頑固爺の言いたい放題

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オリパラ:メダル獲得の原動力はなにか

2021-09-07 16:02:43 | メモ帳
パラリンピックが終わった。各国のメダル獲得数は、中国が金で96個(2位は英国の41個)、総数で207個(2位は英国の124個)と断然他国を引き離しての1位だった。

一方、日本は金が13個、総数が51個で、ともに11位だった。その11位は人口の順位でもある。しかし、メダル獲得数が人口に影響されるとしても、人口に比例するはずがない。

では、オリンピックではどうだったかというと、米国は金で39個(第2位は中国の38個)、総数では113個(中国は88個)で、ともに第一位。日本は金が27個で米中に次ぐ3位、総数では58個で米中、ロシア、英国についでの第5位だったから大健闘だった。

さて、メダル獲得の原動力はなにか。まず、その国でスポーツが盛んであることが必要であるが、それには文化水準が高く、所得水準が高くなくてはならない。低所得ではアスリートがスポーツに打ち込む余裕がないし、観客がスポーツを観て楽しむ余裕もないからである。スポーツ施設が整っていることも必要だが、これは所得水準や文化水準に影響される。つまり、メダル獲得数は、人口以外に国の文化水準や所得が影響している。

こう考えると、米国や英国のメダル獲得数が多いことが納得できるが、不可解なのは中国である。中国の人口は世界一であり、GDPも米国に次いで第2位だが、貧富の差が激しく、人口の1割に富が集中していると言われる。中國の人口は13億人前後だから、1割といっても1億3千万人であり、日本の人口よりも多い。

したがって、中國のメダル獲得数が日本より多少多い程度なら納得できるが、それが米国並み(オリンピック)とか、はるかに多い(パラリンピック)となると、不自然である。なぜそんな不自然なことが起きるのか。その答えが、「月刊 HANADA」10月号の記事にあった。

その記事とは、百田尚樹と石平両氏の対談「中国共産党は史上最悪の寄生虫」と福島香織氏の「現代中国残酷物語」である。二つの記事から今回のテーマに関わる部分を抜き出してまとめると次のようになる。(青字)

中国では、素質のある子どもたちを全国からかき集めて、体育学校と称する訓練センターに入れて、朝から晩まで猛烈な特訓を行う。主に農村地帯の貧困家庭が子どもの供給源である。国語や算数などの基礎知識は教えず、体操なら体操だけ、卓球なら卓球だけを延々とやらせる。

しかも、体操選手なら体が小さい方が有利なので、ホルモン剤で成長を抑えることもあるらしい。また、重量挙げや陸上競技では、女性でも男性と見間違うような体格の選手がいるが、これは筋肉増強剤の投与によるものと言われている。

問題は、多くの子どもたちが中途で放り出されること。オリンピック選手になるのは、ほんの一握りの子どもたちで、ほとんどは中途で排除される。その子どもたちは社会適応力がないから、裏社会に入るか、乞食になるしかない。

幸いにして、オリンピック選手になっても、勝てば国家の宝としてもてはやされるが、敗けると国家の恥、非国民と罵倒される。挙国一致で養成される選手たちは、権威主義体制の生贄(いけにえ)なのである。

そういうことであるなら、オリンピックにおける中國のメダル獲得数が米国並みに多かった謎が解ける。しかし、それではパラリンピックにおける中国のメダル獲得数が欧米並みどころか、ダントツだったのはなぜか、という疑問が残る。

そのわけは、中國では障害児にも健常者のアスリート以上の苛酷な訓練が行われる一方、欧米諸国や日本では障害者の訓練施設がある程度整っているため、アスリート志望者が少なく、中国に比べて選手層が薄いのではなかろうか。これは想像にすぎないが、これしか理由を思いつかない。

今後もこの状況が続くだろう。日本は民主主義国家とメダルを争うのはいいが、メダル獲得至上主義になる必要はないと考える。