2017年10月17日
昨日今日と、わが事務所は定期監査を受けていました。
最終日の今日は、監査委員の管内現場視察でしたので、現地説明をしました。
ここは、嘉島町の水田地帯です。
九州では、筑紫平野に次いで2番目の熊本平野は、775平方キロの平坦地が広がっていますが、その一角にこの様な水田地帯が広がっています。
ところが、平成28年4月14日と16日、管内の益城町等を震源地とする震度7の地震が発生。
さらに、だめ押し的な余震も6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生し、住宅・インフラ・農地・農業用施設は、甚大な被害に打ちひしがれました。
4月中旬といえば、この水田一帯は約一月後の収穫を控えた麦秋の海になろうとしている頃でした。
栽培農家、JAはもとより、関係者はみんな心配しました。
『今年の麦の乾燥は出来るのか?』
昔は、米・麦・大豆等の乾燥調製出荷は、個別農家各人が乾燥機を持ち、個別に行っていたのですが、今ではJA等がCE:カントリーエレベーター(大規模乾燥調整貯蔵施設)を持ち、地域の穀物を一元的に担っています。
被害調査の結果、張り込み・タンクを繋ぐシュート外れ、本体アンカー切断、架台変形、フランジ曲損、電線管損傷、施設内の地割れ・・・等々。
致命傷は、粗選機、心臓部の精選機の機械本体落下による、内部スクリューの潰れでした。
管内では、他にも御船CE・大島CE・六嘉CE・御岳CEが、修理規模を大きく超えており、解体の判断がされました。
さて、新規の立て直しとなれば待ったなしです。
JA・県等の頑張りにより、熊本地震被災施設整備等対策『強い農業づくり交付金』の活用により、御船CEは、無事な甲佐CEに機能集約され、主食用米1,422トン、新規需要米276トン、麦858トンの処理能力に高めました。
大島CE・六嘉CEは解体されましたが、六嘉CEの敷地内に嘉島CEとして再編されました。これにより、主食用米1,980トン、麦2,095トンの処理能力に高めました。
大豆においては、嘉島CEと同じ敷地内に、大豆共同乾燥施設として、1,282トンの処理能力に高めて一元化されました。
※写真は、現場視察の嘉島CEです。デカイ!
事業費13億円(国50%・県10%)もデカイ!
監査委員に、震災後からこれまでの取り組みについて説明がされています。
内部も案内して貰いました。
※関係者以外は普通入れませんので、ご覧下さい。
荷受けホッパー(籾投入口)です。
農家は、袋やグレンタンクからここに籾を落とし込みます。
荷受けホッパー毎に昇降機、粗選機、計量器等がセットになり、適度な水分になれば、エレベーターで貯留ビン、サイロに保管されます。
これがたぶん、ゴミや藁クズを取る粗選機です。
風景として一番目立つのは、このサイロです。
ドライドームで乾燥させた籾は、籾のまま(生きたまま)サイロに保管されます。
まるで、サターン5型ロケット(世代が分かる!)の本体部分みたいな大きさです。
『一元的に集められ、サイロに入ったら、好きなときに食べられないじゃない?』の疑問があると思いますが、大丈夫。
事前に出荷量を言えば、籾すりをして玄米、精米の状態で受け取ることが出来ます。
ただし、『自分の田んぼの米を食べたい。』は出来ません。
サイロの中には、地域の米が一体化します。
だから、みんながより美味しい米づくりに心がけなければならない~とも言えます。
制御室では、荷受けデータ、乾燥工程の、温湿度、籾水分量など監視されています。
水稲とは転作関係の大豆、または裏作の麦はまとまって作られ(団地化され)、年により交互に団地を入れ替えるブロックローテーションが行われ、田植機、播種機、収穫機械等の効率的利用が出来るようになっています。
これは嘉島CEと同じ敷地内に、作られた大豆共同乾燥施設のようです。
粗選機や籾すり機で出た、ゴミや藁クズ、籾殻等は、ここに集められ、堆肥化されます。
以上で、視察案内を終えました。
今年の稲刈りは既に始まっていますが、長雨のため中断中でした。
ともかく、稲刈りに間に合ったのは、関係者の頑張りに他なりません。
単なる復旧でなく、30年先を考え工夫を凝らした『創造的復旧』の取り組みでした。
この様な施設が順調に動き、農家の各種穀物のコスト低下や効率的生産活動に貢献する事を期待します。
カントリーエレベーターについて、これが一番分かりやすいキッズ向けの説明URL
http://www.s-plant.com/elevator.html
こちらは、動画があるURL
http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005311069_00000&p=box
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