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博物館浴(いわき市立美術館「写真家がとらえた 昭和のこども」)

2018-10-16 19:28:38 | 博物館・美術館
 いわき市立美術館では、10月21日まで「写真家がとらえた 昭和のこども」展が開催されている。いわき市立美術館では、久しぶりの「写真」の展覧会である。






 何年か前に、東京・富士フィルムスクエアで、同種の展覧会を観たことがある。ただ、限られたスペースで作品数は少なかった。



 今回の展覧会は、木村伊兵衛、土門拳、桑原甲子雄など、19人の写真家が出会った日本のこどもたちである。

 「スピード感」という言葉であおられている昨今、子供を通して「昭和」という時代の変遷を垣間見ることができる展覧会である。そこにあるのは、笑顔、無邪気さ、喜び、当然のお役目としての家の労働、戦前・戦後の困難な時代、路地裏、紙芝居、そして伝統や風習、これらが、モノクロの写真の中から浮き出てくる。

 子供たちの表情が変わってきたのは、高度成長期、御習い事、塾など、外で、みんなで遊ぶ機会がなくなってきた。遊びの経験を通して、様々な発見をすることができる。そして、ルールを学ぶことができる。その時間が無くなってきた。写る子供たちの表情も硬い。

 印象に残った作品、濱谷浩が、昭和15年から21年まで、新潟県桑鳥谷で撮影した「鳥追い 村の子供」、新潟県の谷間にある寒村で、男の子だけで行う小正月の行事で、お宮の堂にこもってお祈りする子供たちを写している。その子供の「手」に目が行ってしまった。顔は畏まって祈る中にもあどけなさが残る。その「手」は、まるで農作業を終えた老人の「手」である。ここから、子供たちが農家の労働力としての役割を担っていることが推測できる。

 思わず、見入ってしまった。


 会場に行ってみると、どこかで聞いた声。20数年前に退職された職場の上司だった方である。御夫婦で観られていた。年賀状のやり取りをさせてもらっているので、近況は承知していたが、80歳を過ぎて、声のハリはげ寝生地代と変わりがない。お元気そうで何よりであった。そして、もう一人、職場の上司だった方に出会う。そろそろ、酒宴の段取りをしなければならない。
コメント
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