頑固爺の言いたい放題

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中国はいかにしてコロナをねじ伏せたか

2020-08-05 13:22:39 | メモ帳

新型コロナの感染者が世界で1,800万人を超え、死亡者は689,000人となった(厚労省8月3日発表)。その国別内訳を見ると、中国が異常に少ないことがわかる。主要国の感染者・死亡者数を下に示す。

国名                      感染者数       死亡者数                 

米国                    4,667,955        154,860

ブラジル             2,733,677        944,109

インド                 1,803,695          38,135

英国                       306,319          46,286

スペイン                288,522          28,445

サウジアラビア      278,835            2,917

イタリア                248,070          35,154

ドイツ                    211,220            9,154

アルゼンチン         201,910            3,648

フランス                188,003          30,265

中国                         84,428            4,634

日本                         38,687            1,012

韓国                         14,389               301     

感染者数は各国それぞれ事情があるから度外視して、死亡者数に注目する。中国の死亡者数4,634人は、絶対数でも、日本・韓国など数か国を除いて、ほとんどの国々よりも少ない。さらに、中国の人口が約14億人で、日本の10倍以上であることを考えると、この数字は驚異的である。

発症地であり、人口が格段に多い中国が、いかにしてウィルスを抑え込んだか。誰しも考えつくことは、専制国家の利点を生かして、強権的措置を講じた、であろう。そして、その答えが「疫病2020」に記されている(322ページ)。

「疫病2020」に述べられている中国のコロナ対策を全てここに書くわけにはいかないが、一つだけ爺が“中国ならでは”と感じた点をかいつまんで引用する。(青字)

中国では、国民一人一人の行動が政府に監視されているが、今回のコロナ騒動でさらに監視システムが強化された。全国に2億台ある監視カメラと、ほとんどの国民が所有している携帯電話を活用したのである。誰がどの交通機関を利用し、どのレストランで誰と会ったかが、すべてわかるようになった。ウィルス撲滅、濃厚接触者の追跡という名目で、あらゆる監視の手段が整えられた。

国民一人一人の行動がすべて政府に掌握されている。何人かがどこかに集まった段階で潰されるから、民主化運動や革命などおこりえない。中国は軍事・公安管理に移行し、習近平国家主席は“皇帝”になったのである。

自由義国家では、バタバタ人が死んでいる。それに比べれば、人権抑圧などやむをえない、ということになのか。韓国でも初期段階では教会におけるクラスター発生などがあったが、スマホが普及していることに助けられ、感染者を追跡することで、感染拡大を防ぐことができたと聞いている。そして、その結果が上の表に示されている。

人権擁護は自由主義社会における最大優先理念であり、日本を含む先進自由主義諸国では、情報による国民の行動管理は論外である。現在の戦いは、行動管理なしでの感染拡大の阻止と経済維持の両立である。しかし、出口がまだ見えてこない。自由主義諸国では今だかつてない難問の解決に迫られているのである。