1月の月例競刻の講評が先生から届きました。
1月の課題は「億万(萬)」(極めて数が多いこと)
印の大きさは八分印(約2、5cm)
以下先生の講評です。
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「にんべん」のない「億」字はあるのかどうか。
今一度確認されたし。辺縁を柔和に削り撃辺の
変化も得てして妙である。風趣の味わいが
心地よき印である。
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篆刻の何たるかを知りつくしているベテランの
刻といえる。風趣豊かで刀味がすばらしい。
印中央の白点は古色をねらったと思うが少し
うるさく感じる周縁界線は「L」だけでも
よいかと思う。
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朱白同印の作である。えてして朱色は重いので
「万」字を朱文にすべきである。二文字とも
字形がやや弱々しく安定感に不安がある。
辺縁の撃辺も考えたい。
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満白印(白文は赤い部分が多いが白を多くした
刻し方)として見事な作である。文字回りの朱部が
朱文印の辺縁の如しですばらしい。十分なる想を
錬成させており感心する。辺縁変化も適切でうまい。
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正確な運刀の様子が目に見える思いがする好印である。
分間布白と左右対称が実にすばらしい。印面に
躍動している。辺縁も変化秀逸たり。
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「にんべん」がないので誤字になる。
字典にあればよいが・・・満白印に近い白文にて
力感十分の作。周縁界線によって印面が引き締まる。
ない場合の朱の広さもいい。
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満白印として上出来の作。幾分細めの線もあるが、
かえって変化を生んでいるのでは。回りの朱部を
太くすれば漢印風趣の印になったろうが、これは
これで柔和作でよい。
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文字に重みがあり、重厚さのある作である。
今までにない力感がある。今少し削りこんだらと
思う所あり。辺縁よくなった。
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文字刀線がよく伸展し、ゆたりとした大らから
刻風がよろしい。「万」字の斜線を辺縁に接する
伸展が欲しかった。辺縁は変化、太さ共に秀れている。
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布字、刀法共に技量高く印面に文字が躍動している。
刀線の長短変化の工夫が生き、印篆の固さを
軽減している。丸みをつけた印形が文字の柔和さを生む。
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左右の重みに対して中央のにんべんはいかにも弱々しい。
もっと太さが欲しかった。太い線を削りこんで違和感を
へらすのも一手かも知れない。お試しあれ。辺縁右辺細すぎた。
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疎密の構成を表した作であり、朱部を大きく四分の一を
残しているのも新鮮である。しかし、この位場合
「万」は上か、中央に位置するのが自然である。
下にあると朱の重みに押されてみえる。
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印の大きさに負けぬ文字の伸展ができてきた。
「億」のニンベンと「万」の下部縦線が間のび
してしまった。長短を考えた構成とバランスを欲す。
辺縁細太が分断。
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大らかで悠然とした彫り味は天性のものであろうか。
平行や垂直線にブレがあるが、それが暖かな風趣を
出しているとも言えよう。落ちついた作ができている。
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金文を用いて古趣十分の作となった。辺縁の太さが
安定感をだし好印たあり。文字に今少し太さを
加味して強さを演出してもよかったかもしれない。
字回り余白よし。
1月の課題は「億万(萬)」(極めて数が多いこと)
印の大きさは八分印(約2、5cm)
以下先生の講評です。
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「にんべん」のない「億」字はあるのかどうか。
今一度確認されたし。辺縁を柔和に削り撃辺の
変化も得てして妙である。風趣の味わいが
心地よき印である。
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篆刻の何たるかを知りつくしているベテランの
刻といえる。風趣豊かで刀味がすばらしい。
印中央の白点は古色をねらったと思うが少し
うるさく感じる周縁界線は「L」だけでも
よいかと思う。
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朱白同印の作である。えてして朱色は重いので
「万」字を朱文にすべきである。二文字とも
字形がやや弱々しく安定感に不安がある。
辺縁の撃辺も考えたい。
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満白印(白文は赤い部分が多いが白を多くした
刻し方)として見事な作である。文字回りの朱部が
朱文印の辺縁の如しですばらしい。十分なる想を
錬成させており感心する。辺縁変化も適切でうまい。
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正確な運刀の様子が目に見える思いがする好印である。
分間布白と左右対称が実にすばらしい。印面に
躍動している。辺縁も変化秀逸たり。
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「にんべん」がないので誤字になる。
字典にあればよいが・・・満白印に近い白文にて
力感十分の作。周縁界線によって印面が引き締まる。
ない場合の朱の広さもいい。
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満白印として上出来の作。幾分細めの線もあるが、
かえって変化を生んでいるのでは。回りの朱部を
太くすれば漢印風趣の印になったろうが、これは
これで柔和作でよい。
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文字に重みがあり、重厚さのある作である。
今までにない力感がある。今少し削りこんだらと
思う所あり。辺縁よくなった。
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文字刀線がよく伸展し、ゆたりとした大らから
刻風がよろしい。「万」字の斜線を辺縁に接する
伸展が欲しかった。辺縁は変化、太さ共に秀れている。
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布字、刀法共に技量高く印面に文字が躍動している。
刀線の長短変化の工夫が生き、印篆の固さを
軽減している。丸みをつけた印形が文字の柔和さを生む。
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左右の重みに対して中央のにんべんはいかにも弱々しい。
もっと太さが欲しかった。太い線を削りこんで違和感を
へらすのも一手かも知れない。お試しあれ。辺縁右辺細すぎた。
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疎密の構成を表した作であり、朱部を大きく四分の一を
残しているのも新鮮である。しかし、この位場合
「万」は上か、中央に位置するのが自然である。
下にあると朱の重みに押されてみえる。
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印の大きさに負けぬ文字の伸展ができてきた。
「億」のニンベンと「万」の下部縦線が間のび
してしまった。長短を考えた構成とバランスを欲す。
辺縁細太が分断。
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大らかで悠然とした彫り味は天性のものであろうか。
平行や垂直線にブレがあるが、それが暖かな風趣を
出しているとも言えよう。落ちついた作ができている。
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金文を用いて古趣十分の作となった。辺縁の太さが
安定感をだし好印たあり。文字に今少し太さを
加味して強さを演出してもよかったかもしれない。
字回り余白よし。