2010年8月4日(水曜日)
包丁は2本目となるが、今度は刺身包丁に取り組んだ。
ご存じのとおり、刺身包丁は片刃のため、片側だけに鋼が付いて、切れる刃になるもの
鋼材はその片刃用のものを準備してもらった
商売用の鋼材で、師匠が使ってた続きをそのまま使った
師匠は『刃渡り7寸(21cm)なら、これくらい~』とチョークで、線を引いた
それは10cmも無い位短いもので、『えっこれだけで出来るんですか』と声に出したほど
それを釜に入れて焼く。
そしてハンマーでたたき延ばした
片刃の場合、鋼を下にして一方の軟鉄を上にしてその面だけ叩くのが、合刃との違い。
残念ながら自分がやっている時には、携帯カメラで写す事は出来ない
何度か焼きと叩き(鍛造)を繰り返して、だんだん細長くなっていく
12cm位で押切みたいな切断機で、カット。
今度は、これをヤットコで挟んで、叩き延ばす。
これまた、自分がやっている所は撮れない
師匠のお手本の後、言われたように叩く。
『片面、片面、コッチこっち~鋼はどっちかな?手前から刃先へ、手前から刃先へ~トントントントン』
『同じ所を叩きすぎると、そこで広がって薄くなるよ~菜切り包丁じゃないから~先に延ばす~手前から刃先へ~』
言われるように、刃先を尖らせ、刃側を薄くしていくと、飴みたいに変な形になってしまうのを、今度はハンマーでそれを整え成形していく。
相変わらず、アソビの大きいヤットコは使いにくいし、ハンマーは重たい
それでもだんだん、包丁らしい形になって行く
なんだか、心細いような薄さになっていったが、なんとなく、らしい形になった
刃渡りが21cmは短いような気もするが、これが8寸(24cm)以上とかになると、家庭の流し台とかの包丁刺しを飛びぬけてしまうらしい。
板さんなら、10寸=一尺(30cm)も使うが、素人が持つにはかえって不便らしい。
今夜だけで、ここまで形になった
2010年9月8日(水曜日)
いろいろあって、1ヶ月ぶりの参加となった
今夜は、型どりから入った。師匠が、包丁の柄えが付く場所を切り幅の狭いグランダーで切り込んでくれた
刺身包丁の型は、マジックで線引きし、グラインダーで包丁らしい形に削り出す。
焼けた金属火花が目に入ると、大変な痛みにゴロゴロし、涙が止まらなくなるから、ゴーグル装着が必須となる
いよいよ、水砥石で荒研ぎに入った
水砥石が新品になった。新品の砥石は厚さが10cmもある。
重々しく回り出す水砥石に緊張~
先ずは師匠のお手本
新品なので食い付きが良く、向こうに引っ張られる。
片刃なので、鋼側は極力研いだらいけない
思わず力が入り、包丁から押さえる指が外れると~このとおり指を砥石に擦ってしまう
手の皮がすり減って、真皮まで現れ、ヒリヒリといつまでも痛い
黒い酸化被膜が研ぎ落されると、金属面が現れ輝き出すが、この段階はまだ刃が付いていない~刃先は0.5ミリくらいの厚みがある。
今度は、サンドペーパー80番でひたすら磨く。
ミネも磨く、三角傾斜面の刃は砥石で研ぐので、そのままにしておく。
2010年9月15日(水曜日)
今回は、師匠の包丁叩きから始まった
熱した鋼と軟鉄を比べると、軟鉄の方が縮み易いそうだ。
だから片刃の張り合わせた刺身包丁は、反り返りが出来る
それをタオルを当てて叩いて、反りを直すというのだ。
見た目には分からない程の反りを真っすぐに直してくれた
次は、バイス(万力)に挟んで、柄に入る所をヤスリで綺麗な90度の角度になるように削って行く
これが、なかなか難しく今夜はほとんどこの作業で終わったが、これで焼き入れが出来るところまで迫った
2010年10月6日(水曜日)
2週間休んでしまった。その間、焼き入れが施されていた。
再び水砥石で、今度は刃を付ける(切れる位まで)。
師匠がお手本を示す
三角傾斜面の刃を同じ角度で刃渡りを通すのは、実に難しい
回転に引っ張られると角度が緩くなり、手前に引きすぎると急になるので、何ヶ所ものデコデコの面になりやすい。
そうならないように、同じ角度で刃渡りをずっと通さなければならない。
腕・肩がゴチゴチになるほど固めて角度を保つ~。
夏場なら、額や背中に汗が流れる~終わると、どっと疲れる作業。
2010年10月20日(水曜日)
中1週休んだこともあり、”次回は、砥石を持って来るように”と言われていたのに、忘れ物をした。
忘れ物を家に取りに帰る小学生のように、取りに帰った
なか1週の間は、自宅で2000番までサンドペーパーをかけていた。
果たして、マイ砥石の中研ぎと仕上げ研ぎを持ってきた。
マイ砥石をたくさん持っているサラリーマンなんて、あんまり居ないだろう(笑)
2000番まで磨いていた事もあり、中研ぎで刃を付ける研ぎをひたすらした。一見平面に見えても、砥石を当てれば凸凹が目立ってくる
鋼の反りがこの時ハッキリしてきた。
砥石の面を水平にするために、度々別の均し砥石で、砥石面を水平に研いでいく。そして中研ぎ砥石も、向こうと手前を度々入れ替えて、出来るだけ全面を使う様に、包丁を滑らせて研ぐ。
角度は一定に保ち、刃の全面をひたすら研ぐ。
師匠の点検で、OKが出て、次は仕上げ砥石に換えた。
サンドペーパーの2000番と比べると6000番位のきめ細かさなので、ピカピカになる。
綺麗なガラス面では水を弾くように、ピカピカに磨いた面の刃は水を弾き、サビも出にくくなる性質がある。
仕上げ砥石を、向こうと手前を入れ替えている時、事件は起きた。
右手に持った包丁の刃先に、なんと砥石を回転させるときに、知らずに指を立てていた中指を、刃先に擦ってしまった
チクッとした感覚の後、流れ出す鮮血~
余りのドジさに、説明するのも面倒と思い、周囲には黙っていた。
幸いに切れ味良い刃で切ったので、血はすぐに止まった
あとで、こっそり指の傷を開くと、パックリ開いた(笑)
2010年10月27日(水曜日)
今夜はいよいよ仕上げ~かなという不安の中で、師匠は人吉新聞を持ちだして、刃の上をポイント的に滑らせる~。『う~ん、ここ(手前から5cm位の所と、ここ(中ほどの反りの中心)は切れない~ばってん、売り物じゃなかけん、刺身包丁は引きながら切るから、良かろ!』、とOKを出した。
『よかろう~使っているうち(研ぎを繰り返すうち)に、切れるようになるバイ~』と、研ぎの条件付き
次は仕上げの、バフ(研ぎ粒子の入った粘土)かけの前張り(昔の東宝ピンク映画かっ!)処理にかかった。
ガムテープを側面に張り、刃側面だけを露出。
この回転するブラシに、バフ(研ぎ粒子の入った粘土)えお塗り付け、刃物を当てると、仕上げの磨きとなる。
師匠は、出来上がりを確認すると『良し』と言い~そのまま、釜の炎に~『えっ、また焼くの?』と思いきや、柄の部分だけを炎に当てた。
焼けたところで、何処に持っていたのか木製の包丁の柄を、赤く焼けた金属の柄に突っ込み、尻を金槌でトントン~煙を少し上げて、綺麗に収まった。焼く事で、外れにくくなり、錆びにくいそうだ
いよいよ完成
家に帰って、しげしげと観賞
部屋の蛍光灯の下で、光の反射を見たり~写る自分の顔を見たりと、しばらく続いた。
武士が日本刀を観賞するのと似ているかも
最後に包丁保存の仕方を習った
最も良いのは、新聞紙に巻いておくのが良いと言う事だ
空気中の水分で錆びやすいのが、鉄の運命~新聞紙が水分の調整をしてくれるとのこと。
とりあえず刺身をさばく計画は無いので、新聞紙に巻いて置くことにした『刺身包丁、完成』
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