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定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

高病原性鳥インフルエンザ発生に備えて!

2017年10月28日 23時55分09秒 | Weblog

2017年9月28日

冬といえば、【北方からの渡り鳥の季節】でもありますが、風情のあるカモ・鶴・鳥の群れを見上げながら。
あるいは水田の落ち穂を啄む鳥を見ながら、我々は恐々としています。

ずいぶんと紹介が遅くなりましたが、この日は熊本県中央家畜保健所にて、高病原性鳥(コウビョウゲンセイトリ)インフルエンザ発生に備えた実務担当者研修会&地域支援対策本部総務班研修が開かれました。

こんなに遅い報告となったのは、投稿への迷いとかいろいろあったからです。
一言で言えば、『組織的に周知をしようとしないから、俺がやるしかない!』という思いで、頼まれもしないで夜な夜なかかってまとめた訳です。

『鳥インフルエンザとは何か?』、有事の際には、我々県職員はどんな事に取り組み、発生周辺の県民にはどの様な影響があるかを、一般県民にも(概要くらいは)周知しておくべきだと、常日頃から思っていました。
まあ、『勝手にこんな事を公開して!』って行政処分されたとしても、後1年だから、恐いこと無いし、クビは無いでしょう

・11月を迎えるに当たって、いよいよ発生シーズン(冬季が多い)となって来た事。
・鳥インフルエンザ発生(有事)に備えて、県職員は通常業務に加え何を準備しているか。
・有事の際、主に防護服に頭まで被った県職員が、道路での防除、鶏舎の中で殺処分に関わっているものも、県民には実感が低い(意識は低い)事。
日常の(世界的)発生状況の広報は、職員(農林部)内部に限られている事。
・有事の際は、交通規制・消毒ポイントでの自家用車消毒への協力をお願いする等、県民全体に影響する事。
・風評による肉・卵消費停滞、いわゆる風評被害は、正しい知識の理解者を増やすことでしか抑えられない事。
・理解者を増やすことが、消費活動に停滞をきたさず、養鶏農家の生産・経済活動を守る事につながる事。
以上の様な事がお知らせの動機です。

そもそも論ですが、ウィルスは、H5N6型ウィルス以外にも色々枝分かれがあります。つい先日の新聞(各社同様の掲載あり)の様に、H7N9型ウィルスも確認されており、知らないところで確実に進化しています。

脅すつもりは毛頭ありません。(自分の頭ではありません)。
バイオハザードや、アウトブレイクのパンデミックは、映画の世界だけではありません。
発生を放置する事は、養鶏業農家の壊滅にもつながりかねないし、ウィルスの進化や突然変異を食い止めるため、人間への感染の可能性を断つためには、可哀想と思ってしまう鶏や牛(口蹄疫)の殺処分は仕方のないことなのです。



これは、つい先日更新の農林水産省ホームページの世界の発生状況(2017年10月23日)です。赤色地帯が発生している国です。
2016年以降だけでも、ビッシリです。
 



アジアに限ってみると、表の下、10月に中国・ロシアで発生しています。
中国・台湾からの外国人観光客の爆買いは外貨獲得に貢献していますが、人による搬入は脅威です。
北朝鮮は空白ですが、データが未公開だからです。
それとも、食べ尽くして発生しないのか



昨年28年度の日本を見てみましょう。これ、昨年度だけですよ
熊本県では、南関町に12月27日に発生しました。(約10万羽・9.2万羽~)
12月27日です!忘年会、御用納め、年末年始など関係ありません。



それでは、鳥インフルエンザはどの様なものか
公開されているホームページからの抜粋です。
僕も時には”沈鬱状態”になりますが、養鶏場でこんな異常鶏が見つかり、経常と違う多数の死亡羽数が出ると、養鶏業者は最寄りの家畜保健衛生所に報告し、『簡易検査』が行われます。(だいたい夕方が多いも、朝・昼もあり)



もし、『陽性』が出ると、県庁:畜産課に連絡が行き、第1報が地域振興局に入ります。(簡易検査が夕方の場合、だいたい夜7時過ぎになります。)
精密な検査『PCR検査』に検体が送られますが、疑似患畜決定が出るまでには時間がさらにかかりますが、その間も万が一に備えて、動き出します。

帰宅している(農林部関係)職員にも、全員職場への登庁が始まります。
図の HPAI とは、H5型(亜型等、H5型以外も有り)の高病原性鳥インフルエンザ( highly pathogenic avian influenza : HPAI )ウイルスのことで、下図の様に、その対応組織体制が整備されています。

夜中の10時頃、第1回の県本部会議県知事を本部長に、各部長・県警本部・全地域振興局長・総務部・健康福祉部・商工観光労働部らを招集して開かれます。

一方、発生した地域振興局では、『緊急打ち合わせ会議』を開き、農業普及・振興課を中心に、下図の体制を稼働します。

『支援センター』とは、発生農場近くの体育館等を借りて設置します。
県庁や各地の地域振興局・(市町村・国等もあり)から招集された、100~200人のまとまりで何クールも順次送り込まれる防疫従事職員と資材・機材が集まる場所です。
ここを拠点として、発生農場の『現場事務所』へ配送されます。

※南関町発生では、27日AM3:30に1陣:約100名~
その後AM4:50『PCR検査』が陽性(黒)と判明しました。
・AM5:00殺処分がスタートしました。

・AM11:30に2陣:200名
・PM7:30に3陣:250名
・28日AM3:30に4陣:200名
・AM11:30に5陣200名 が8時間交代で送り込まれました。


『現場事務所』とは、まさに発生農場(敷地内)に設けられた戦場の最前線基地です。防疫服着脱と直ぐに使用する資材の保管場所です。



『消毒ポイント』とは、防疫上の移動制限として、発生地から半径3km以内搬出(卵や鶏)制限として、発生地から半径10km以内が定められており、一般道や県・国道が入ってしまいます。
また、他の無事な農場も含まれる場合もあり、日常的に飼料運搬トラックは行き来します。
そこで、交通安全上可能な要所に、一般車両や輸送トラック等を引き込み、動力噴霧器等で消毒を行います。



さて、関心があるだろう、どうやって、鶏を殺すのか
ゲージ飼いの場合、捕まえてビニル袋に入れ、大きなバケツに入れ、二酸化炭素で安楽死させます。



平(地面)飼いの場合、戸板等で角に寄せたりして捕まえてビニル袋に入れ、大きなバケツに入れ、二酸化炭素で安楽死させます。
その後の処分では、焼却処分か、埋却が検討されます。
埋却の場合、大きな穴が必要なために、建設業協会の協力を得て行われます。


国の防疫指針(h27.9月)では一定の目処として、ブロイラー平飼い 5~10万羽 採卵鶏ケージ飼い 3~6万羽 は24時間以内 それ以上の農場規模でも、72時間以内に殺処分の防疫措置を完了すべきと示されています。
南関町の場合、約10万羽でしたが、22時間と25分で完了しています。
(31:55-9:30)

殺処分が終わっても、さらに防疫措置として、鶏舎内の糞、残った飼料、卵の回収処分(補償の根拠とする為、全個数を数える)、鶏舎内消毒、消石灰の散布~が続きます。


南関町での発生では、農場での全ての防疫措置が終了するまで、簡易検査結果から49時間後でした。
※しかし消毒ポイントは、発生農場の半径3km以内で設定している移動制限区域内の家きん飼養農場について、清浄性を確認するための検査(臨床検査、血清抗体検査及びウイルス分離検査)で全て陰性を確認するまで、継続しなければなりません。

●以上、鳥インフルエンザ・防疫体制の概要について説明しました。
 この様に、有事の際は、膨大な人と、時間、機材、資材の投入をもって、防疫に当たらなければなりません。
 いかに時間内に遂行できるか!
戦争で言えば、『兵站(へいたん)』と言われる、戦うに必要な人・物資や機材を過不足無くタイミング良く、最前線の現場事務所に届けるかにかかっています。


これでやっと、『実務担当者研修会』の説明が出来る
皆さんへの事前説明が終わりました。


防疫活動に必要な機材、資材は『中央家畜保健衛生所』の倉庫に保管されています。
県庁からの指示を受けると、トラック協会の運搬により、支援センターへ運ばれ、そこから先は、民間運送会社(県職員は公用車しか運転できなく、公用車のトラックを持たない)で現場事務所に運ばれます。



ところが、初めての職員は、その機材や資材の事を知りません
名前は知っていても、いつ、どこで、どう使うのかを知りません。
そのための研修会だった訳です。




中央家畜保健所の、防疫資材・機材が収納保管されている大きな倉庫です。



棚の手前には、この様な資材在処の見取り図が貼ってあります。



3Mのマスクは、分かります。



滑車やパワーウィンチの使い方も習いました。



消石灰等、重たい物もいろいろありますので、手動の昇降機の使い方もありました。農場に、フロントローダーがあればそれを借りるが早いけど・・・





安楽死に使う大砲の砲弾の様な、炭酸ガスボンベ1本は、6000リットル入り・30キロの場合、満タンボンベ重量が50kgにもなります。一人ではとても運べません。
試しに80kg?あるY君を乗せてデモンストレーション、傾斜道の鶏舎に運び入れられるか



以上、機材や資材の名前と現物を初めて確認できた研修でした。

何も起きなければそれが一番良いのですが、備えておかねばなりません。
この冬も、忘年会・新年会は何度となくありますが、落ち着いて飲んでも居られないのが正直なところです。  

これを見られた県民のみなさまにも、『鳥インフルエンザとは何か?』が、少しはご理解いただけたと思います。
有事の際には、我々県職員+市町村+JA等+協定先+警察等が、防疫とウィルスの封じ込めに取り組みますので、『消毒ポイント』では、嫌な顔せずにご協力をお願いします。

農林水産省:鳥インフルエンザHP

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