頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

食べ残し禁止令の背景

2020-08-21 13:27:06 | メモ帳

習近平国家主席が“食べ残し禁止令”を発した。さらに、何人かで会食した場合、人数分ではなく、n-1(8人なら7人分)で注文せよという指示もあった。確かに、中国人は(韓国人も)食事に招かれた時、全部きれいに平らげると、“もっと欲しい”という意思表示になるので多少食べ残すのが礼儀らしい。

爺は7~8年前、グアムのホテルの“食べ放題”の朝食で、韓国人のカップルが大量に食べ残したのを見て呆れたが、あれも食事の作法だったのか(笑)。

https://www.youtube.com/watch?v=Z7jg6gQuysg

さて、国家の最高権力者が国民の食事の作法まで指令を出すとは異例である。水害や虫害(バッタ)も影響して、よほど食糧事情が悪化しているに違いない。

そこで、中國の食糧品輸入の状況を調べてみた。下の表は、コメの輸入量と自給率の推移を示す(出所:日本の農林水産省の資料)。2012年以降、輸入量が急増していることがわかる。この表は2015年までの推移だが、それ以降はさらに増加傾向が顕著になっていることだろう。そして、コメだけではなく、トウモロコシ、大豆、小麦、牛肉、豚肉も同様である。

中国の輸入量があまりにも巨大であるために、生産国は余剰分を輸出するというレベルの問題ではなく、中国向けに一旦輸出したら、翌年以降も少なくとも同じ生産量を維持することになり、好むと好まざるにかかわりなく、相互依存関係が生まれる。

中国は米国との貿易交渉で、トウモロコシ(家畜の飼料になる)の輸入を減らすなどと米国を脅したが、輸入が減ると困るのはむしろ中国である。そして、中國を当てにしている米国の農家も困る。

米中だけの問題なら日本は高みの見物だが、食料品の国際相場が上昇すると日本も影響を受ける。習近平主席が食べ残し禁止令を出すのは結構なことだが、農業生産性を向上させ、自給率を高めることが本筋であろう。