NHKの「坂の上の雲」の第1部の放送が終わった。次の放送は来年の12月で、最終シリーズは再来年である。
これほど長い時間をかけて制作しているのは、番組を見ているとよく分かる。配役もさることながら、現地のロケとCGをミックスして、臨場感たっぷりに作られている。国民的な小説を国民的な放送局が作ると、こうなるのだろう。
クレジットを見ていて圧巻なのは、脚本の審査委員会のようなものがあることだ。明治という時代、その中で葛藤した人間群像を、司馬遼太郎は長い長い小説で表現した。
いろいろな見方があり、さまざまな解釈もあるが、放送時間は限られており、なにを加えなにを省くか、どう取捨選択するのか、というのが、一義的に番組制作にあったろう。それが審査委員会に現れている。
関係者の苦労には頭が下がる出来栄えであることは確かだ。 真之、好古、山岡子規の3人の主人公は適役だ。小説のイメージ通りの役作りができている。
ただ年配の役者に無理がある。例えば、東郷平八郎が渡哲也ではカッコ良すぎるだろうし、小村寿太郎は竹中直人より軍人役の片岡鶴太郎のほうが合っている。
後半の主役にもなる乃木希典は柄本明であるが、あまりにガサツ過ぎよう。乃木は形のいい軍人だったとか。明治といえば、当時の写真は残っており、また当時を知る人もいる。あまりにかけ離れた人物では、興がそがれる思いもある。
別に有名な役者を起用するのではなく、イメージに近いしっかりした演技がてきる人を起用したほうが良かったのではないか。
見終わって、やはり明治という時代に思いがいく。確かに国家拡張主義で、日清戦争の場面で帝国主義の負の部分を支那人に語らせているし、インディアンのクリアランス政策を高橋是清に批判させている。
一応、左かかったNHKの面目も立つ構成ではあるが、この小説を映像化すれば結局、明治の日本が列強に仲間入りをする国民的な熱狂を描かなければならない。それが正義であった。時代を裁くのは簡単だが、その時代に生きた息吹こそ本当に伝えてほしい。小説の意図も体現し、傑作である。
もうひとつは音楽がいい。久石譲の担当だが、心に沁みる格調の高い調べである。猛り狂う時代をなだめるような癒しの旋律が不思議な高揚感を招く。これも特筆しておきたい。
カメラ・写真、フォトギャラリーの動向に興味のある方は「Web写真人」をご覧ください。また拙著「団塊の世代の世間話」の案内ページにもアクセスできます。「Web写真人」(http://shashingin.web.infoseek.co.jp)で検索できます。アクセスをお願い申し上げます。首都圏のフォトサロン/ギャラリー一覧を掲載。http://www.blogmura.com/ にほんブログ村
これほど長い時間をかけて制作しているのは、番組を見ているとよく分かる。配役もさることながら、現地のロケとCGをミックスして、臨場感たっぷりに作られている。国民的な小説を国民的な放送局が作ると、こうなるのだろう。
クレジットを見ていて圧巻なのは、脚本の審査委員会のようなものがあることだ。明治という時代、その中で葛藤した人間群像を、司馬遼太郎は長い長い小説で表現した。
いろいろな見方があり、さまざまな解釈もあるが、放送時間は限られており、なにを加えなにを省くか、どう取捨選択するのか、というのが、一義的に番組制作にあったろう。それが審査委員会に現れている。
関係者の苦労には頭が下がる出来栄えであることは確かだ。 真之、好古、山岡子規の3人の主人公は適役だ。小説のイメージ通りの役作りができている。
ただ年配の役者に無理がある。例えば、東郷平八郎が渡哲也ではカッコ良すぎるだろうし、小村寿太郎は竹中直人より軍人役の片岡鶴太郎のほうが合っている。
後半の主役にもなる乃木希典は柄本明であるが、あまりにガサツ過ぎよう。乃木は形のいい軍人だったとか。明治といえば、当時の写真は残っており、また当時を知る人もいる。あまりにかけ離れた人物では、興がそがれる思いもある。
別に有名な役者を起用するのではなく、イメージに近いしっかりした演技がてきる人を起用したほうが良かったのではないか。
見終わって、やはり明治という時代に思いがいく。確かに国家拡張主義で、日清戦争の場面で帝国主義の負の部分を支那人に語らせているし、インディアンのクリアランス政策を高橋是清に批判させている。
一応、左かかったNHKの面目も立つ構成ではあるが、この小説を映像化すれば結局、明治の日本が列強に仲間入りをする国民的な熱狂を描かなければならない。それが正義であった。時代を裁くのは簡単だが、その時代に生きた息吹こそ本当に伝えてほしい。小説の意図も体現し、傑作である。
もうひとつは音楽がいい。久石譲の担当だが、心に沁みる格調の高い調べである。猛り狂う時代をなだめるような癒しの旋律が不思議な高揚感を招く。これも特筆しておきたい。
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