このブログ4月30日の「NHKによる軍艦島の大誤報」において、NHKの昔の番組「緑なき島」の映像が韓国によって悪用されたと述べた。
「緑なき島」は今から65年も前に放送された番組だが、2020年10月16日に九州・沖縄限定で放送された番組「実感ドドド!追憶の島~ゆれる歴史継承」から、現在のNHKの体質を検証してみる。
その番組は、次のナレーションから始まる。(赤字)
今、軍艦島が論争の舞台となっている。(中略)5年前、明治日本の産業革命遺産の一つとしてユネスコの世界遺産に登録された軍艦島。その際、日本政府は歴史全体を伝えるようユネスコに勧告された。今年、その勧告を受けて政府は展示施設をオープン。しかし、戦時中の動員の歴史を美化しているなどと、国内外から批判の声が上がっている。
このナレーションで、「日本政府は歴史全体(full history)を伝えるようユネスコに勧告された」とあるが、その勧告とは韓国と日本の反日勢力が軍艦島の部分にイチャモンつけ、論争になったことを受けたものである。
その勧告を受けた「展示施設」とは産業遺産情報センターのことであり、ここにはすでに各国の駐日大使も多数訪れており、「まったく問題ない」と評価している。(加藤康子館長)
また、「国内外から批判」という表現では、複数の国と国内の多数の識者から批判があるように聞こえるが、実際には韓国と日本の反日勢力だけがイチャモンつけているのであり、悪意が感じられる表現である。
さて、この「実感ドドド・・・」の番組は、NHK取材班の「歴史には光と影、正と負があります」という発言から始まる。換言すれば、NHKは言外に「産業遺産情報センター」の展示には負の部分が欠けていると批判しているわけで、これがこの番組の狙いであることが想像できる。
この番組については、<実感ドドド!追憶の島~ゆれる歴史継承>で検索して頂きたい、そこに表示されるいくつかのURLの中では「軍艦島の真実」がお勧めである。
以下、この番組におけるNHKの情報操作について述べる。
●番組では軍艦島(端島炭坑)における動員の歴史を伝える記録として、「新長崎市史」が紹介され、画面には「強制力を持つ徴用制度と暴力で働かせた」という文章が映し出される。ところが、この部分は企業の加害責任を追及する一握りの活動家の著書をベースに書かれたものであり、信頼性に欠ける。
しかも、そのすぐ後に次の記述がある。(赤字)
端島炭坑の外勤労務係はみな朝鮮人で、同胞に対しては特別に厳しかった。朝鮮人工夫を何人入坑させるかが腕の見せどころで、叩いてでも無理に入坑させた。それが労務係の評価につながるのだった。そこに外勤労務係の暴力という虐待行為が生まれる要因があった。
注 この長崎市史の記述は「捏造メディアが報じない真実」(大高未貴著 4月20日 WAC Bunko 発行)から引用した。
朝鮮人の労務者には言語の問題もあり、朝鮮人の管理者を配置していたのだろう。同胞の管理者に虐待されたとなると、NHKの狙いからはずれる。だから、この部分には触れなかったのだろうが、これは情報操作である。
●番組では、日本人の元島民の発言を画面に登場させ、NHKの記者がその一人に質問する。
「故郷に負の記憶が伝えられるのは嫌ですか」
これは嫌味な質問だが、元島民の石川氏は次のように答える。
「それは、はっきり出てくれば嫌と思いますよね。しかし、僕らは<なかった>と信じていますから」
この部分について、石川氏は後日、次のように語っている。
「問題は番組の最後に使われた私のセリフです。これだけ聞くと、“端島に負の歴史はあったであろうが、元島民としてはそういった『負の歴史』がなかったと信じたい”といった印象操作で終わっていることです。その後も大事なことを話しているのですが、NHKはそれをカットしてしまった。今にして思えば、この最後の発言を引き出すために、NHKは3時間半も粘ったと思わざるをえませえん」*
*注 この石川氏の発言も、前出の「捏造メディアが報じない真実」から引用した。著者の大高氏は番組の放送後、石川氏に直接取材したと思われる。
加藤康子館長はWILL誌1月号に掲載された記事「戦時“徴用工”問題歪曲報道、NHKは平気でウソをつく」の中で、「私の証言も悪意ある編集によって、真意を歪められていたのです」と憤っている。
NHKの反日体質は65年前の「緑なき島」からまったく変わっていないようだ。視聴料金を強制的に徴収する公共放送としてあるまじき行為であり、猛省を促したい。