長いです。
だいぶかかりましたが、El Paisの、スペイン代表選手大会まとめ寸評、読んだので載せておきます。
出場時間が多かった選手は、試合での働き中心に書かれていますが、出場時間が少ない選手たちについては、人柄とかキャンプ地で過ごしてる間のエピソードとか。それはそれで面白いのですが。記事を書いた記者は、おそらく大会中ずっとスペイン代表にくっついていた人だと思いますので、オフのエピソードも含めて、よく選手を観察してのことだろう、と思います。
大会前の選手紹介はGKからスタートしましたので、今回は逆、前の方の人たちから。(記事本来の並び順とは、大きく異なります)。
-------------------------------------
【DELANTEROS】
ビジャ「ゴールとファイナル」
5ゴールを挙げ、ビジャはフォルラン、スナイデル、ミュラーとならんで、南アフリカでのトップスコアラーとなった。コンフェデレーションズカップの時とは異なって、常にとてもポジティブ。それがおそらくゴール前での成功に拍車をかけたのだろう。左のエストレーモでも良く、FWとしても良く、トップとして、そして最終的ににはスペインの一団としての戦いを見せた。今大会、ビジャほどシュートを打った選手はいない。ギャンやメッシ(ともに15本)を上回る。話好きでおおらかな性格、当初から彼の新しいクラブ、バルサのグループに溶け込んだ。
7試合、635分間出場。シュート17本、5ゴール。
フェルナンド・トーレス「行き詰まり」
膝の半月板の負傷から不完全な状態で合流、ワールドカップの感覚を手にすることはできなかった。ゴールもなく、トーナメントが進むにつれ、チーム内での役割も失った。最終的に、自身の役割に思い悩み、控え選手たちがピッチ上で行うロンド(ボール回し)に参加するよりむしろ、ベンチでコーチ陣と話し込むようになっていた。目標もなく、ライバルにも勝つことはできず、最終的に筋肉の負傷という最悪の形で大会を終えた。
7試合、291分間出場。シュート13本。
ジョレンテ「高さ勝負」
非常に楽しそうで、ワールドカップのその時々を、記憶に残そうと過ごしていた。ポルトガル戦での彼の途中出場は、相手のセントラルたちを釘付けにした動きからわかるとおり、スペインが垂直方向(縦?高さ?)でも戦えることを示すのに貢献した。彼の長身は、侮ることのできない武器。若手選手たち、ピケなどと友情を築いた。
1試合、32分間出場。
ナバス「センタリング砲」
彼が馴染むことを考慮して、チームは常に彼を甘やかしていた。しかしすぐにナバスは、何の不安症の気配もなく、快適に感じていることを示した。これはピッチの上で明らかになった。デル・ボスケのお気に入りで、事態の打開に効果的、右サイドからセンタリングを上げる本物のキャノン砲。ゴールも狙っていたが、ほんの少し巧みさに欠けた。多くのものを見ているが、ごくわずかしか話さない。フットボールと共に、ボールと共にあることを、楽しんでいた。
3試合、178分間出場。シュート6本、センタリング22本。
ペドロ「誘導刺激」
バルセロナでの彼を一躍有名にした役割を、さらに伸ばす。スペクタクルな1年、比べるもののない成長ぶり。神経質さとは無縁、セミファイナルでは、70mに及ぶ動きでゴールするところだった。素朴でおおらかな性格、いくぶんシャイなところも。南アフリカでは、多くの時間をブシと過ごした。
5試合、176分間出場。シュート6本。
シルバ「もうひとつの資源」
どれだけ誘導する役割として、ボールをキープするコマとして働いたとしても、ピッチの上ではほとんど目立てなかった。いつでも問題ごとには関わりたがらないが、物事の解決には前向き、仲間たちには決して悪い顔を見せない。バレンシアの仲間たちとよく過ごしていた。
2試合、66分間出場。
マタ「笑顔」
ほとんどプレイできなかった。しかし、常にチーム内の試合(遊び?)には、人好きのする笑顔で非常に積極的だった。愛想がよく、一緒に過ごしやすい人物。ピケと共に、賭けに勝利。
1試合、20分間出場。
【CENTROCAMPISTAS】
イニエスタ「歴史に残る1ゴール」
相手に対峙し抜き去る能力は、この代表で最も成功につながる動きであった。2ゴールを上げ、特に2つ目のゴールはスペインフットボール史上最も重要なもの。珍しいほどの気の細やかさ、このゴールを彼は、亡くなった友人、エスパニョールのセントラルのダニ・ハルケに捧げた。家族、恋人や姉妹、義理の兄弟と一緒にポチェフストルームを散歩するのを見かけるのは、珍しいことではなかった。MOMに3度選ばれたイニエスタ、彼がこのワールドカップを決めたのだ。
6試合、557分間出場。被ファウル26回、2ゴール。
セスク「扇動者(かき回す存在)」
当初は不満を漏らしていた。重要な存在であると感じられなかったからだ。「彼は反抗者だね。」 デル・ボスケは、愛情をこめてそう言っていた。しかしセスクは、各試合、チャンスに反応し、それを楽しんだ。「こいつは本当にボーっとしてるからさ。」とピケは評する。彼がファイナルで果たした役割、ゴールにつながるラストパスを出したことは、彼が完璧なジョーカーであることを確実にした。
4試合、126分間出場。シュート4本、アシスト1。
チャビ「道しるべ」
ピッチの中でも外でも、チームの心臓。道筋を記す。「クリケットクラブでのミーティング」を引き起こした本人。第2カピタンとして行動し、あらゆることに関わり、常にチームの喜びを解き放っていた。彼の数字はすさまじい。大会で最も長い距離を走り(シュヴァインシュタイガーを400m上回る)、最もパスを成功させた選手となった。
7試合、636分間出場。合計80.2kmを走り、669本のパス。
シャビ・アロンソ「パスと引き金」
チームの連帯を推し進めることを好むが、彼らしいことだが、自身の法規に従って動くところもある。ピッチの中ではチャビの補佐官として、チャビの求めるあらゆるフットボール上の提案を、何であれ理解した。注目に値する大会となった。読書に没頭し、インターネットはつなぎっぱなし、手に入るだけの新聞を読んでいた。シュートに習熟し、たやすくこなすが、アフリカでは的を外していた。
7試合、593分間出場。シュート13本、544本のパス。
ブスケツ「指揮棒」
計り知れない。初戦スイス戦では、人々からの疑いにはまり込んだが、デル・ボスケの信頼を得た。「私が彼のようであればと思うよ。」と監督は言っている。そして「ブシ」は、確実さで応え、ゆるぎない神経を持ってピッチを支配した。21歳にして、ファイナル延長戦では、唯一のメデイォセントロとしてプレイしていた。ピケに言わせると「スペインの未来」。若手たちのリーダーであり、卓球とparchis(すごろくみたいなボードゲーム)の名人。
7試合、631分間出場。ファウル11回、被ファウル22回。
ハビ・マルティネス「自信」
このチームでのもうひとつのサプライズ。陽気で、ポジティブで、面白く、皆の冗談ごとに物怖じせず加わっていく。「カタルフォス(catalfos)」(カシージャスが愛情をこめて名づけたバルサの選手たちの呼び名)の一団、特にペドロやブシ(ブスケツ)と仲良くしていた。
1試合、17分間出場。
【DEFENSAS】
セルヒオ・ラモス「活気」
低から高へ。大会を始めた時は少し急いでいたが、相手に対して集中するようになり、彼のサイドを引き締めた。ファンタスティックなワールドカップを完遂。サイドを上がる動きはディフェンス面としても効果的、またヘディングシュートの場面では磁石のようだった(ボールを引き付ける?)。勤勉さをもってゴールを求めたが、これは唯一彼に欠けた栄誉。常にナバスに注意を向け、チーム内での彼のコミュニケーションに心を配っていた。試合前には、魂を鼓舞する彼の声が響き渡る。「Por toda nuestra gente! :我々の人々すべてのために!」 これが繰り返された。
7試合、647分間出場。シュート数11。
プジョル「ヘディングを備えたセントラル」
きわめて素晴らしい大会を戦った。純粋な状態にあるプジョルだ。パラグアイ戦では顔に打撲を受け試合を完了できなかったが、スペクタクルなゴールを決めたセミファイナルのドイツ戦までには回復。空中に飛び上がり、ヘッドで決めた。ポルトガル戦では、背後が守られていないままだと考えたプジョルはピケと言い合い、しかし試合が終わった後、ロッカールームでは既に、2人は永遠の友情を言い交わししっかりハグをしていた。チームの団結を表すキーマン。チーム内の賭けごとの元締め、また選手たちに自身のブランドの時計をプレゼントした。
7試合、654分間出場。ファウル数6回、1ゴール。
ピケ「試合の基底」
罰則の代わりに成功を積み重ねる。23歳にして、2度のチャンピオンズ制覇にワールドカップを加えた。生まれながらのリーダー。プジョルについての彼のジョークはいつものことで、時を選ばない。「本当にとんでもないヤツだよ」とカプデビラは笑いながら言う。何度も相手と激突して、唇4針、まぶた2針の計6針を縫うことになったが、これも勲章だ。パラグアイ戦ではペナルティを与え、ファイナルではボールの供給に十分な能力を発揮できなかったとしても、彼のワールドカップは、常に対峙する相手が押さえられたことで説明できるもの。彼によくあるように、重要な試合でのゴールは決められなかった。
7試合、660分間出場。ファウル4回、506回のパス。
カプデビラ「最高に有効なコマ」
彼の部屋は、マルクス・ブラザーズのキャビンのようだった(例えはよくわかりませんが、皆が集まって賑わっていたという意味だろう)。冗談とおしゃべりがチームをまとめた。彼が先発11人に入ることには疑問が呈されていた。「1分でも、俺はやるよ。」 彼は、大会前にそう言っていた。そして彼は、チームの基本要素の1つとなり、デル・ボスケにとってアンタッチャブルの存在となった。すべての時間に出場し、攻撃でも守備でも十分に仕事を完遂、常に一番の恐怖と隣りあわせだった。アレクシス・サンチェス、シマオ、あるいはロッベンといった選手は、確かに彼に大いに汗をかかせただろう。
7試合、660分間出場。ファウル数6回、被ファウル数8回。
アルベロア「補完」
可能な限り上の空。「ぼーっとしているけど、でもとてもいいヤツだよ」とは、チームメイトたち。どのトレーニングでも、贈り物をもらったかのように楽しみ、わずかの出場でも、ピッチに入る前の彼の笑顔を損なうことはできなかった。マーキングに特徴のあるディフェンス、彼の長所が見落とされたのは、チームが正確に機能していたためだ。
1試合、13分間出場。
マルチェナ「司祭の言葉」
ロッカールームではよく知られているように、「司祭(父親、みたいな意も?)」だ。ピッチやベンチでよくしゃべり、どの試合でも、誰よりも活発で神経質になったファンのように過ごしていた。負け知らずの記録を、史上最多の連続55試合に伸ばした。バレンシアチーム、セビージャチームのリーダー。マルチェナが話をすると、チームはそれを聞く。
3試合、8分間出場。
アルビオル「純粋な積極性」
スイス戦での敗戦に悩み、タイミング悪くトレーニング中に負傷、最終的に出場はかなわなかった。しかし彼のポジティブさと陽気さはチームに浸透していた。それはトロフィーに値する。
出場時間なし。
【PORTEROS】
レイナ「完璧な2番手」
ごく自然にサポートの役割をこなし、いつでも快く助言する。彼の耳打ちは、カシージャスがカルドソのペナルティの軌道を予測するのに十分役立った。トレーニングでは競争心を持って、そしてフィエスタの場面ではそのトークによって盛り上げ役となり、彼のチームメイトたち、特に誰よりも、カシージャスへのサポートをする一番の中心的存在となっていた。ポルトガル戦のビジャのゴール以降、レイナが見せるピッチサイドでの全速力は、チームのゴールへの関わりと情熱とを示すものだった。
出場時間なし。
バルデス「もう1人の」
誰も彼に疑いはない。競争心があるために混乱を招く要因といわれ、他の2人のGKとの悪い関係まで推測された。しかし、3人のGKがお互いを理解するのにはわずか1週間で十分。バルデスはその外交的な面を見せるようになり、ゴールの下でのペナルティゲームやジョークの輪に加わっていった。「俺はいつも、一緒になるために来た、って言ってたんだ」今ではそう主張するほどだ。バルサでの責任感に慣れてはいたが、代表ではプレッシャーもなく、解放されていた。ファイナルが終わったばかりの時、彼がカシージャスに走り寄って抱きしめたこと、タイトルを祝っていたことは、彼がこのチームに馴染んだ広がりを説明するものだ。
出場時間なし。
カシージャス「決定的な存在」
大会直前の親善試合サウジアラビア戦でのミスもあり、不安定なスタート。彼の先発についての議論が煽り立てられていた。「イケルはこの代表のGKでありカピタンだ。」と、この頃デル・ボスケは話していた。カシージャスは、スイス戦では恐れを持っていたが、しかし要求に応えるようになっていった。チリ戦ではリスクを抑え込んだ。クリスチアーノ・ロナウドのFKを麻痺させた。パラグアイ戦ではカルドソのペナルティをストップし、勝利につなげた。クロースのシュートを止めてドイツに競り勝ち、そして最後のビッグゲームでは、ロッベンの2度のチャンスを止めた。オランダ戦、イニエスタのゴールが決まった後の涙は、彼の人間性と、彼がプレッシャーに耐えてきたことを表している。ワールドカップ、そして恋人へのキス。
7試合、660分間出場。17セーブ、2被ゴール。
-------------------------------------
イケルを最後に持ってきたかっただけ。アルベロア評が少々(?)ひどいですが、でもそういう訳になるようなので......。
おまけ:El Paisその他
今回のW杯、スペインのいろいろなニュースサイトを巡って情報を拾ってましたが、特にEl PaisのW杯特集には、勝手に非常にお世話になりました。読みきれなかった記事やコラム等がいろいろあったのは惜しい限り。
例えば選手紹介。各選手のいろいろな情報に加えて、スペイン代表OBが短く評価・コメントしているのですが、その組み合わせがちょっと面白かった。詳しく知らないOBも多々いますが、例えばジョレンテについて書いたのはウルサイス、フェルナンド・トーレスにはキコとか、シルバにはフランとか。あとイニエスタを評したのはバレロン、というところがまた何かしっくりきて、勝手に嬉しかった。
あとは、大会の前半頃にスペイン代表選手の半分強に対して行っていた、サッカーにはほとんど関係ないどーでもいい短いQ&A特集。シュールな選手のイラストがついている「La otra mirada PIM-PAM」というシリーズです。これも面白かったのですが、量が多くてお手上げ。
質問は、たとえば「ファーストキスを覚えてますか?」とか、「エル・ブリ(エル・ブジ)に行ったことありますか?」とか(El Bulli=数年単位で予約が取れない超高級レストラン。アロンソとかチャビは行ったことあるらしい。さすが。)、「オムツを替えたことはありますか?」とか、「子供のころサインをもらったのは誰?」とか、「カバとライオン、どっちが人間にとって危険でしょうか?」とか。最後の質問には、フェルナンド・トーレスが「カバだよ。サファリに行って聞いたからね。カバはすごくスピードがあって、縄張りに踏み込んだ人間には突進してくるんだ。」 と回答。ひとつ賢くなった。
だいぶかかりましたが、El Paisの、スペイン代表選手大会まとめ寸評、読んだので載せておきます。
出場時間が多かった選手は、試合での働き中心に書かれていますが、出場時間が少ない選手たちについては、人柄とかキャンプ地で過ごしてる間のエピソードとか。それはそれで面白いのですが。記事を書いた記者は、おそらく大会中ずっとスペイン代表にくっついていた人だと思いますので、オフのエピソードも含めて、よく選手を観察してのことだろう、と思います。
大会前の選手紹介はGKからスタートしましたので、今回は逆、前の方の人たちから。(記事本来の並び順とは、大きく異なります)。
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【DELANTEROS】
ビジャ「ゴールとファイナル」
5ゴールを挙げ、ビジャはフォルラン、スナイデル、ミュラーとならんで、南アフリカでのトップスコアラーとなった。コンフェデレーションズカップの時とは異なって、常にとてもポジティブ。それがおそらくゴール前での成功に拍車をかけたのだろう。左のエストレーモでも良く、FWとしても良く、トップとして、そして最終的ににはスペインの一団としての戦いを見せた。今大会、ビジャほどシュートを打った選手はいない。ギャンやメッシ(ともに15本)を上回る。話好きでおおらかな性格、当初から彼の新しいクラブ、バルサのグループに溶け込んだ。
7試合、635分間出場。シュート17本、5ゴール。
フェルナンド・トーレス「行き詰まり」
膝の半月板の負傷から不完全な状態で合流、ワールドカップの感覚を手にすることはできなかった。ゴールもなく、トーナメントが進むにつれ、チーム内での役割も失った。最終的に、自身の役割に思い悩み、控え選手たちがピッチ上で行うロンド(ボール回し)に参加するよりむしろ、ベンチでコーチ陣と話し込むようになっていた。目標もなく、ライバルにも勝つことはできず、最終的に筋肉の負傷という最悪の形で大会を終えた。
7試合、291分間出場。シュート13本。
ジョレンテ「高さ勝負」
非常に楽しそうで、ワールドカップのその時々を、記憶に残そうと過ごしていた。ポルトガル戦での彼の途中出場は、相手のセントラルたちを釘付けにした動きからわかるとおり、スペインが垂直方向(縦?高さ?)でも戦えることを示すのに貢献した。彼の長身は、侮ることのできない武器。若手選手たち、ピケなどと友情を築いた。
1試合、32分間出場。
ナバス「センタリング砲」
彼が馴染むことを考慮して、チームは常に彼を甘やかしていた。しかしすぐにナバスは、何の不安症の気配もなく、快適に感じていることを示した。これはピッチの上で明らかになった。デル・ボスケのお気に入りで、事態の打開に効果的、右サイドからセンタリングを上げる本物のキャノン砲。ゴールも狙っていたが、ほんの少し巧みさに欠けた。多くのものを見ているが、ごくわずかしか話さない。フットボールと共に、ボールと共にあることを、楽しんでいた。
3試合、178分間出場。シュート6本、センタリング22本。
ペドロ「誘導刺激」
バルセロナでの彼を一躍有名にした役割を、さらに伸ばす。スペクタクルな1年、比べるもののない成長ぶり。神経質さとは無縁、セミファイナルでは、70mに及ぶ動きでゴールするところだった。素朴でおおらかな性格、いくぶんシャイなところも。南アフリカでは、多くの時間をブシと過ごした。
5試合、176分間出場。シュート6本。
シルバ「もうひとつの資源」
どれだけ誘導する役割として、ボールをキープするコマとして働いたとしても、ピッチの上ではほとんど目立てなかった。いつでも問題ごとには関わりたがらないが、物事の解決には前向き、仲間たちには決して悪い顔を見せない。バレンシアの仲間たちとよく過ごしていた。
2試合、66分間出場。
マタ「笑顔」
ほとんどプレイできなかった。しかし、常にチーム内の試合(遊び?)には、人好きのする笑顔で非常に積極的だった。愛想がよく、一緒に過ごしやすい人物。ピケと共に、賭けに勝利。
1試合、20分間出場。
【CENTROCAMPISTAS】
イニエスタ「歴史に残る1ゴール」
相手に対峙し抜き去る能力は、この代表で最も成功につながる動きであった。2ゴールを上げ、特に2つ目のゴールはスペインフットボール史上最も重要なもの。珍しいほどの気の細やかさ、このゴールを彼は、亡くなった友人、エスパニョールのセントラルのダニ・ハルケに捧げた。家族、恋人や姉妹、義理の兄弟と一緒にポチェフストルームを散歩するのを見かけるのは、珍しいことではなかった。MOMに3度選ばれたイニエスタ、彼がこのワールドカップを決めたのだ。
6試合、557分間出場。被ファウル26回、2ゴール。
セスク「扇動者(かき回す存在)」
当初は不満を漏らしていた。重要な存在であると感じられなかったからだ。「彼は反抗者だね。」 デル・ボスケは、愛情をこめてそう言っていた。しかしセスクは、各試合、チャンスに反応し、それを楽しんだ。「こいつは本当にボーっとしてるからさ。」とピケは評する。彼がファイナルで果たした役割、ゴールにつながるラストパスを出したことは、彼が完璧なジョーカーであることを確実にした。
4試合、126分間出場。シュート4本、アシスト1。
チャビ「道しるべ」
ピッチの中でも外でも、チームの心臓。道筋を記す。「クリケットクラブでのミーティング」を引き起こした本人。第2カピタンとして行動し、あらゆることに関わり、常にチームの喜びを解き放っていた。彼の数字はすさまじい。大会で最も長い距離を走り(シュヴァインシュタイガーを400m上回る)、最もパスを成功させた選手となった。
7試合、636分間出場。合計80.2kmを走り、669本のパス。
シャビ・アロンソ「パスと引き金」
チームの連帯を推し進めることを好むが、彼らしいことだが、自身の法規に従って動くところもある。ピッチの中ではチャビの補佐官として、チャビの求めるあらゆるフットボール上の提案を、何であれ理解した。注目に値する大会となった。読書に没頭し、インターネットはつなぎっぱなし、手に入るだけの新聞を読んでいた。シュートに習熟し、たやすくこなすが、アフリカでは的を外していた。
7試合、593分間出場。シュート13本、544本のパス。
ブスケツ「指揮棒」
計り知れない。初戦スイス戦では、人々からの疑いにはまり込んだが、デル・ボスケの信頼を得た。「私が彼のようであればと思うよ。」と監督は言っている。そして「ブシ」は、確実さで応え、ゆるぎない神経を持ってピッチを支配した。21歳にして、ファイナル延長戦では、唯一のメデイォセントロとしてプレイしていた。ピケに言わせると「スペインの未来」。若手たちのリーダーであり、卓球とparchis(すごろくみたいなボードゲーム)の名人。
7試合、631分間出場。ファウル11回、被ファウル22回。
ハビ・マルティネス「自信」
このチームでのもうひとつのサプライズ。陽気で、ポジティブで、面白く、皆の冗談ごとに物怖じせず加わっていく。「カタルフォス(catalfos)」(カシージャスが愛情をこめて名づけたバルサの選手たちの呼び名)の一団、特にペドロやブシ(ブスケツ)と仲良くしていた。
1試合、17分間出場。
【DEFENSAS】
セルヒオ・ラモス「活気」
低から高へ。大会を始めた時は少し急いでいたが、相手に対して集中するようになり、彼のサイドを引き締めた。ファンタスティックなワールドカップを完遂。サイドを上がる動きはディフェンス面としても効果的、またヘディングシュートの場面では磁石のようだった(ボールを引き付ける?)。勤勉さをもってゴールを求めたが、これは唯一彼に欠けた栄誉。常にナバスに注意を向け、チーム内での彼のコミュニケーションに心を配っていた。試合前には、魂を鼓舞する彼の声が響き渡る。「Por toda nuestra gente! :我々の人々すべてのために!」 これが繰り返された。
7試合、647分間出場。シュート数11。
プジョル「ヘディングを備えたセントラル」
きわめて素晴らしい大会を戦った。純粋な状態にあるプジョルだ。パラグアイ戦では顔に打撲を受け試合を完了できなかったが、スペクタクルなゴールを決めたセミファイナルのドイツ戦までには回復。空中に飛び上がり、ヘッドで決めた。ポルトガル戦では、背後が守られていないままだと考えたプジョルはピケと言い合い、しかし試合が終わった後、ロッカールームでは既に、2人は永遠の友情を言い交わししっかりハグをしていた。チームの団結を表すキーマン。チーム内の賭けごとの元締め、また選手たちに自身のブランドの時計をプレゼントした。
7試合、654分間出場。ファウル数6回、1ゴール。
ピケ「試合の基底」
罰則の代わりに成功を積み重ねる。23歳にして、2度のチャンピオンズ制覇にワールドカップを加えた。生まれながらのリーダー。プジョルについての彼のジョークはいつものことで、時を選ばない。「本当にとんでもないヤツだよ」とカプデビラは笑いながら言う。何度も相手と激突して、唇4針、まぶた2針の計6針を縫うことになったが、これも勲章だ。パラグアイ戦ではペナルティを与え、ファイナルではボールの供給に十分な能力を発揮できなかったとしても、彼のワールドカップは、常に対峙する相手が押さえられたことで説明できるもの。彼によくあるように、重要な試合でのゴールは決められなかった。
7試合、660分間出場。ファウル4回、506回のパス。
カプデビラ「最高に有効なコマ」
彼の部屋は、マルクス・ブラザーズのキャビンのようだった(例えはよくわかりませんが、皆が集まって賑わっていたという意味だろう)。冗談とおしゃべりがチームをまとめた。彼が先発11人に入ることには疑問が呈されていた。「1分でも、俺はやるよ。」 彼は、大会前にそう言っていた。そして彼は、チームの基本要素の1つとなり、デル・ボスケにとってアンタッチャブルの存在となった。すべての時間に出場し、攻撃でも守備でも十分に仕事を完遂、常に一番の恐怖と隣りあわせだった。アレクシス・サンチェス、シマオ、あるいはロッベンといった選手は、確かに彼に大いに汗をかかせただろう。
7試合、660分間出場。ファウル数6回、被ファウル数8回。
アルベロア「補完」
可能な限り上の空。「ぼーっとしているけど、でもとてもいいヤツだよ」とは、チームメイトたち。どのトレーニングでも、贈り物をもらったかのように楽しみ、わずかの出場でも、ピッチに入る前の彼の笑顔を損なうことはできなかった。マーキングに特徴のあるディフェンス、彼の長所が見落とされたのは、チームが正確に機能していたためだ。
1試合、13分間出場。
マルチェナ「司祭の言葉」
ロッカールームではよく知られているように、「司祭(父親、みたいな意も?)」だ。ピッチやベンチでよくしゃべり、どの試合でも、誰よりも活発で神経質になったファンのように過ごしていた。負け知らずの記録を、史上最多の連続55試合に伸ばした。バレンシアチーム、セビージャチームのリーダー。マルチェナが話をすると、チームはそれを聞く。
3試合、8分間出場。
アルビオル「純粋な積極性」
スイス戦での敗戦に悩み、タイミング悪くトレーニング中に負傷、最終的に出場はかなわなかった。しかし彼のポジティブさと陽気さはチームに浸透していた。それはトロフィーに値する。
出場時間なし。
【PORTEROS】
レイナ「完璧な2番手」
ごく自然にサポートの役割をこなし、いつでも快く助言する。彼の耳打ちは、カシージャスがカルドソのペナルティの軌道を予測するのに十分役立った。トレーニングでは競争心を持って、そしてフィエスタの場面ではそのトークによって盛り上げ役となり、彼のチームメイトたち、特に誰よりも、カシージャスへのサポートをする一番の中心的存在となっていた。ポルトガル戦のビジャのゴール以降、レイナが見せるピッチサイドでの全速力は、チームのゴールへの関わりと情熱とを示すものだった。
出場時間なし。
バルデス「もう1人の」
誰も彼に疑いはない。競争心があるために混乱を招く要因といわれ、他の2人のGKとの悪い関係まで推測された。しかし、3人のGKがお互いを理解するのにはわずか1週間で十分。バルデスはその外交的な面を見せるようになり、ゴールの下でのペナルティゲームやジョークの輪に加わっていった。「俺はいつも、一緒になるために来た、って言ってたんだ」今ではそう主張するほどだ。バルサでの責任感に慣れてはいたが、代表ではプレッシャーもなく、解放されていた。ファイナルが終わったばかりの時、彼がカシージャスに走り寄って抱きしめたこと、タイトルを祝っていたことは、彼がこのチームに馴染んだ広がりを説明するものだ。
出場時間なし。
カシージャス「決定的な存在」
大会直前の親善試合サウジアラビア戦でのミスもあり、不安定なスタート。彼の先発についての議論が煽り立てられていた。「イケルはこの代表のGKでありカピタンだ。」と、この頃デル・ボスケは話していた。カシージャスは、スイス戦では恐れを持っていたが、しかし要求に応えるようになっていった。チリ戦ではリスクを抑え込んだ。クリスチアーノ・ロナウドのFKを麻痺させた。パラグアイ戦ではカルドソのペナルティをストップし、勝利につなげた。クロースのシュートを止めてドイツに競り勝ち、そして最後のビッグゲームでは、ロッベンの2度のチャンスを止めた。オランダ戦、イニエスタのゴールが決まった後の涙は、彼の人間性と、彼がプレッシャーに耐えてきたことを表している。ワールドカップ、そして恋人へのキス。
7試合、660分間出場。17セーブ、2被ゴール。
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イケルを最後に持ってきたかっただけ。アルベロア評が少々(?)ひどいですが、でもそういう訳になるようなので......。
おまけ:El Paisその他
今回のW杯、スペインのいろいろなニュースサイトを巡って情報を拾ってましたが、特にEl PaisのW杯特集には、勝手に非常にお世話になりました。読みきれなかった記事やコラム等がいろいろあったのは惜しい限り。
例えば選手紹介。各選手のいろいろな情報に加えて、スペイン代表OBが短く評価・コメントしているのですが、その組み合わせがちょっと面白かった。詳しく知らないOBも多々いますが、例えばジョレンテについて書いたのはウルサイス、フェルナンド・トーレスにはキコとか、シルバにはフランとか。あとイニエスタを評したのはバレロン、というところがまた何かしっくりきて、勝手に嬉しかった。
あとは、大会の前半頃にスペイン代表選手の半分強に対して行っていた、サッカーにはほとんど関係ないどーでもいい短いQ&A特集。シュールな選手のイラストがついている「La otra mirada PIM-PAM」というシリーズです。これも面白かったのですが、量が多くてお手上げ。
質問は、たとえば「ファーストキスを覚えてますか?」とか、「エル・ブリ(エル・ブジ)に行ったことありますか?」とか(El Bulli=数年単位で予約が取れない超高級レストラン。アロンソとかチャビは行ったことあるらしい。さすが。)、「オムツを替えたことはありますか?」とか、「子供のころサインをもらったのは誰?」とか、「カバとライオン、どっちが人間にとって危険でしょうか?」とか。最後の質問には、フェルナンド・トーレスが「カバだよ。サファリに行って聞いたからね。カバはすごくスピードがあって、縄張りに踏み込んだ人間には突進してくるんだ。」 と回答。ひとつ賢くなった。