当ブログ5月19日の記事「米国財務省の超特大ミステーク」の中の“常識的には、IRSはまず、各国の銀行に当該小切手の現金化をしないように要請するはずだが、日本の銀行は逆の動きを見せた”という部分を修正したい。
この箇所は、“IRSは、問題の小切手の取り立てに応じないよう銀行に要請するはずだが、そのような形跡はない“という意味だが、実際にはIRSは水面下で、その処置をしていたらしい。
そう判断する根拠は、前回の記事に対して、「元アメリカ駐在員」氏が“某銀行(以下、A行)が小切手の取り立てを受け付けたが(5月8日)、A行から「取り立て」はできないので、小切手を返却する、と電話してきた(20日)“と述べていること(前回記事の「コメント」欄参照)。
朝日新聞等の「ミステーク」報道があったのは5月17日であり、銀行が一旦取り立てを受け付けた小切手をさしたる理由もなく、1週間以上も保留することは考えにくいので、A行には新聞報道以前に「なんらかの事態」が生じたと考えざるをえない。そして、その「なんらかの事態」とはIRSからの要請ではないか。
ともあれ、A行は5月に入って、それまで中止していた小切手取り立て業務を再開したのは、小切手に関する問い合わせが殺到したためであると思われる。だが、その後間もなくA行は小切手の「取り立て」業務を改めて中止した。甚だしい朝令暮改である。
A行が小切手の「取り立て」をしないと決めたのなら、他行も同じだろう。一方、三菱UFJ銀行は一貫して「取り立て」に応じていない。
一方、理解しがたいことがある。それはLucky Boy氏が「小切手を3回とも受け取り、換金できた」とコメント欄に述べていること。同氏は単にラッキーだっただけなのか。
また、友人からの情報では、ある米国駐在経験者は、永住権があるわけでもなく、駐在機関がそれほど長かったわけでもないのに、3回の小切手を受けとった、という。
こうした中、朝日新聞は5月21日、問題の小切手を受け取った人々は、みなバイデン大統領の小切手に関する説明文を受け取ったことを報じた。このブログで前回、述べた書状である。
このバイデン書状を読むと、問題の小切手はミステークではなく、有効であるようにも受け取れるが、換金できない以上、ミステークだったと判断せざるを得ない。重ね重ねのIRSの“お騒がせ”である。
ところで、本日「米国の小切手を換金する方法」で検索したら、このブログで5月7日に紹介したSMBCプレスティアが未だに画面に出てきた。同社はまだ小切手の「取り立て」業務を続けているのだろうか。
この一件は、調べれば、調べるほどわからなくなる。
ここで、IRSの「お騒がせ」はなぜ起きたのかを考えてみたい。
この小切手はEconomic Impact Paymentつまり経済刺激対策として給付されたのだから、対象は米国在住の納税者(外国人を含む)であるべきだ。しかし、IRSは国外在住の米国市民も平等に扱うべきだと考えたらしく、その個人情報をSocial Security Administration(年金局) に提供してもらうことにした(それでは、64歳以下の国外在住米アメリカ人はどうなのかという疑問が生じるが、それは置いておく)。
年金局の海外居住者のリストには、アメリカ人だけが記載されているわけではなく、現在米国から年金を受給している人すべてが記載されている。そして、その人々の属性も記載されていると思われ、その属性とは、米国々籍の有無、永住権の有無、米国で納税した年数などだろう。
そして、第3回の給付ではeligibility(資格要件)を決める属性を第1回と第2回より大幅に緩和したが、それではEconomic Impact の本来の趣旨から逸脱してしまうので、ミステークということになった。
それならば、第1回と第2回の給付における属性の選択基準は正しかったのか、という疑問が生じる。爺の場合、永住権を所有していること、30年余納税したことで、資格要件を満たしていると認識していたが、ことによるとそれも間違いだったのかも知れぬ。
今さらIRSに、“第1回と第2回も含めて正当な給付だったのか”と問い合わせる気はないが、もしも“全部間違いだったので返金せよ”という通知が来たら応じるつもりである。しかし、その場合、“どうせアブク銭だから”と、日本赤十字などに寄付した数万円は経費として認めてくれるだろうか(笑)。