1月12日の産経新聞は次のように報じた(赤字)。
韓国、海保に調査中止要求
11日午前3時25分ごろ、長崎・五島列島の南西に位置する女島から西方約140キロの東シナ海で、日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査をしていた海上保安庁の測量船「昭洋」に対し、韓国の海洋警察庁所属船が接近し「ここは韓国の水域だ」と」して、調査の中止を繰り返し要求した。海保は日本のEEZ内であることから、「要求は受けられない」と現場で要求を拒否、日本政府は外交ルートでも韓国に抗議した。(以下省略)
この案件を読売も朝日も報じていない(毎日は調べてない)。産経以外は重要視していないということだろう。韓国の新聞を調べてみたら、中央日報が一面トップで大きく報道していた。その記事の一部を引用する(赤字)。
日本測量船の韓国EEZ進入、慰安婦判決に引き続き葛藤重なる
昨年末から韓日関係改善のために水面下で動いていた韓国政府が、最近裁判所の慰安婦賠償判決に続いてまた別の暗礁にぶつかった。11日、韓国海洋警察庁所属の警備艇が両国の排他的経済水域(EEZ)重複区域に進入した日本海上保安庁所属測量船に退去を要請したことに対し、日本政府が「受け入れられない」として反論に出た。
加藤勝信官房長官は12日の定例記者会見で「調査は日本の排他的経済水域(EEZ)で行われている。中止要求は受け入れられない」と話した。韓国外交部はこれに関連して「韓国側に事前に同意を受けなかった日本側の海洋調査は直ちに中止しなければならない旨の要求を明確に伝えた」と明らかにした。
・・・両国は1998年に締結された韓日新漁業協定によってこの重複地域では相手国の国民と漁船に対して自国の法令を適用していない。また、漁獲量などに対しては協議を通じて調整して、漁業資源は共同で保存・管理する。だが、今回のように政府所属の船の海洋調査活動に関してはまだ合意に至っておらず、国際法および各国規定に従うよりほかはない。(以下省略)

EEZ(排他的水域)とは自国から200海里(370km)であり、問題の地点は女島から140kmだから日本のEEZ圏内である。しかし、中央日報の説明では、この水域は両国のEEZが重なり合う部分だという。つまり、韓国の海岸線から200海里以内ということだろう。
ネットから拝借した地図にある黄色の線は日本が主張するEEZの線であり、韓国が主張するEEZ線はその右側(東側)にあるものと解釈する。
産経の記事は説明不十分であるが、産経はすべて知っての上で、韓国悪者説に仕立て上げるために、知らぬふりをした可能性もある。
海保も韓国の公船も計器を見ているのだろうから、自分がいる場所を間違えるはずがない。なんでこんなバカげたことが起きるのか不思議だったが、中央日報の説明を読んで合点がいった。
昨年8月にも同様の事件が起きたが、今後も繰り返されるだろう。素人考えでは、EEZが重なり合うのであれば、両国の海岸線から等距離の所にEEZ線を引けばいいのではないかと思うのだが・・・。
日韓関係が険悪であるだけに、紛争を未然に防止するためにも、この際はっきり決めておくべきではないか。