コロナ感染者が自宅療養中に死亡したとか、若年層を対象にしたワクチン接種で長蛇の列ができたなどのニュースにかき消されているが、最近感染者はかなり減っている。
読売新聞によれば、8月31日のコロナ感染者数は、全国が17,713人、東京都が2,909人だった。数週間前は、これらの数値はそれぞれ20,000人と5,000人を超えていたから激減である。一日や二日だけならいざ知らず、十日も続けば、コロナ禍の潮目が変わったと判断していいだろう。
オリパラ開催前、反政府派は外国人の訪日や人流の拡大により、感染が拡大するのではないかと中止を主張したが、現在の感染者減少傾向を見れば、オリパラの開催はコロナ禍とは無関係だったことは明らかである。
称賛すべきは、サッカー10試合を有観客で強行した宮城県の村井嘉浩知事である。村井知事は「誰にも相談せず、有観客を一人で決断した」とHANADA 10月号のインタビュー記事で語っているが、その胆力に敬服する。
こうした中、プロ野球は5千人を上限とする有観客開催を続けている。また五輪開催に反対した朝日新聞が主催した高校野球も、中止どころか応援団を入れて開催された。今にして思えば、オリパラも高校野球も5千人限度の有観客でよかったと思うが、これを嘆いても愚痴になるだけだからやめておく。
話が横道に逸れたが、緊急事態宣言で観光地の人影はまばらになったが、東京都内などの盛り場の人流は減っていないという。この状況は、観光の主力である年配者は自粛しているが、若年層は自粛要請を無視していることを意味する。
それでも感染者が減っているのはなぜか。その理由は、ワクチン接種が曲がりなりにも進んでいること以外には考えられない。
菅首相が一日百万人のワクチン接種を目標に掲げた時、野党は「そんなこと無理だ、できっこない」と嘲笑したが、現実には一日百万人以上の接種に成功した。それでも、ワクチンの供給が十分ではないことや異物混入の事故などにより、接種作業はスムースに進行してはいないが、広範囲に実施されたことで、感染者の減少につながった。ところが、マスコミは菅首相のこの功績を語らない。
では、諸外国と比べて、我が国のコロナ禍はどんな状況にあるのか。本日の読売新聞によれば、日本のコロナ死亡者は16,069人。死亡者が多い順に国を数えると、日本は22番目である。人口では11番目だから、日本は死亡者に関するかぎり、大健闘である。ところが、マスコミはこの事実も報じない。
その一方で、マスコミは「首相の言葉が国民に届いていない」と大合唱して、コロナ禍が好転しないことを菅首相の責任であるかのように叫んでいる。そうかといって、野党もマスコミも「こうしたらどうか」という提案をするわけでもない。
さらに、マスコミは冒頭に述べた感染者減少傾向に気づいているはずだが、無視している。感染者が減ると、“倒閣ごっこ”がうまくいかないとでも考えているのか。どう考えても、マスコミの態度は公平性に欠けると思う。
その結果、菅内閣の支持率は20%台に落ちた。“倒閣ごっこ”が行き過ぎて、野党の政権奪取も夢ではなくなった。だが、それでは日本という国の存亡に係る事態となる。この辺りで、マスコミには大局を観る方向に舵を切ってほしいものである。