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「中国共産党 暗黒の百年史」書評

2021-09-17 17:16:04 | メモ帳
「中国共産党 暗黒の百年史」(石平著、飛鳥出版 2021年7月発行)には “えっ、そうだったの? 知らなかったなぁ!” という話が満載である。その内から、いくつかの話題をかいつまんで紹介する。(青字)

▼共産党は情報戦で国民党に勝利した
今でこそ、国民党が台湾に逃げて中国は共産党の独裁になっているが、中國で共産党が生まれたのは1920年であり、1949年まで29年間にわたり国民党と戦った結果である。

その最大の勝因は、共産党が国民党の内部情報を入手したことである。その手口は、共産主義を信奉する優秀な青年を選んで、国民党に入党させることに始まる。その工作員は才覚と努力で国民党幹部の信頼を勝ち取り、出世して機密情報を自由に入手できるようになる。日本の敗戦後に本格化した国民党との戦闘においても、この機密情報が勝利に大きく貢献した。

情報戦略は今でも中国共産党の得意とするところであり、例えばオーストラリアにおける諜報活動は「目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画」(クライブ・ハミルトン)によって暴露された。

秘密裡に工作員(つまりスパイ)を相手の中枢に送り込む以外にも、公然と情報戦を展開するケースがある。例えば、日本にもある孔子学院で、学生たちを洗脳しているのがそれである。

また米国のマイク・ホンダ下院議員は、2007年に米国下院議会で行われた「従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議」の代表提案者であるが、彼は中国の代弁者として、合法的に日本と米国の離反工作を行ったと考えられる。すなわち、情報戦における中國の勝利である。

▼中国共産党は殺人集団
毛沢東が率いる紅軍は、中國全土で「一村一焼一殺」のスローガンのもとに、農村地主や素封家を殺して、その財産を没収した。1928年から始まる5年間で、全国で10万人の富裕層が殺された。

1948年、日本敗戦後の満洲で、長春市内に立て籠もった国民党軍と市民に対して、共産軍は周囲を囲んで兵糧攻め作戦を展開した。籠城以前の長春の人口は50万人だったが、33万人が餓死して、生き残ったのは17万人だった。

共産党が内戦に勝利したあとの1950年には、かつての「一村一焼一殺」運動が再現され、全国で200万人もの富裕層が殺された。

きわめつけは1966年から10年間の文化大革命。この時期に殺されたのは数百万人とも数千万人とも言われ、実数は不明である。

世界史を見れば、異民族を理由もなく虐殺することは珍しくない。米国における白人の先住民虐殺や、古くは十字軍戦争である。しかし、罪もない同じ民族を虐殺するのは中国人の特質ではないだろうか。少なくとも、日本では稀である。精々、織田信長による比叡山の僧侶大虐殺ぐらいで、現代では到底考えられない。

しかし、中國では文化大革命のごとく、現代でも大虐殺が行われる。ましてや、相手が異民族となれば、虐殺は日常茶飯事である。チベットでは120万人、内蒙古では5万人が虐殺されたと言われる。また、ウィグルにおける女性に対する不妊手術の強制も、実質的には虐殺のようなものである。

さて、「中国共産党 暗黒の百年史」を読んでいて疑問に思ったことは、信じられないようなエピソードがすべて真実なのか、ということ。

石平氏は1962年、中国四川省成都の生まれ。1984年北京大学哲学科を卒業、1988年来日、1995年神戸大学大学院博士課程修了、2007年日本国籍取得。以後、執筆活動に入る。「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか」(PHP新書)など数々の著作があり、HANADA、WILL、正論などの論壇誌や産経新聞にも頻繁に寄稿している。

経歴からして信頼すべき人物と判断する。また本書におけるエピソードは全て実名入りで、発生年月日も入っており、全部ではないが引用文献も記されている。

ということから、本書の記述はすべて真実に基づくと判断する。