最近の朝鮮日報に興味深い記事があった。長いので要約して引用する。(青字)
2019年、文政権は「独立有功者の全数調査」を開始し、対象者15,000人の過去の親日行跡を調べ、第一次分として軍人・学者など619人を割り出し、その中で叙勲を取り消すべき人物が16名いることが判明した。
ところが、その16人の中に文大統領が去る6月、顕忠院の追悼式で独立軍の英雄として賞賛した崔振東(チェ・ジンドン)将軍が含まれているため、文政権は困惑している。
「独立有功者の全数調査」とは、字面からすれば、“韓国の独立に功績があったすべての人を調べ直す”という意味にとれるが、記事の前後関係から判断して、実際には“功績があったとされる人々に、親日の疑いがないかどうか確認する調査”ということらしい。
さらに、“独立軍の英雄”とは何だ、という疑問も生じる。ネットで調べると、崔振東将軍とは、日本併合時代の1920年(大正9年)6月に独立軍が満州で、日本正規軍を相手に勝利を収めた「鳳梧洞戦闘」の中心人物、となっている。教科書にもそのように載っているらしい。
この「鳳梧洞戦闘」は、そのままの題名で2019年に映画化され、大ヒットした。ネット情報によれば、この映画は戦果を針小棒大に膨らませた反日映画であり、“こうあってほしい”という願望に基づくファンタジーらしい。そして、崔振東なる人物はゲリラ(もしくは盗賊団)の頭目にすぎず、“将軍”という称号は適切ではないと思われる。
百歩譲って、その“独立軍”が存在したとして、1945年8月15日の日本の敗戦までの25年間どこにいたのか。おかしな独立戦争があったものだ(笑)。
しかし、韓国人がそう思い込んでいるのだから、それでよい。では、崔将軍の親日疑惑とは何か。朝鮮日報の記を引用する。(赤字)
崔将軍の親日論争は1960-70年代に中国で起きた「文化大革命」の渦中で、中国にいた崔将軍一族が「財産が多い」という理由で批判の対象になったところから始まったという。
一部の親類が、自分たちだけでも批判から逃れるために「一族の父(崔将軍)は親日派」という形でののしったのが始まりだった-という説明だ。崔将軍が日帝に「国防献金」をしたという疑惑もあるが、これは「崔将軍の妻がこっそりやったことで、後で知った崔将軍は激怒して絶縁まで行った」と主張した。
文化大革命当時(1966~1976年)中國にいた崔振東の子孫が金持ちだったことが、なぜ崔振東自身の“親日疑惑”につながるのかよくわからないが、韓国人にはそれでいいのだろう。
そして、朝鮮日報は記事を次のように締め括っており、これは良心的批判と評価する(赤字)
今回の調査を通して、現政権は「新たな親日派」を発掘し、いま一度「親日追い込み」で政治的波及効果を狙ったのかもしれないが、結果的には自分の足を切ってばかりいる。
この事案は韓国の内政問題であり、日本が関知することではない。しかし、不思議なことは、こうして過去の人物の言動をほじくり返して、それらしき根拠を見つけては親日派と決めつけることに何のメリットがあるのだろうか、である。まったく不可解な人々だ。