前回に引き続き、慰安婦問題について論じる。
ソウル地裁は日本政府に対し賠償金を支払うよう命じる判決を延期したが、結論の大筋は変わらないだろう。日本政府は「主権免除」を理由にこの裁判そのものが無効であるという立場だが、慰安婦問題を蒸し返すことは2015年の日韓合意に反することは韓国政府も認めている。
中央日報(1月9日)の記事から引用する(赤字)。
外交部は判決から約6時間半後のこの日午後4時32分、チェ・ヨンサム報道官の名義で論評を出し、「政府は裁判所の判断を尊重し、慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復するため、政府ができる努力をすべてしていく」とし「政府は2015年12月の韓日政府間の慰安婦合意が両国政府の公式合意という点を想起する」と明らかにした。続いて「今回の判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国間の建設的かつ未来志向的な協力が継続するよう諸般の努力をする」と伝えた。
この日韓合意はオバマ政権の時に副大統領だったバイデン新大統領が音頭を取ったものであり、文大統領もそれを重々承知しているからこそ、下線部分のコメントが出たものと推測する。だからか、文大統領は年頭演説でもこの問題には触れなかった。まさに、進退窮まった感がある。
ここで爺が合点いかないことは、日本のマスコミがソウル地裁の判決の根拠である“拉致”に一切異論を唱えていないこと。
本日の産経新聞も「・・・そもそも判決は事実に基づいていない。『反人道的行為』の証拠はどこにもなく、『謝罪や賠償を受けていない』というのも明確な誤りである」と述べてはいるが(第一面の「産経抄」)、この程度の軽い批判では韓国のマスコミは無視するだろう。このブログで前回、爺は朝日新聞が誤報の謝罪広告を韓国の新聞に掲載することを提案したが、案の定朝日新聞はその投稿を無視した。
日本のマスコミはソウル地裁の判決が根本的に誤りであることを大々的に批判すべきだが、なぜか沈黙を保っている。同業者の仁義として、誤報を垂れ流してきた朝日新聞のメンツを潰すわけにはいかないのか。
政府を批判するばかりがマスコミの役割ではあるまい。たまには政府ができないことをやってはどうか。マスコミ各社の愛国心に期待する。