頑固爺の言いたい放題

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丁寧語システムが崩壊した韓国

2021-09-25 17:33:56 | メモ帳
1週間ほど前、このブログで「させて頂く」を乱用する政治家を批判したが、韓国では敬語・丁寧語の乱用が日本どころではないらしい。次の文例をご覧いただく。(「日本語の行間」扶桑社新書、シンシアリー著 から引用)

「コーヒーがいらっしゃいました」
「価格は〇〇ウォンでいらっしゃいます」
(ゴルフ場でキャディーが)「ボールがバンカーに落ちられました」

この問題に関するシンシアリー氏の見解を「日本語の行間」(以下、本書)から、かいつまんで引用する。(青字)

AとBが会話する時、Bが目上ならAはBに対して、尊敬の意を示すために謙譲語、丁寧語を使う待遇を与える。これを「尊待(ジョンデ)する」と言う。Bが目下なら、くだけた口調で上から目線の言葉使いになる。これを「下待(ハデ)する」と言う。AとBが対等な立場なら、「平待(ピョンデ)する」となる。

尊待する側は常に尊待し、下待する側は常に下待する。子どもならともかく、大人同士ならなにかしかの上下関係を適用し、「平待」になることはない。この上下関係を決める要素は、生年月日、職業、職位、性別、教育水準、乗っている車、住んでいる場所、着ている服、親や配偶者の職業、など無数にある。

自分が相手より上であると思うことで自然に、侮蔑、軽蔑、差別の感情が生まれる。

だれもが尊待されたいと願い、下に位置する側は相手が「尊待されたい」と願っているはずだ、と忖度する。モノに丁寧語を使うのは、間違った語法だと知っていても、そういう表現にしないと、会話の相手が気を悪くすると考える。その結果が敬語・丁寧語の乱発なのである。

日本人も相手をリスペクトする場合は敬語や丁寧語を使うが、韓国人の敬語・丁寧語はそんな生易しいものではなく、常に相手が自分より上か下かを判断することから始まるようだ。

そもそも、「相手よりも自分の方が上だ(下だ)」と思っても、「だから何?」と聞かれれば、われわれは答えようがない。

例えば、同期入社の同僚よりも数日早く生まれたことで上になっても、別にどうってことはない。しかし、韓国では違うようだ。

ましてや、その上下関係が侮蔑、軽蔑、差別の感情に発展すると言われても、なぜそうなるのかよくわからない。

シンシアリー氏は「日本語を覚えて初めて敬語の意味を理解した」と述べているが、これは韓国語の敬語には相手をリスペクトする感情が込められていないという意味だと解する。