夫婦で楽しむナチュラル スロー ライフ

日々の生活、男の料理、庭仕事、気になった事など気ままに綴っています。

ホロヴィッツを酷評した吉田秀和氏

2012年07月25日 | 音楽
先日NHKTV「クローズアップ現代」で
吉田秀和さんの事が放映されていた。
吉田秀和さんが5月22日「亡くなった」と新聞TVで報じていた。
私は「吉田秀和」という人を知りませんでした。大々的にその死を
報じているくらいだからかなりの有名人と思っていて
「この人誰よ?」と父ちゃんに聞いたら
「FMラジオ(名曲のたのしみ)でいつもクラッシックの
 解説をしている人だよ」いわれて
「あ~、あの人だったんだ」と思い出した。
だいたい解説者の名前なんて覚える気がない私ですが
この人の声だけは良く聞いていた。
今から30年ほど前に指揮者のカール・ベームの死を悼み
解説していた声を思い出しました。

「クローズアップ現代」で吉田秀和さんの人となりを
話していました。
 

  小林秀雄や加藤周一などと並び称され、小澤征爾や
  中村紘子といった世界的音楽家を育てた評論界の
  最後の巨星”吉田秀和さんが98歳で亡くなった。
  日本に 豊かな音楽文化を与えつつ、新鮮な視点で“
  自分で考えることの大切さを発信し続けた吉田さん。
  ユーモアと優しさあふれる評論の背景にあったのは
  実は、 戦災体験に根ざした、日本人の「大勢順応主義」
  への批判精神だった。世間に流されず、自分の感性に
  忠実であろうとするその姿勢が最も現れたのは
  83年、熱狂的歓迎のなか来日した大演奏家・ホロヴィッツ
  “ひびの入った骨董”と一刀両断した“事件”。バブルへ
  猛進していた日本、持つべき「選択能力」を失って いた
  時期だった。晩年、特に原発事故に大きな衝撃を受けた
  吉田さんは、「日本人にはまだ自分で考える力が
  備わっていなかった」と悔やみ続けたという。
  吉田 さんの足跡とメッセージを、弟子や家族の
  証言で読み解く
(ネットより)

ホロヴィッツが初来日した時、そのピアノ演奏を
聴いた吉田秀和さんがホロヴィッツを酷評したのは
有名な話。1983年に初来日、NHKホールで2回
コンサートをした。高いお金を払って(高校生
8000円~S席50,000円、平均4万円、即日売り切れと
なり話題となった)コンサートを見に行った客。
ところがピアノの神様といわれたホロヴィッツの
演奏はミスタッチが多く聞けるものではなかった
(確かにもう80近いホロヴィッツ)そんな酷い
演奏でも喜んでスタンディング・オーべションして
喜ぶ日本人。それをみて酷評してしまった事は
当りまえというべきか。クローズアップ現代でも
そのときの演奏を流していた(曲はショパンの英雄ポロネーズ
だったと思うが素人目にもミスタッチと音程が悪く
「こりゃ酷い」と思いました。

この芸術は、かっては無類の名品だったろうが、
今は・・・最も控えめにいっても・・・ひびが入っている。

忌憚なくいえばこの珍品には欠落があって、
完全な形を残していない

とまあホロヴィッツも骨董品扱いされてしまった。
骨董品でも「珍品」(価値のある物)であるという
ことに間違いはないと正直な事をいってます。 
    
  吉田の批評に接したホロヴィッツは、長年その
  実演に接することを念願していた日本のファンを
  失望させたことと、自身の名誉を著しく傷付け
  たことを帰国後も気に病み続けたという。
  2度目の来日は、1986年にホロヴィッツ自身の
  希望もあり実現した。この年、彼はおよそ60年ぶり
  となる祖国のモスクワでの演奏を成功させ、
  ベルリンでもその後伝説になったコンサートを
  行っている。82歳という高齢にもかかわらず
  ヨーロッパでの演奏旅行の後訪日し、昭和女子
  大学人見記念講堂でコンサートを行った。この
  演奏会はホロヴィッツ本来の芸術性が発揮され、
  特にスカルラッティやシューマンの小品などでの
  美しい音色が際立つものであった
(ネットより)

かなり以前NHKTVでホロヴィッツの収録演奏の
ドキュメンタリー番組をみてこのおじさん(ホロヴィッツ)
面白いと思ってしまった私です。そのときの演奏は
モーツアルトのピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488でした。
ホロヴィッツ相手に緊張した面持ちの指揮者となんとも
ひょうきんでおどけたしぐさのホロヴィッツ
第一楽章 第二楽章 第三楽章)淡々と弾きこなす
ホロヴィッツ。出来具合を指揮者に聞いたり機嫌の悪い
ワンダ夫人と話したりでなかなか面白くみました。
まあこの年になればテンポの狂いやミスタッチも
仕方のないことなのでしょうが、そんな大ピアニストを
酷評した吉田秀和さんは偉い方です。

晩年流行に流される日本人を嘆いてもいたようです。
「そこに自分の考えはあるか」と日本人を批判していた。

何かがはやると誰も彼も同じ事をしたがる

こんな具合に流行を前にした無条件降伏主義、
大勢順応主義と過敏症を

これほど正直にさらけ出している国民は珍しいのでは
ないかと、私は思う。

と言っている。日本の行く末を嘆いていたのでしょうか。
吉田秀和さん日本の音楽評論家の第一人者であったんですね。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする