この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

REC/レック2。

2009-11-09 21:37:30 | 新作映画
 ジャウマ・バラゲロ、パコ・プラサ監督、『REC/レック2』、11/7、ユナイテッドシネマキャナルシティ13にて鑑賞。2009年44本目。

 
 映画というものは得てしてヒットすると続編が作られるものですが、ホラー映画に関しては殊更その傾向が強いように思えます。
 昔の作品でいえば、『オーメン』、『エクソシスト』、『十三日の金曜日』、『エルム街の悪夢』、『エイリアン』etc、近作でいえば『CUBE』、『ディセント』、『SAW』、『28日後…』etc、逆にヒットはしたが続編が作られなかったホラー映画を挙げる方が難しいぐらいです。
 そしてシリーズ化されたホラー映画には一つの共通点があると思うのですが、さて、それは何かわかりますか?

 映画『REC/レック』は非常によく出来たホラー映画でした。
 内容はぶっちゃけただのゾンビ映画だと思いますが、視点を一カメラに絞ることによって(専門用語で「P.O.V」というそうです)尋常じゃない緊張感が最初から最後まで保たれていましたからね。
 視点を一カメラに絞る、言うは簡単ですが、実行するのは大変だったろうことは容易に想像出来ます。
 カメラマンが終始カメラを回し続ける設定が不自然になっては作品そのものを台無しにしかねないですから(その点で映画『クローバー・フィールド』では素人カメラマンが危機的状況で何故カメラを手放さないのかが理解不能)。
 正体不明の恐怖もよく描けていた、と思います。

 さて、『REC/レック2』は『REC/レック』の“純粋な”続編です(世の中には純粋じゃない続編もままあるので)。
 律儀にも前作のラストシーンから始まります。
 律儀さはここだけではなくて、前作では明らかにされなかった謎についても律儀に説明されてました。
 おそらく、この映画を製作したスタッフはものすごく生真面目なんだと思います。
 前作よりも面白いものを作ってやろうという意気込みがそこかしこで感じられました。
 演出や脚本にも工夫の跡が窺えました(展開に多少イラつくところもありますが)。
 
 何だか手放しに褒めているようですが、そうではないのです。
 『REC/レック』にはあって、『REC/レック2』にはないものがただ一つあります。それは何かというとズバリ“インパクト”です。
 まぁでもこれは言っても仕方ないことなのかも知れないんですけどね。
 P.O.Vのゾンビ映画というのはコロンブスの卵的発想で、確かに一度目は衝撃的かもしれないですが、二度目になるとどうしても若干の耐性がつきます。
 カメラ越しに襲い来るゾンビにも前作ほどの恐怖は覚えませんでした。

 まぁこれはどんなホラー映画にもいえることなんですけどね。
 先ほど挙げたシリーズ化されたホラー映画の共通点、それはすべてパート1が一番インパクトがあり、一番面白いということです。
 まぁ例外的に『エイリアン』と『エイリアン2』、『28日後…』と『28週後…』は前作に負けず劣らず続編も面白いですが、これは続編が世界観だけを踏襲し、作品のカラーはがらっと変えたことが成功の原因として挙げられるでしょう。

 『REC/レック2』、非常によく出来たホラー映画です。
 前作より面白いものを作ってやろうという製作スタッフの意気込みも買いだと思います。
 ただ、残念ながら前作の“純粋な”続編ゆえに前作を越えていない、という気がしました。
 純粋にこのシリーズの世界観、カラーが好き、という熱烈な『REC/レック』ファンか、またはともかく血飛沫が飛び散るゾンビ映画が好き♪という方でなければ特に観る必要はないと思います。

 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (4)
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