この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

久しぶりにヤベーもんを観たと思った『ヘレディタリー/継承』。

2018-12-02 23:20:29 | 新作映画
 アリ・アスター監督、トニ・コレット主演、『ヘレディタリー/継承』、12/1、中洲大洋劇場にて鑑賞。2018年43本目。


 その存在を知ったときから鑑賞するのを楽しみにしていた『ヘレディタリー/継承』を観てきました。
 期待にたがわぬ傑作ホラーでした。

 ホラー映画って雑に作られていることが多いんですよね。
 例えば、人里離れた森の中でキャンプをしていた主人公たちがその森に巣食う殺人鬼一家に襲われる、みたいなホラー映画があるとするじゃないですか(この設定はテキトーですが)。
 そういうホラー映画を見ると自分は、たまたまキャンプに来ていた主人公たちを襲う殺人鬼一家って普段何をしているんだろう?って考えちゃうんですよね。
 そんなふうに一歩引いて作品を見ると、ホラー映画って破綻していることが多いんです。

 ホラー映画なんだからとにかく血がドパドバ出れば満足でしょ、人がたくさん死ねばいいんでしょ、みたいなホラー映画も多いのが実情です。
 殺人鬼が思わぬところから現れたら驚くし、腕がちょん切られたら痛そうだなとも思いますけど、それって「怖い」っていう感情ではないんですよね。

 その点『ヘレディタリー/継承』は本当に怖い映画でしたよ。
 いわゆる典型的なホラー映画の展開になるのは120分を越える上映時間のうちラスト10分か、15分ぐらいだと思います。
 それまでひたすら何だかよくわからないけど観ていて不安になるシーンが延々と続くんです。
 それはつまり言い換えれば100分以上に渡ってひたすら伏線を張り巡らせているってことです。
 何て丁寧な作りのホラー映画なんでしょうか。 
 100分間に渡って伏線が張り巡らされているのですから、明かされる真相もハンパないわけです。
 そこまでやるか、って逆に感心しましたよ。

 感心したといえば上映館についてもそうですね。
 この『ヘレディタリー/継承』、無名の新人監督による、無名の俳優たちが演じる、一般受けするとは到底思えないホラー映画なのですが、驚くべきことに全国のシネコンで公開されているんですよ。
 よくこの映画をシネコンで公開しようと思ったな、と感心すること頻りです(自分は老舗の映画館で観ましたが)。

 自分が観た回では年配の人もいたし、若いカップルもいたし、座席の半分以上は埋まってました。
 ホラー映画を観に行くと、だいたい劇場がガラガラである時が多いので、こんなふうに多くの人が観に来るのは予想外で嬉しい驚きでした。
 これからも多くの傑作ホラー映画が劇場で観れたらいいなと思います。


 お気に入り度★★★★、お薦め度★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント
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