団塊SONGS/56「夢の中に君がいる」(一九六五)
「60からのマイソング55」の55回目のネット上の連載を終えました。これまでのエッセーは次のアメーバブログにアップロードしています。http://ameblo.jp/shiratorimn/
続いて、団塊SONGS/として、エッセーを継続していくきます。私の歌っている楽曲は以下のユーチューブにアップしていますから、拙い歌唱ですが、よろしければお聴きください。http://www.youtube.com/watch?v=wXEF5zUP1PA&list=UU1aVL3kYB7KqQBdJH1e_efg&index=69&feature=plcp
サルバトーレ・アダモが作ったシャンソンの曲である。制作年代は一九六五年。この二年前に『サン・トワ・マミー』と『雪が降る』という後世に残る名曲を作っている。アダモがもっとも創作的な情熱にかられていた時期であろう。
私は最近、なにか歌える新曲はないか、と思いつつ、ネットを探っていて、越路吹雪のサイトに行き着いた。このタイトルが目に入って、クリックしてみた。曲が流れはじめた。
あっ、ああ、この歌だったのか、と想いはすぅーと過去の中に引き込まれていった。過去のある時期に、いつもこの歌を聴いていたような気がした。そばに母親がいたような気もするが、調べてみると六五年である。きっと日本に紹介されたのは、それから一、二年後であろう。母はそれ以前に亡くなっていたから、そういうことはなかった。
母が好んだシャンソンは『聞かせてよ愛の言葉を』だった。リュシエンヌ・ボアイエが一九三〇年に発表した歌だった。ややテイストは似ているが、それではどこで聴いていたのだろうか。はっきりと思い出せないまま練習をはじめた。
耳朶に明瞭にメロディが残っているのだから、曲を覚えるのは早かった。すぐに無理なく歌えるようになったが、どこか訳詞に違和感があった。タイトルは『夢の中に君がいる』だから、男から女への歌のように思うが、中身は違う。明らかに女性から男性への切ない想いを歌っている。
どこかの場所にふたりがいて、ふと女の気持ちがずれ、男がそれに気づいて、女を責めるようなシーンが歌われている。「腰に両手をかけて そんな目をしないで あなたこそ私の最後の恋人」と、女は男にすがる。そして、破局を予感させる詩が続くが、暗さはまったくない。
どこに『夢の中に君がいる』かは、ちょっと分からない。まあ、歌は理屈ではないが、メロディが素晴らしい。前奏がはじまるだけで、心がときめく。これほどの思い入れができる歌は、最近にはなかった。幸運な再発見だった。やはり、過去のどこかでつながっているのだろうか。
それにしても、最近はほとんど歌われなくなってきた。さほどむつかしい歌でもなく、反対に華やかさのある歌だ。その理由は分からないが、シャンソンの衰勢の中で、越路吹雪以外の歌手が歌い継いでこなかったせいではないだろうか。ネットでプロの歌手が歌っているのはピーターだけだった。もっといろいろな歌手が歌って違ったテイストで聴かせてくれることを願っている。
「60からのマイソング55」を配信中。毎日曜日にhttp://ameblo.jp/shiratorimn/にアップロードしています。エッセーで書いた歌は「団塊SONGS」(検索)で聴くことができます。カメラと写真の情報は「Web写真人」で。
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続いて、団塊SONGS/として、エッセーを継続していくきます。私の歌っている楽曲は以下のユーチューブにアップしていますから、拙い歌唱ですが、よろしければお聴きください。http://www.youtube.com/watch?v=wXEF5zUP1PA&list=UU1aVL3kYB7KqQBdJH1e_efg&index=69&feature=plcp
サルバトーレ・アダモが作ったシャンソンの曲である。制作年代は一九六五年。この二年前に『サン・トワ・マミー』と『雪が降る』という後世に残る名曲を作っている。アダモがもっとも創作的な情熱にかられていた時期であろう。
私は最近、なにか歌える新曲はないか、と思いつつ、ネットを探っていて、越路吹雪のサイトに行き着いた。このタイトルが目に入って、クリックしてみた。曲が流れはじめた。
あっ、ああ、この歌だったのか、と想いはすぅーと過去の中に引き込まれていった。過去のある時期に、いつもこの歌を聴いていたような気がした。そばに母親がいたような気もするが、調べてみると六五年である。きっと日本に紹介されたのは、それから一、二年後であろう。母はそれ以前に亡くなっていたから、そういうことはなかった。
母が好んだシャンソンは『聞かせてよ愛の言葉を』だった。リュシエンヌ・ボアイエが一九三〇年に発表した歌だった。ややテイストは似ているが、それではどこで聴いていたのだろうか。はっきりと思い出せないまま練習をはじめた。
耳朶に明瞭にメロディが残っているのだから、曲を覚えるのは早かった。すぐに無理なく歌えるようになったが、どこか訳詞に違和感があった。タイトルは『夢の中に君がいる』だから、男から女への歌のように思うが、中身は違う。明らかに女性から男性への切ない想いを歌っている。
どこかの場所にふたりがいて、ふと女の気持ちがずれ、男がそれに気づいて、女を責めるようなシーンが歌われている。「腰に両手をかけて そんな目をしないで あなたこそ私の最後の恋人」と、女は男にすがる。そして、破局を予感させる詩が続くが、暗さはまったくない。
どこに『夢の中に君がいる』かは、ちょっと分からない。まあ、歌は理屈ではないが、メロディが素晴らしい。前奏がはじまるだけで、心がときめく。これほどの思い入れができる歌は、最近にはなかった。幸運な再発見だった。やはり、過去のどこかでつながっているのだろうか。
それにしても、最近はほとんど歌われなくなってきた。さほどむつかしい歌でもなく、反対に華やかさのある歌だ。その理由は分からないが、シャンソンの衰勢の中で、越路吹雪以外の歌手が歌い継いでこなかったせいではないだろうか。ネットでプロの歌手が歌っているのはピーターだけだった。もっといろいろな歌手が歌って違ったテイストで聴かせてくれることを願っている。
「60からのマイソング55」を配信中。毎日曜日にhttp://ameblo.jp/shiratorimn/にアップロードしています。エッセーで書いた歌は「団塊SONGS」(検索)で聴くことができます。カメラと写真の情報は「Web写真人」で。