この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

【クラバート 闇の魔法学校】、マイ・ベストファンタジーの映画化。

2010-08-10 22:34:37 | 旧作映画
 先週の土曜日は仕事だったのですが、家に帰ったら大人買いしたDVDの中から『プライマー』をいい加減見るつもりでした。見よう見ようと思ってもう何週間にもなるし。
 しかし、仕事帰りに寄ったレンタルショップで以前から気になっていた映画のDVDを見つけたので、ついそっちの方を借りちゃいました(寄るなよ!)。それも二本も(ゴメンよ、『プライマー』)。

 その一本が【クラバート 闇の魔法学校】です。

 読書が趣味という方であれば誰しも胸の内に自分だけの最高のファンタジー小説を有しているのではないでしょうか。
 それが『指輪物語』なのか、『ゲド戦記』なのか、『はてしない物語』なのか、はたまた『ハリー・ポッター』なのか(って人いるの?)、それは人それぞれだと思います。

 自分の場合、それがオトフリート・プロイスラーの書いた『クラバート』なんですけどね。

 ともかくこの作品は自分を魅了してやまないのです。
 ファンタジーという括りがなくてもマイ・ベストブックかな。
 子供の頃に初めて読んで虜になり、何度となく読み返し、今でもたまに読んでいます。

 そんな超のつくお気に入り小説が映画化されたのですよ。
 気にならないわけがない。
 しかし、日本では残念ながら劇場公開されず、DVD化されるらしいというニュースだけミクシィの【クラバート】コミュで目にし、いつか見てみたいものだとずっと思っていたのです。

 で、その実物をレンタルショップで見つけたのです。こりゃ借りねば!と思いましたよ。ソッコーでレンタルして、家に帰りつくと内心ドキドキしながら再生ボタンを押しました。

 そこに映し出されたのは紛う事なき自分が愛してやまない『クラバート』の世界でした。

 って書けたらよかったんですけどね。笑。
 何ていうか、、、非常に残念な出来でした。

 まず、キャスティングがねぇ、、、脇役はまぁまぁいいんですよ。トンダ(主人公クラバートの兄貴的キャラ)がちょっとカッコよすぎるだろうと思わないでもないですが、ユーローも親方もそれほどイメージとそぐわないってわけではなかった。
 問題なのは主人公のクラバートが胡散臭いペテン師みたいで、さらにヒロインである「ソロを歌う娘」が正直あんまり可愛くない・・・。
 彼女はファンタジー小説史上最も美しいヒロインであるはずなのに!!(自分の中ではね)

 まぁキャスティングは目を瞑りましょう、キャスティングは!
 しかし、ストーリーがまたそれ以上に残念なんですよ。

 原作の『クラバート』はまるでパズルの如く緻密な構成の作品なんですが(ただしそのピースは読み手に全て与えられるというわけではない)、映画はそのピースをごっそり1/3奪い取ってるんです。
 どういうことかというと、原作では三年間に渡って繰り広げられる物語が映画では二年間になっちゃってるんです。
 まぁ原作通りに映画化をすれば三時間半を越える超大作になっちゃうでしょうから、エピソードのいくつかを削るというのもわからないではないけれど、前述の通り『クラバート』は緻密な構成の作品であり、一ページ、いや一行だって無駄はない。
 当然クラバートが水車小屋で過ごした月日が三年間というのにも意味がないわけではないので、それを二年間だと、登場人物の行動だけトレースしてもストーリー的には薄っぺらいものになっちゃうんだよね。

 本作がDVDになると聞いたときは、これは買いか?と思ったものだけど、いや本当に買わなくてよかったです。
 マイ・ベストファンタジーはやっぱり映画化して欲しくないものです(『ロード・オブ・ザ・リング』は本当に例外中の例外なんでしょうね)。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする