韓国の中央日報日本語版(4月14日)に興味深い記事があったので、ご紹介したい(赤字)。
「興味深い」とは、この記事の趣旨は「過度の反日は、韓国にとって不利になる。むしろ、韓日は協力すべき時である」ということで、かなり穏当であり、韓国のマスコミの「日本評」としては珍しいからである。
日本国内の新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染者数が急増しており、関連記事に反日コメントが列をなしている。「地獄の門が開かれた。1万人突破は時間の問題」(注1)「絶対に助けてはいけない」--背筋が寒くなるような内容ばかりだ。
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コロナで日本経済が消える場合(注2)、韓国側が反射利益を得るだろうという期待もあるようだ。日本企業が路頭に迷えば、ライバルの韓国会社側が海外占有率が高まるという論理だ。だが、他の外国にも競争者が山程いる世の中だ。日本の分をすべて韓国会社が占めることができるという保障はない。
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かえって日本の深刻な沈滞によって韓国経済がかぶる被害を心配するほうが正しい。最大の悩みは半導体・ディスプレー・化学製品など多くの戦略品目の核心材料・部品が依然として日本製だという点だ。
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韓国と日本がこれまでどのような葛藤を繰り広げてこようが、今は戦いをやめる時だ(注3)。安倍政府が初期対応に失敗して感染者が急増しているが、日本は間違いなく基礎医学先進国だ。2012年以降、ノーベル生理学・医学賞受賞者を4人も輩出している。
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今、世界の目はコロナを初期に体験した北東アジアに集まっている。この地域で何らかの解決法が見つかるように願う世界中の人々の期待が切実だ。だから政府が率先して韓日専門家が協力し合えるように道を開かなければならない。
この記事は穏当だが、それでも突っ込みどころはいくつかある。
●(注1)の「1万人突破は時間の問題」とはどういうことか
この記事の前日(4月13日)時点で、韓国のコロナ感染者数10,537人、死亡者数217人に対し、日本はそれぞれ8,393人と155人(クルーズ船含む)だった。だから、韓国のマスコミ(ネット民か)は「日本だって、もうすぐ(韓国と同様の)感染者1万人を突破する。ザマ見ろ、いい気味だ!」と喜んでいたらしい。その風潮をこの記事がたしなめた、ということになる。
これは“目糞、鼻糞を嗤う”の口である。韓国が何事でも日本を気にすることは知っていたが、これほどとは思わなかった。人口対比では、日本は韓国の2倍であってもおかしくないが、この場合は人口対比を考えたくないのだろう。
●(注2)の「コロナで日本経済が消える場合」について
「日本がコケルと韓国が困る」とはその通りだが、この論理は「韓国経済はダイジョーブだが、日本は危ないから安心できない」という、上から目線のニュアンスであるように感じる。
実際には、韓国の輸出はコロナ以前から激減していたし、今や日本との外貨スワップ協定(日本から外貨を借りるに等しい)の必要性が論じられているくらいで、どちらかと言えば韓国経済の方がヤバイ状況にある。この記事の筆者も、そのくらいは承知しているはずだが、正直に書くと「親日派だ!」と批判されるのではないか(笑い)。
●「注3」の「今は戦いをやめるときだ」について
「戦い」とは武器による殺戮合戦ではなく、外交戦を意味しているが、それでも日本を敵国と認識しているわけだ。コロナが収束した暁には、“慰安婦問題を蒸し返すぞ、徴用工問題も譲らないぞ、竹島は渡さんぞ”という強い意気込みが感じられる。
ところで、任天堂のSwitchと「どうぶつの森」が韓国でもバカ売れらしい。早朝から番号札を求めるマスク着用の若者の列ができているという。日本品不買運動はもうやめたのかな。不買も「戦い」の一部だと思うけど・・・。