フランスの植民地だったこと、砂漠、カスバ、首都アルジェぐらいで、本当のところアルジェリアのことなんかよく知らない。
かつてアラン・ドロンが主役のフランスの傭兵舞台の活躍を描いた『名誉と栄光のためでなく』という映画は、アルジェリアが舞台だった。もうひとつは『アルジェの戦い』というドキュメンタリー風の映画もあった。この2本を一緒に映画館で観た記憶がある。アルジェリアについては、そんな程度の知識だろう。
日揮という会社も大変だったろう、と同情申し上げたいのだが、それにしても、そのプラントで働いていた方々は、けっこう中高年が多かった。
こうした海外のプラントで長期間働く場合、30~40代のイキのいい年代の人が多いのだろう、と思い込んでいたが、違っていた。しかも派遣や契約社員が多いことも意外だった。
危険なところであり、気候的にも過酷な場所なのだから、正社員を赴任させて、なにかあったら会社のリスクは大きい。だから自然と、こうした形の雇用関係になっていったのだろうか。
当初、日揮はプライバシーもあって、被害者の個人情報を公にしたくない態度をとっていたが、雇用の実態を知られたくないという理由があったのかもしれない。
それにしても、日本企業が海外に進出して働く人々の実態は、時代によってかなり大きな変化がある、ということは、この事件で分かったわけだ。だから、若者がだらしない、とは決められないが、なにか現代の日本に欠けていることがあらわになったような気がする。
もうひとつ、ちょっと解せないことは、政府専用機を使って日揮の社員や犠牲者を運んだことだが、どこまで私企業に政府が協力するか、という問題があろう。
日揮はビジネスとしてアルジェリアに進出してプラント建設をしたわけだ。政府の命令ではないだろう。となれば、そこで災禍に遭ったとしても、私企業としての立場があるだろう。
アメリカなどは、米国人が海外でテロにでも遭ったら、すぐに海兵隊の出番なのだろうが、日本は自衛隊ひとつ派遣できない。自衛隊法の改正がいわれているが、しかし私企業をどこまで救うか、という線引は必要だ。
今回の場合は、国際社会が瞠目した。その中で日本政府の対応も問われだろうが、こういう場合の原則はどうなっているのか。公務員、民間人で違うのか、ビジネスかレジャーかで違うのか。
これがもし1~2人ぐらいの被害者だったら、政府専用機になるのだろうか。あるいは大企業の日揮だからか、去年シリアで殺された報道写真家の場合はどうだったのだろうか。
旅行者がテロに遭い、人質になり、被害にあったら、政府はどこまで関与できるのだろうか。そういう取り決めもまた必要になってきているのだろう。
理不尽に殺された方々には申し訳ないが、今回の事件でそんなことまで考えてしまった。
エッセー「団塊SONGS」を配信中。毎日曜日にhttp://ameblo.jp/shiratorimn/にアップロードしています。エッセーで書いた歌は「団塊SONGS」(検索)で聴くことができます。
かつてアラン・ドロンが主役のフランスの傭兵舞台の活躍を描いた『名誉と栄光のためでなく』という映画は、アルジェリアが舞台だった。もうひとつは『アルジェの戦い』というドキュメンタリー風の映画もあった。この2本を一緒に映画館で観た記憶がある。アルジェリアについては、そんな程度の知識だろう。
日揮という会社も大変だったろう、と同情申し上げたいのだが、それにしても、そのプラントで働いていた方々は、けっこう中高年が多かった。
こうした海外のプラントで長期間働く場合、30~40代のイキのいい年代の人が多いのだろう、と思い込んでいたが、違っていた。しかも派遣や契約社員が多いことも意外だった。
危険なところであり、気候的にも過酷な場所なのだから、正社員を赴任させて、なにかあったら会社のリスクは大きい。だから自然と、こうした形の雇用関係になっていったのだろうか。
当初、日揮はプライバシーもあって、被害者の個人情報を公にしたくない態度をとっていたが、雇用の実態を知られたくないという理由があったのかもしれない。
それにしても、日本企業が海外に進出して働く人々の実態は、時代によってかなり大きな変化がある、ということは、この事件で分かったわけだ。だから、若者がだらしない、とは決められないが、なにか現代の日本に欠けていることがあらわになったような気がする。
もうひとつ、ちょっと解せないことは、政府専用機を使って日揮の社員や犠牲者を運んだことだが、どこまで私企業に政府が協力するか、という問題があろう。
日揮はビジネスとしてアルジェリアに進出してプラント建設をしたわけだ。政府の命令ではないだろう。となれば、そこで災禍に遭ったとしても、私企業としての立場があるだろう。
アメリカなどは、米国人が海外でテロにでも遭ったら、すぐに海兵隊の出番なのだろうが、日本は自衛隊ひとつ派遣できない。自衛隊法の改正がいわれているが、しかし私企業をどこまで救うか、という線引は必要だ。
今回の場合は、国際社会が瞠目した。その中で日本政府の対応も問われだろうが、こういう場合の原則はどうなっているのか。公務員、民間人で違うのか、ビジネスかレジャーかで違うのか。
これがもし1~2人ぐらいの被害者だったら、政府専用機になるのだろうか。あるいは大企業の日揮だからか、去年シリアで殺された報道写真家の場合はどうだったのだろうか。
旅行者がテロに遭い、人質になり、被害にあったら、政府はどこまで関与できるのだろうか。そういう取り決めもまた必要になってきているのだろう。
理不尽に殺された方々には申し訳ないが、今回の事件でそんなことまで考えてしまった。
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