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博物館浴(三井記念美術館 「奈良 西大寺展」)

2017-05-21 19:37:41 | 博物館・美術館
 三井記念美術館では、「奈良 西大寺展 叡尊と一門の名宝」が6月11日まで開催されている。







 西大寺は奈良時代の後期に孝謙上皇により発願、東大寺と相対する場所に建立された。京都から近鉄で奈良に向かう途中に「大和西大寺」という駅があるが、ここである。

 平安遷都後は旧都の寺として朝廷から次第に顧みられなくなり、また災害にも再三みまわれ、急速に衰頽し、平安中期以降はかつての繁栄も見る影もなく一旦さびれてしまった。
 鎌倉時代に叡尊という高僧が「興法利生」をスローガンに戒律振興や救貧施療などの独自な宗教活動を推進し、密・律研修の根本道場という全く面目新たな中世寺院として再生することになった。


 展覧会は、西大寺創建1,250年を記念して開かれている。
 五鈷錫など真言密教の法具、彫刻、絵画など、西大寺の寺宝が展示されている。次に、一門の著名な古刹が所有する寺宝、そして、最後のコーナーでは、真言律宗の広がりを知る視点から、地方の寺院の名宝が展示されている。


 最後のコーナーでは、いわき市小川町にある「長福寺」が所蔵する国の重要文化財「地蔵菩薩坐像」が展示されている。以前、東京国立博物館で開催された「平成25年新指定文化財展」で観ることができた。胎内納入品を解読した結果、法華経を記した用紙の裏に日常のやりとりを書き記した手紙が書かれていたことが分かったそうで、さらに、味噌の前身(醤=ひさお)のレシピも入っていたとのこと。この像は、東日本大震災で被災し、修理した結果、胎内の文書が発見・解読され、国の重文となった。今回は、この文書も展示されている。ただし、この文書、神奈川県の金沢文庫に保管されている。いわき市内では残念ながら保管できる施設は無いのかもしれない。
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