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歴史問題:進退窮まった文在寅大統領

2021-01-20 16:23:53 | メモ帳
文在寅大統領は、徴用工問題に関して「資産売却望まない」、慰安婦問題判決に関して「困惑している」と発言した。明らかに態度が軟化しているが、解決案を提示しているわけではない。それどころか、日本側に協力を要請していることから、日本に責任をかぶせたい気持ちが透けてみる。軟化のアドバルーンを上げて、日本側の反応を窺っているだけはないだろうか。それとも、あまりにも難題が山積して、精神分裂がおきたのか(笑)>

ところで、文芸春秋2月号に、韓国の文正仁(ムンジョンイン)外交特別補佐官の談話(韓国人ジャーナリストに答える形)が掲載されている。この補佐官の談話は文大統領の発言と基本的には同じ趣旨なので、「徴用工問題に『癒しの基金』を」と題したこの談話記事を読み解いてみたい。

文正仁補佐官の談話の要点は次のようである(青字)。

日本政府は徴用工問題が解決しなければ、韓日首脳会談は行われないという立場だが、そうではなく、戦略的協力と経済協力が進展すれば、韓国の国民世論が形成され、自ずと歴史問題の解決策も出てくる。

徴用工問題の解決案として、文喜相前国会議長が以前に提案した「基金」が有力である。すなわち、日本企業が賠償金を支払い韓国側も資金を提供して、「韓日の歴史の癒しの基金」を設ける。ただし、それでも被害者の同意が得られるかどうかの疑問は残る。

歴史問題は首脳間の話し合いで妥結する問題ではなく、国民の情緒が関連するため、時間をかけて治癒していくヒーリングの過程が必要である。したがって、まず両国首脳が虚心坦懐に話し合い、友好関係を構築することが望まれる。

要するに、文大統領は歴史問題を解決できないから、まず友好関係を再構築することを先行させようという提案である。

解決策として提案された「癒しの基金」はもっともらしく聞こえるが、そのような「基金」は、裁判の成り行きを見守っている原告以外の元徴用工たちと、その遺族そして徴用工の「成りすまし」に賠償金を与えるチャンスを与えるだけである。「基金」を設けたければ、韓国が勝手にやればいいことだ。

慰安婦問題では、“被害者の気持ちが無視された”と難癖をつけて、合意をなかったものにしようとした。そして、徴用工問題では「基金」を設けても原告が同意するかどうか確信を持てないという。しかし、こうした「国民情緒」との調整は、「情治国家」と揶揄される韓国独特の仕事であり、日本が関知することではない。

一般論として、協定が成立するまでは、相互の協力とか妥協は必要だが、協定が成立したあとになっても、協力や妥協を求めるのはただの難癖にすぎない。歴史問題で、自分がちゃぶ台返しをしておきながら、日本に問題解決の協力を求めるのは筋違いである。このままでは韓国は自力では解決できないというが、解決策を考えるのは韓国政府の仕事である。

韓国が自分で解決策を考えることができないなら、日本は放置するしかない。これまで何度も妥協したが、後ろに下がると、踏み込まれるだけだった。経済界ではボイコットの対象になったビール業界などに支障も出ているが、ここは我慢のしどころである。長期戦を覚悟しようではないか。