2011年7月19日
この夜は飲み会があって、酔っぱらってテクテク歩いて帰宅していた。転んで怪我をしないようにからまれないように
ところが、途中、そろそろ到着と言う時に、『うなぎの匂い』でもこれは、素焼きの匂い~それでも美味しい匂いに誘われて、思わず覗き入ってしまった
午後10時過ぎているこんな時間に~と思ったが、時は土用の丑の日(どようのうしのひ)を前にした夜の事。たぶん掻き入れ時の残業だろう
覗き入ると家族4人総出の作業中。作業場は30度を超していると思われる熱気が立ち込めていた
オヤジさん息子さんが対峙して、オヤジさんが”〆”を行って息子さんのまな板に渡し、息子さんは次々と捌くレイアウト。
こんな飛び込みの潜入撮影は、いきなりの撮影は禁物~20分くらいひたすら観察~あまり積極的な会話も慎み、雰囲気・空気を読む~立ち位置は遠景で全体が眺められる敷居の近く。
余りに神妙に見ているので、オヤジさんが切り出した。
『おたくは、何ですか』
『ハイ、そこの○○に住む者で、今夜は宴会の帰りです。いつも見かけるのですが、実際お仕事して居られるのを見る機会は無いので、是非、実際の様子を見せてもらおうと、立ち止りました』
『今が、一番忙しかけんなあ~』
喋るたびに、一歩づつ近づくテクニック
『わー、凄い捌きの腕前ですね~。記念に撮らせて下さい。』
下手に ブログとか分からぬ事を言って説明するよりも『記念に撮らせて下さい』がプライベート的なものと受け止められ、断られる可能性は低い~偶然にもバッグにカメラを入れていたので、貴重な作業の実態をパシャパシャと撮影しました。
捌きの手順の観察報告です。
1、〆たウナギの眼球辺りに、グリップの大きな千枚通しを差し込み、まな板に固定
2、ここでは背割~腹割は切腹で忌み嫌われるとかあったがここでも背割が一般的。包丁は日本刀に似ていて、切り出しナイフに似た切っ先を後頭部の首根っこに入れて、サーっと尻尾の先まで一気に切り開く
3、次に切っ先から5cm位の刃の位置で、首の頸椎辺りの背骨を切り入れると、刃を倒して下の身と背骨の間に刃を入れ、左手で背骨を押さえながら一気に左方向に体重移動の体位で骨抜き
4、包丁の刃先で、内臓をシャシャッとコソギ落とし、開きの出来上がり。なかなか鮮やかな捌き具合だった
5、血や内臓が洗れると、お母さんと思われる女性と、息子さんの奥さん?が、業務用ガス赤外線コンロ2台を使って、1台8匹の開きを一度に素焼きをする分業体制。
ここが匂いの元・暑い現場そのものだ
背側5分腹側4分くらいだったろうか
ここは素焼きの専門店なので、購入したうなぎ屋さんや消費者は、さらに焼きを加えるから、早目の7~8分焼きと思われる焼き具合だった
アラ熱が飛ばされた後に、注文の業者やお店ごとに詰められるらしい。
何処に出荷されるか興味があったのでつい聞いてしまった。
『素焼きされたこれは、どこのお店に出荷されるんですか』
『市内(人吉)には、卸しとらん』
ガ~ン
そんな事は無いと思ったが、答えたくない事だろうと思った
1時間近くも頭の薄いヒゲオヤジが突然来て、ずっと観察され続けて、
その間、家族の自然の会話も中断されて、イライラ気分
そろそろ、潮時と退散することにした『お邪魔しました』
それにしても真夏の世の、熱い体験
ウナギを開く場面を目の当たりに見る機会は滅多にないから、良い勉強になった。帰りに看板を撮影
『卸・小売って、ちゃんと書いてあるじゃないか市内の人に売らないってハズない』
さて、土用の丑の日(どようのうしのひ)とはなんぞやといつも思うが、ブログついでに今回しっかり調べた
先ず中国の五行思想・五行説の自然哲学で、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説が基本にあり、季節の春に木気、夏に火気、秋に金気、冬に水気が割り当てられている。そして残った土気は季節の変わり目である4立の、立夏・立秋・立冬・立春の直前約18日間ずつに割り当てられているという仕組み
う~ん、ちょっとややこしいが、実際、身近な曜日などに五行説は今も生きている
なんで土が振り分けられたのかよく分からないが。土用の間は、土の気が盛んになるとして、動土・穴掘り等の土を犯す作業や殺生が忌まれたそうな。
じゃ、ウナギも殺したらいけないんじゃないか
ただし、土用に入る前に着工して土用中も作業を続けることは差し支えないとされた
都合の良い考えか
ちなみに今年の夏を調べてみると、立秋が8月8日、18日前の日は7月20日が土用の入りとなり、丑の日は次の21日となる。19日は土用の入りの前の日だから、殺生もOKという訳か
8月2日も丑の日となり、2回目なので『土用二の丑の日』となる。2回もウナギを売り込むチャンスがある
平賀源内さんありがとう~ですよね。
平賀源内の『明和誌』によると~
商売がうまく行かない鰻屋が、夏に売れない鰻を何とか売るため知恵者で有名な源内の所に相談に行った。源内は、「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という民間伝承からヒントを得て、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。すると、アノ物知りとして有名な源内の言うことならということで、その鰻屋は大変繁盛した。
その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着したという~お話
さて、興味深い事は、『う』の字が附く物は他にもあり、実際に鰻以外の”梅干し”や”瓜”を食する習慣もあったという事
この点は4Pに照らし合わせて、何かマーケティングの仕掛けに出来そうな気がする
そんな知識欲よりも、食欲が勝って来る
ブログを書いていて、よだれをすすったのはこれが初めてだった(笑)
これらは、あの兄ちゃんが捌いたウナギに違いない
塩焼き・うざく・かば焼き・骨せん・肝煮~高級な定食モノ~う~ん、たまらん
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