。
中国の宣伝機関が今、「習主席の指導下で、われわれが疫病との戦いに勝ち続けている」と吹聴し、いわば戦勝ムードを醸し出している中で、李首相の発言は責任ある立場から現状を冷静に見つめたものである。
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しかし、24日付けの人民日報は、前日の李首相主宰の新型肺炎対策会議の内容を1面で報道したが、前述の「中国政府網」掲載の重要ポイントが、この人民日報の記事から見事に漏れているのである。

・・・どうやら人民日報とその上の共産党宣伝部は、楽観的な戦勝ムードを作り出すために、自国首相の重要発言さえ隠蔽してしまったようである。
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背後にあるのは、新型コロナウイルス対策における、李首相の率いる政府と習主席の率いる党中央との意見対立であると推測できよう。政権内の亀裂はすでに、表面化し始めている。

この小論を読んで思い出したことは、1月27日に李首相が武漢に入って疫病問題の陣頭指揮を取ることになったと思われたが(写真)、その後習近平主席が李首相を押しのけて、自分が陣頭指揮を取る態度を鮮明にした事件。

その時、頑固爺は“これでは李首相のメンツが丸つぶれだが、なにも言わず引き下がったのか”と疑問に思ったが、やはり両者は対立していたようだ。なお、習主席が武漢を視察したのは3月10日である。

石平氏の小論を読むと、習近平と李克強の間にはコロナを挟んで対立があることは明白だが、その対立は1月下旬からすでに起きていたと推測する。北京や上海などは未だに厳戒態勢にあり、李首相が懸念するような事態が現実になる可能性は残っている。さらに、李首相は「隠蔽はなしだぜ」と釘をさしており、習は正念場を迎えている。